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雑木の庭つくり日記

里山環境改善ワークショップのお知らせ  平成27年4月27日


 春爛漫の日々、当社山林(ダーチャサポートちば土気山フィールド)に山小屋建築が急ピッチで進んでいます。
 斜面の地形を極力傷めることなく、昔ながらの中山間地域の建築手法で古材を使って建てられた小屋は建築中も周囲の木々に見守られながら、すでにこの土地の風景としてタイムスリップしたような佇まいを見せ始めています。

 この小屋は、これから様々な人たちと自然環境との交流の場として利用してゆく、その拠点となります。
 
 5月13日、14日と、この山小屋を拠点に、周辺里山環境改善のワークショップを開催することとなり、下記のとおりお知らせいたします。

日時; 5月13日朝10時集合 、14日午後2時頃解散。

講師; 矢野智徳氏

ワークショップ内容;水路整備、山道、風道づくり、自然農畑つくり、通気浸透水脈改善、
        バイオトイレつくりなど。

場所;千葉市緑区高津戸町409-5 (土気駅から徒歩20分)

持ち物;長靴、作業手袋、ノコ鎌、園芸スコップ、作業服、着替え、寝袋
    なお、造園関係者や車で来られる方はその他、土道具、なたや鋸、チェーンソウ等、いろいろお持ちいただければ助かります。
      

宿泊;山小屋2棟とテントに雑魚寝となります(男女別)。寝袋をご用意ください。
 なお、他に近所の旅館(素泊まり4000円程度)も宿泊予約可能です。

募集;すでに参加希望者が20名を超えておりますので、最大でプラス10名程度を定員といたします。単なる講座ではなく、みんなで分担して作業しながらノウハウを学んでゆく形で行います。

参加費;作業参加者は基本的に参加費は発生しません。食事代(4食)が合計数千円程度、ご負担いただくと思います。オブサーバー参加をご希望の方は、その旨をお知らせください。

申し込み方法;高田造園設計事務所まで、メールまたはお電話にて申込みください。

 全国から自然環境再生への志高い、面白い人たちが集まります。夜は矢野さんの講義含め、熱い交流会になることと思います。お気軽にお問い合わせください。

さて、建築中の山小屋を少し紹介します。



 77歳の元気な棟梁を中心に、これまで解体した古民家の材料を再利用して、昔の工法でくみ上げています。




構造材に一本の釘もビスも使うことなく、木組みだけで重量感と風格のある素晴らしい小屋が組まれていきます。



 傾斜地を造成することなく、地形を極力傷めず、改変せず、そのまま石を置いて基礎とし、掛けづくりでくみ上げていきます。
 筋交いを用いず、昔ながらの抜き板による柔軟な構造でくみ上げます。



自然石に合わせて柱付きを削り、合わせてゆくこの昔ながらのやり方は非常に強く理に適っています。
 そして大地を傷めない。今はこうした技が失われつつありますが、後世に伝え活かしていかねばならない技と感じます。



杜の中の舞台のようなこの小屋は、現代の私たちのライフスタイルを問いかけてくれます。
 13日のオープンを目指して今、連休返上で作業を進めております。






投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
造園と土壌通気浸透水脈~名古屋市の庭より  平成27年4月13日

 ブログを見てくださる皆様、大変ご無沙汰しております。あわただしく飛び回っているうちに、今年もいよいよ新緑の季節を迎えることに差し掛かりました。
 この時期の雑木の庭は、一年の中でももっとも清らかな季節となり、これまで庭を作らせていただいたお客様方々から次々に庭の写真とうれしい便りが届きます。
 それは本当に、この仕事をしていてよかったと感じる、幸せな瞬間でもあります。

 
今年に入ってからの数か月、実にいろんなことがありました。このブログで報告いたしたいと思いつつ、いつの間にか時間が過ぎてしまいました。

 何から紹介したらよいものか、まずは3月に竣工しました名古屋の庭をご紹介いたします。



 ここは名古屋市Nさんの庭。3月中旬に竣工したばかりのこの庭も、植栽後3週間を経て新芽が芽吹き、健康な穏やかさを感じさせてくれている様子が伝わります。

 4方森に囲まれたこの地に越されたNさんは、家を建てた後、目の前の森が伐り払われて宅地開発が始まり、谷が埋められて造成されてしまい、周囲の景観が一変してしまいました。
 理想の住まい環境をやっと見つけられ、そしてそこに家族のかけがえのない新居を建てられたNさんにとって、周囲の自然環境がなくなってしまえばここに家を建てられた意味はないのです。
 「法に基づいた開発行為」に購うこともできずに、ズタズタにされる人の心と自然環境。
 
 落胆しても始まらず、Nさんは失われた目の前の森を自分の敷地の中で再生することを決意し、そして先月、家の東北側に残された雑木林を庭に繋げて引き込むよう、そんな意図で庭が完成しました。

 自然環境の再生、そのためには木々を単に景観としてばかり捉えて、見た目の自然を再現しようとするのではなく、呼吸する大地の健康な状態を再生し、そしてそれを周囲の残された自然環境へと繋げてゆくことでこそ、本当の意味で、健康で豊かな環境の再生は可能となります。
 健康な根があっての健康な木々なのですから、目に見える地上部ばかりでなく、目に見えにくい足元の大地の環境を、健全な形へと再生してゆくことこそ、その庭が本当の意味で周囲の自然環境と一体となりえる、そのための欠かせない条件であることを知る必要があります。



 締め固まったNさんの庭、粘土質と礫の混ざった土は固く、このままでは通気も悪く、健康に根が入り込める条件ではありません。
 植栽にかかる前に、土中の通気浸透性の改善のため、雨落ち排水を兼ねた横溝と縦穴を掘っていきます。

 基本的に、そこにある土を改善して、植栽条件を整えるのですが、土がよくなってゆくためには土壌の通気透水性の再生こそがそのカギとなるのです。
 
 従来、高度成長期以降のトラック運送時代の造園においては、植栽する場所の土が悪ければ他からよい土を持ってくればよい、その程度の認識が当たり前に蔓延してきました。以前の私もそうでした。
 しかし、「その残土はどこに行き、そして庭に使う良質の土はどこからくるのか。」そんなことを考えるに従い、なるべく土をよそから持ってくるのではなく、その土地の土を健康に再生して用いたいと思うようになり、そして10年くらい前から、剪定枝を堆積して客土に用いる土を作ってゆくようになりました。
 今は客土すら、なるべく行わず、できる限りその土地全体の土壌が自然の力で育ってゆくような、そんな環境を整えることから造園を始めるようになりました。

 土は、土壌内の通気環境次第でよくもなるし悪くもなります。どんなに良質な土壌を客土しても、元の大地の通気浸透性が滞っていれば、数年以内に新たな土も次第に硬化し、悪化してしまいます。
 逆に、どんな土でも、自然本来の健全な水脈を再生して地下の通気性と透水性を改善しさえすれば、その直後から土は改善されていき、生き物が息づく大地が再生されてゆくのです。
 今の時代、今の環境の下では、通気環境の改善から行わねば、木々が健康に呼吸できない、そんな環境が今、急速に増え続けていることを、この仕事を通して痛いほどに実感させられます。



 有機物を活かした暗渠構造。漉き込んだ有機物は竹筒の気抜き孔を通して呼吸しながらゆっくりと分解し、土に還っていきます。同時に通気性のよいこの気抜き孔に向かって草木の根が入り込み、絡み合い、筒が腐植に変わる頃には木々の根が筒状に張りめぐらされて通気孔の機能を、代わって保つのです。



 礫やこぶし大の石すら混ざる粘土質の重たい土で作業は大変ですが、なるべくこの地の土を改善して使っていくことが大切です。
 従来の造園世界では、「こうした硬くて粘土質で石交じりの土はよくない」 と考えて、すぐに土を入れ替えしようとする人も多いのですが、それは間違いであることは、こうした土壌条件の下で豊かな森を作り上げてゆく周囲の森の木々の健全さを見れば、一目瞭然のはずです。



 家屋に隣接する雑木林の桜の大木。
 この土、この風土において、大地の通気環境さえ健全に保たれていれば、木々は十分に健康に、いのちの環境をすくすくと育んでゆくことが分かります

 問題は、土地造成や道路工事、家屋外構建築等によって、呼吸する大地の環境を無残に壊してしまう人間の所作、そんな今の建築土木の在り方にあります。土地を傷つけて木々の呼吸。大地の呼吸を断ち切ってしまうのも人間ですが、その人間が壊してしまった環境が、持続的に再生されるよう、働きかけることができるもの人間です。
 人が壊してしまった以上、人の手でその大地の呼吸を健全に戻してゆく、そんなことも今の時代、そしてこれからの時代、必ず必要とされることでしょう。



 水脈再生作業の後、やっと植栽です。狭い庭ですが、木々を高めに植えて地形落差を付けてゆくことで、地中の水と空気が動きやすい環境を作ります。



 そして植栽後の表層の保護には、周辺の山林から落ち葉の下の、落ち葉が分解しかけて根と絡み合った腐植と呼ばれる部分を山からいただいて敷き詰めます。風に飛ばないよう、落ち枝を絡ませてゆくと、今できたばかりの庭とは思えないほどに自然な地表が完成します。
 この有機物が表層の土壌生物活動を活発にし、表土の通気孔を守ります。



 そして3週間後、芽吹き前の木々は生き生きとした森の空気感を感じるほどに、この土地の自然と一体化の営みを始めています。



 先日、竣工したばかりのNさんの庭に、愛知県自然環境課の視察が入りました。
 自然豊かだった市街地へと次々に開発が進む愛知県では今、良好な自然環境を少しでも次世代に繋いでゆくため、開発地域の民有地、個人の庭も含めての、生態系ネットワークを構築しようとしていると言います。

 そして今回、地域生態系に配慮した自然環境再生型の庭の事例として、Nさんの庭を視察に訪ねられました。



 愛知県の進める生態系ネットワークとは、開発などによって分断された自然環境を、その土地の生き物環境に配慮した植栽等によって繋ぎ、地域本体の生態系を保全する取り組みと言います。

 時代は変わりつつあります。そしてそれに伴い、人間はじめ生きとし生けるものたちの源である自然環境の再生のために担うべき、造園の役割が形として見え始めている、社会づくりに必要とされている、そんなことを改めて実感されます。



 名古屋市守山区 小幡緑地。Nさんの住まいのすぐ下部に繋がります。
 ここが名古屋市内であることを忘れてしまうほどの豊かな自然環境が、まだかろうじて良好な状態で保たれています。



 そして、小幡緑地に湧き出す地下水が沼地の豊かな生態系を維持してきました。
 今回、この緑地の上部が切り開かれて宅地となり、この湧水もこの自然環境も影響を受けて、姿を変えてゆくことでしょう。



 自然環境は「保護地区」や「緑地保全地区」などと言う、これまでのような部分的な面積保全ではなく、全体を繋いで、いのちの環境として良好に保つということがどういうことか、そんな視点が必要です。
 その点で、開発地域を含めた生態系ネットワークを再生しようとする愛知県自然環境課の取り組みは、これからの時代にふさわしい新たな挑戦と言えるでしょう。
 それが、単なる見た目の景観としての自然環境再生ではなく、その大地を息づかせる根本たる水脈、流域としての自然環境全体を繋いでゆく大地の水脈の再生の視野を持って、本当の意味での自然環境再生に繋がることを願うばかりです。
 大地の呼吸、水脈の再生、それが不可欠なものとして普通に配慮される時代の到来を夢見つつ、私たちも熱く力強く歩んでまいりたいと思います。

 名古屋の造園工事、私たちと共同で作業してくださった、jinengardenの江川さん、美野園の渡辺さんはじめ、応援に駆け付けてくださった方々、この場を借りて心から御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

 



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
カフェどんぐりの木お話会、キャンセル待ち受付のご案内  平成27年3月6日

 先日お知らせいたしました、カフェどんぐりの木でのお話会「木と人、生き物と大地、共に生きる未来」(3月21日開催)について、お申し込みが定員を超えましたため、これからの受付についてはキャンセル待ち受付にさせていただきます。お申し込みくださいましたすべての方に参加していただきたいと思いますが、会場に限りがございますため、ご理解くださいますようお願い申し上げます。

 なお、キャンセル待ち受付された方で、今回やむなく参加できなかった方には、次回の講座などの際、優先的にご案内させていただきます。

 今回の講座の内容は、身近な樹木や自然環境の診断のポイントを切り口に、いのちの源と言える土壌について、そして大地の血管ともいえる土の下の水と空気の流れについて、なるべく分かりやすく、そして詳しくお話ししたいと思います。
 攪乱された大地が、見えない土の中でどのようなプロセスで健康を回復してゆくか、そしていのちを育む源である豊かな大地の環境をどう育み、そして未来へと繋いでゆくか、そんなお話ができればと思います。

講座のご案内、キャンセル待ち受付は、こちらまで。


投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
つくば市春風台の環境改善工事     平成27年2月26日


  つくば市の大型新興住宅地、春風台の緑地環境改善工事の開始です。

 この住宅地は、自然環境共生型の暮らしを理念に掲げ、住宅一区画につき、接道部分に約60坪の景観緑地、そして家の背面に約40坪の農園スペースを兼ね備えた、合計109区画の未来志向の住宅地です。

 この日の作業は、緑地の通気浸透水脈改善と、健全な雑木林再生型植栽モデルのデモンストレーションです。
 春風台の住民方々や地元造園業者方々が入れ替わり立ち代わり訪れ、興味深く見つめる中での作業となりました。



 6年前に新興住宅地として開発造成され、そして植栽された木々は数年経過した今も状態が非常に悪く、次々と衰退・枯死が進んでいます。せっかく景観緑地の理念を持って、広大な緑地スペースを確保されたのに、植えられた木々が元気でなければなんにもなりません。
 どうしてこうなってしまったのか、その原因は、開発造成に伴う土壌環境の悪化にあります。
これを改善して、健康ないのちを育む大地環境へと再生してゆくためには、単に従来のような根鉢周辺の土壌改良や客土だけでは対応できなくなってきました。
 
 長く造園の仕事の中で木々に向き合い、土に向き合いながら、悪化し続ける大地の環境に気づきます。
 普段は目に見えない土の中で今、何が起こっているのか、それを人に伝え、仕事の中で改善の手立てを施してゆくこと、これからの開発、これからの造成においてますます大切な考え方となってゆくことでしょう。



 地元協力業者によって、衰弱した高木の掘り取りと工事個所の芝剥がしが前日になされ、いよいよこの状態から、確実に木々が健康に育ち、土壌環境が健全化してゆくための工事実演です。
 高木植栽箇所は60坪の緑地区域に3か所設けます。



 植栽部分の掘り下げの後、その四隅に縦穴を掘り、節を抜いた竹筒と、木炭を中心とした通気改善資材で縦穴を埋め戻します。
 土壌の通気浸透性が悪い条件下で、土壌環境を持続的に育み、そして木々を健康に育てるためには、この縦穴による土中深部までの通気浸透改善が決定的に大切なこととなります。
 悪化した土壌環境の下では、単に植栽のための植穴だけ土を入れ替えても、その土は一向に良くなっていかないどころか、植穴の底に新たな不透水層を作ってしまい、それが滞水を促し、徐々に根を腐らせてしまうことに繋がる結果を招くこともよくあるのです。
 
 「客土・土壌改良」までは、従来の造園作業の中で普通に行われてきたことですが、それが効果的な結果につながるのは、元の土壌の通気浸透能力が健全であるか、あるいは健全に再生されてゆく状態である場合に限られることなのです。
 ここまで自然環境を悪化させてしまった今、根本的な大地の呼吸から再生してゆくのための手立てを打っていかねばなりません。



 縦穴通気口設置後、植穴の下地土壌を重機でほぐし、乾燥枝などの有機物や木炭をサンドイッチしながら土を埋め戻していきます。
 土中の水脈が再生されると、この植栽マウンドから表層水が吸い込まれて動き出し、同時に空気がストローのように土中深くへと吸い込まれていきます。
 それによって、土中深い位置にまで、様々な生物が生育できる環境が広がっていきます。そしてそれが土壌の団粒化を促し、樹木の根が深部にまで入り込んでゆきます。乾燥枝はいずれ腐って土に還ると同時に、その頃には絡みついた木々の根が太くなって、敷き枝に代わって土圧を支え、通気環境が持続的に維持されるのです。



 表土の埋戻しには、既存の土にバーク堆肥等を混ぜて改良して埋め戻します。



 土中環境再生のためには、地形落差が必要で、ここでも植栽地を盛り上げて、土中水が動きやすい環境を作っていきます。
 また、雑木植栽はこうして根鉢が接するほどに密植することで、木々の共存効果と競争効果が植栽直後から始まり、早く健全な状態へと生育していきます。




 同じ作業を繰り返して、2つ目のマウンド植栽が完了し、木立越しに家屋風景に奥行きが感じられ始めます。




 3か所の植栽マウンド完了。1区画の景観緑地にこうして3か所ずつ、互い違いに植栽していきます。
 これは平坦な大地を吹き荒れる強風を緩和する上でも効果的な配植となります。



 さらに、この住宅地全体の大地の血管ともいえる通気浸透水脈の再生のため、敷地の接道側に空堀を掘り、その要所にまた、縦穴通気浸透孔を設けていきます。
 これを、この水脈が停滞した住宅地全体で行うことで、造成前の健全な土中環境を再生してゆくのです。



横溝の水脈も、地形や植栽配置に応じて緩やかにカーブさせていきます。地形に逆らわず、その土地の特性に応じた曲線で配してゆくこと、このことが実は非常に大切なことなのです。
 
 自然界の表層環境は、水と風とが動かして、落ち着かせていきます。そこに直線は決して存在せず、水の動きや空気の動き、それに土質、地形、生物環境とが、なだらかな流線型の地形環境を作って大地を落ち着かせていきます。
 だからこそ、地形に逆らわずにつくられた昔ながらの田舎道には直線はなく、それが自然の力を妨げないがゆえに、大掛かりなメンテナンスを要せずに何百年と保たれるということは、各地の山中の古道を見れば明らかに理解されます。
 そんな自然の働きを顧みずにつくられた直線的な構造物に対しては、自然界はそれを壊して安定させようという作用が働きます。そして人間はまた、壊されまいと、自然環境に対して強力な機械力で対抗し、そこに尽きることのない、自然と人との対立が生じます。そんな、これまでの開発の在り方を、大地の呼吸が完全に止まってしまう前に見直さればなりません。



 固い土を穿って溝彫りすると、表層土の断面が見えてきます。芝生地面の下に10センチの位置に固く、通気不全の環境下で青く変色しつつある、土層が形成されていることが分かります。
 この環境では通気も水も滞り、生物環境は極めて単純で不健全なものとなっていきます。

 この住宅地が農地転用を経て開発されたのは6年前のことですから、この硬板土層が形成されたのは、その後のわずか5年程度のことなのです。たった数年間で、広大な大地がこうして不健全な状態へと変貌し、生き物が健康に生育できない環境を次々に広げてしまったのです。

 日本の大地は、私たちの今の暮らし方によって知らず知らずのうちにこうして、その命の源である豊かな土壌環境から失ってしまいつつあるのです。
 その先には、人間が健康に生きてゆくための未来の環境はないのです。
 
 よい暮らしの環境を提供するのが造園の仕事であるのなら、見た目ばかりでなく、こうして足元の自然環境から健康に再生させてゆくことが、今後ますます必要とされることでしょう。



 大地の環境を改善しながらの植栽工事は大変な重労働で、一日の工事が終了する頃にはぐったりと疲れ果て、日が陰ります。
 でも、やりがいのある仕事です。この街全体がこうした作業によって素晴らしい環境へと再生される日が目に浮かびます。

 私自身、土中の水脈環境にまで目を向けて、その改善に本気で取り組み始めたのはほんの半年前からのことです。
 それまで、私は健康な自然環境を庭に作ると言いながら、実際には目に見える地上部の環境にばかり配慮してきたのかもしれない、そう反省しています。

 実際、これまで作ってきた庭の中でも、健康な環境へと育つ場所もあれば、そうではなく、木々に精気がなく活力ある環境へとなかなか育っていかない場所も確かにあります。
 根本の原因は大地の通気環境にあることが、今ははっきり分かります。

 どんな環境においても木々を元気に育てたい、生き物のにぎやかな気配溢れる環境を庭に作りたい、そんな想いで健康な庭つくりを追及してきたその果てに、大地の呼吸の問題に行きつきました。
 健康な未来は健康な大地の環境を再生することなくしてあり得ません。

 3月21日、カフェどんぐりの木でのお話会では、この大地の環境について、優しくご説明いたしたいと思いますので、多くの方の申し込みをお待ちしております。

 お話会のご案内はこちらより。

 

 

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
「木と人、生き物と大地」 お話会のご案内  平成27年2月22日

 「木と人、生き物と大地 共に生きる未来」 市民講座&お話会のお知らせ

 3月21日(土・祝)、千葉市内のカフェ「どんぐりの木」にて、市民講座を開催いたしますので、下記の通り、ご案内申し上げます。

*日時 3月21日(土・祝)
    14:00~16:00(開場13:45)

*参加費 1000円(お茶つき)

*主催・会場 cafeどんぐりの木
         
(京葉線 稲毛海岸駅から徒歩8分)

*定員 25名程度
    
*お申込み・お問い合わせ
 cafeどんぐりの木
     電話 043-301-2439
     メール donguri35506@yahoo.co.jp

 なお、高田造園設計事務所でも、お申込みを受け付けております。電話でもメールでも、いずれも構いません。お気軽にお問い合わせください。

*講座内容


 多くの方々にとって身近な緑である、街路樹、公園樹木、庭の木々の健康問題といった視点から、今の自然環境、特にこれまであまり語られることの少なかった、様々ないのちの根本である大地の環境について、分かりやすくお話いたします。
 全ての生き物にとっての命の基盤である自然環境について考えるうえでの大切な視点を知っていただき、木々も人も健康に生きてゆける住環境、生き物の気配溢れるかつてのにぎやかな自然環境の再生、そこに暮らす人たちのふるさとの風景となる街の緑について、そして、人と生き物、大地との共生について、理解を深めていただきければと思います。

 講座のご案内はこちらをクリックくださいませ。
 
 自然環境に関心のある大勢の方のご参加を心よりお待ちしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
         
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