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雑木の庭つくり日記

新年初工事 埼玉県八潮市 低地の植栽 平成31年1月17日
 
 皆様明けましておめでとうございます。私たち含む、世界中の人たち子供たちにとって、今年が平和で、たくさんの希望を感じる年となりますように・・。
 今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、昨年から断続的にかかってきました埼玉県八潮市の庭、植栽と土中環境改善を進めております。



 八潮駅近くの新興住宅地は、水のはけにくい低地に最近造成されました。
 造成によって土の中の環境もさらに悪化して、掘ればいたるところに停滞水がじわじわと浸み出します。
 今は、これまで人の住まなかったような立地だろうが、構わずどこにでも大規模に造成されて売られる時代ですので、こうした、環境的に問題のある土地は当たり前になってしまいました。
 しかし、こうした場所でも、庭の植栽の仕方によって、土地を育ててゆくこと、回復させてゆくことも十分に可能です。

 今回、少し、植樹を追って紹介します。



 まず、環境つくりのための植栽は、一本単位で植えず、自然群落の組み合わせを参考に、高木、中木、低木を、必ず組み合わせで植えていきます。根鉢と根鉢をくっつけ合うように植えることで、土中菌も多様化し、そしてそれを木々の根もお互い利用し合うのです。
 自然界では菌糸のネットワークの中で草木が情報交換といのちの補完を行っているのと同様のことを、庭の環境に作ってゆくのです。



 先の植栽マウンド、植栽完了後。景観だけでなく、こうした植栽群を適切に点在させてゆくことで、土地改善の起点を作ってゆくイメージです。



 こちらは同じ庭の中庭側で、昨年秋の植栽終了して今の様子です。その数か月全く水を与えずとも、木々は生き生きいています。



 確認のために、1本を掘り取り、根と菌糸の様子を観察します。
 秋植え後の冬だというのに、わずか数か月ですでに、根と共生する白い菌糸はびっしりと張り巡り、そして新たに細かい根がたくさん出ています。そしてその根の先の方にも、白い菌糸が多い、根と養分や水分の交換を行っている様子が分かります。

 こういう状態になれば、木は水を与えずにもたくましく生きていきます。菌糸が乗ってこないと、いつまでも生長不良が続きます。菌糸が乗ることではじめて、新たに植えた木が土地のいのちの仲間入りを果たしたと言えるのです。

 菌糸が健全に土中を覆い、木々の根と共存してゆく、土中環境の再生が、荒廃地でも健康な庭を作るために、最も大切なことになります。

そのために、土中環境つくりは十分かつ、臨機応変に行う必要があります。



 植栽する場所の下地に炭と燻炭を混ぜて攪拌したうえ、縦穴を数か所開けていきます。



 その縦穴の中に古瓦片と炭を入れて、通気透水層を、根鉢の下に作っていきます。





 そして、木々のバランスを見ながら、改良した植栽下地地盤の上に置いていきます。
 一か所にこれほどの木々を、しかも根鉢をくっつけるほどに密集して植えます。



 植えるというと、穴を掘って根鉢を入れて埋め戻す、そんな風に考える人が多いと思いますが、こうした外周道路との高低差に乏しい今の大規模住宅地、しかも、ここは本来低湿地、こうした庭で穴を掘って木を植えると、多くは酸欠や根腐れの症状を呈してしまいます。
 穴を掘るなら、植える場所の隣を掘って、その掘った土で盛って植栽する、これは実は、それこそ昔からの日本の環境林造成の手法であります。




正面が、今の場所の植栽埋め戻し後です。これで終わりでなく、まだまだやることあるのですが、その手順はまたいずれ紹介します。
 
 玄関アプローチの石畳も、自然に植えられた木々の合間でようやく落ち着きを感じさせてくれます。




 こんな感じで、植栽群落を一つずつ丁寧に、土中環境から作ってゆくことで、高低差のない低湿地の住まいの庭も、健康な森となっていきます。

 環境が健康であれば、小鳥も楽しそうに囀ります。人もやさしくなれます。
 そして、ひんやりと、深呼吸したくなるような発酵した土の香りが感じられる、そんな環境となって住まいを包んでいきます。

 広いのでまだまだかかりますが、また報告いたします。

それでは皆様、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
麻賀多神社旧裏参道 地すべり斜面の安定造作 平成30年11月4日
 

 ここは千葉県成田市台方、麻賀多神社。
 終戦の前年、この地に降ろされたという日月神示で有名なその鎮守の杜には、東日本一とも言われる大杉をはじめ、巨木たちが今もかろうじて、この太古からの豊かな営み香る、この地を見守っているようです。

 鎮守の杜、それは本来、その地域の環境の要を守るべく、本来その神域は、一山丸ごとあてがわれてきました。ところが今、多くは本殿拝殿の周辺のみを鎮守として残すのみにまで、極度に縮小されたケースが非常に多く、この麻賀多神社も同様に、今や鎮守の杜は、かつての森のほんの一部にしかすぎません。

 なぜ、古来から土地の要の地として鎮守を定め、その環境を守ろうとしてきたのか、その意味を今こそ問い直されねばなりません。



 麻賀多神社の旧裏参道だった小道において、長年土地の豊かさを守ってきた巨木も今は次々に伐られ、殺風景で霊気もない、つまらぬ道に変わり果て、その光景に落胆を隠すことができません。
 でも、これが今の日本の現状です。巨木は、単なる危険物として次々に伐られ、そしてそのあとには歴史も風土も感じさせてくれる光景が何もない、乾いた土地へと変貌します。



旧裏参道、本来鎮守の木々に守られた石段の道だったであろうこの道も、いつしかコンクリート舗装の車道となりました。
 そして両脇の斜面は、崖条例指定区域とされるほどに荒廃し、不安定な土手には、荒れ地の雑草が喧嘩するように競い合って徒長し、そしてそこに周辺の住人が除草剤散布する。
 その結果、土壌は傷み、表土を守るべく草木根も枯れ果て、そしてまた崩落が進む悪循環。
 こんなバカげたことが今、全国の田舎で繰り返されているのが現状です。



 土壌が安定構造を保つことのできないまでに蹂躙され続ける土地は、たとえ傾斜が緩やかであっても、地すべりや斜面崩壊、土砂の流亡は続きます。
 ここでも、斜面全体に無数の小規模崩壊が常時発生し、そして道路をも埋めていきます。

 このたび、この土地を取得されたTさんの依頼により、この参道の土壌環境再生による土地の安定のための造作を行いました。
 
 崩壊斜面の安定のためには、コンクリート擁壁など力で抑え込む必要など、全くありません。
 その斜面の土の中を、水と空気がともに健全に動く、そんな環境さえ整えることができれば、そもそも地形を崩そうとする土圧など発生しないのです。
 そうした自然の摂理に基づくやり方があり、そしてそれは特別な技術者でなくたって、だれにでもできるものだということを知っていただききたいと思います。




斜面のキワに、垂直の段差となるように切込み、そしてそこに横溝、縦穴を掘り進めます。




 垂直段丘の形成、横溝、縦穴終了後、縦穴に竹筒を差し込み、枝葉を漉き込みます。



 そして、斜面際に現地での竹林整備で発生した竹を用いて、キワの土留め柵を編んでいき、



 そしてその柵に剪定枝葉を絡ませ、そして埋め戻します。
 この枝葉が適度な湿潤状態で分解が進むと同時に、分解の過程で増殖する土中菌糸がそこから延びて、斜面の通気性保水性を高めていきます。
 そんな状態が生じるころにはもはや、土圧も水圧も発生しない状態となるのです。



裏参道沿いの斜面下部、水が集まりそうな地形。
 土中環境の衰えとともに進入した竹林の中になお、大木が残っています。
 今回、竹林整備と同時に、この水脈の要の地に大きな穴を穿ち、土中通気透水環境の改善を図ります。



 
 斜面を下って道が折れ曲がる地点、ここが土中水脈の要、心臓部と言える場所、ここに深さ2m近い大穴を掘り、そこで整備の際に発生した伐竹を燃やし、炭化させます。



 いい感じに炭になり、炎がおさまり炭火となるのを待ちます。



そしてそこに土をかぶせ、



よく踏んで、空気の出入りを遮断します。
これによって炭が灰になることなく、現地の残材を用いた埋炭が完成していきます。



 こうした一連の土中環境造作により、重苦しかった土地も軽やかに、明るさを取り戻してゆくようです。



 そして、この穴が大地の呼吸孔であり、それを守るべく、ミニ鳥居を作って据えました。
 龍神様の守りです。



 地すべりが止まない不安定な土手が、こうした一連の造作で安定し、そして斜面の土壌はますます健康なものとなっていきます。




 そして、キワの土留めの上部のミニ段丘は、直線状に造成するのではなく、微妙な地形に応じて、変化をつけていきます。
 こうしたきめ細かな観察と造作が、斜面安定のための重要なカギの一つとなるのです。

 この後、微妙な谷部分で、再び小規模な崩壊が起こるのですが、それでよいのです。
 自然が、大地の健康を取り戻そうとして起こる現象の一つが斜面崩落です。
 この、人為的な段丘形成によって、この斜面はこの造作をきっかけにして、再生へと動き始めます。
 すなわち、斜面安定のために、もう少し地形を変える必要のある個所を、この後、小さく崩していきます。そして、そこに土中菌糸と草木根が呼び込まれて、安定した土手となっていくのです。




 これでこの斜面は、改善に向かいます。上部の土壌環境もまた、豊かに育っていきます。

空気と水の通りの良い、自然の営みに逆らわない造作は、何とも言えぬ美しさと落ち着きを感じさせてくれます。





 総延長100m近い参道沿いの崖面道路際に、合計55か所の縦穴通気孔を設け、竹筒を通して土中深部から安定させてゆく。それが土地の自然本来の安定化作用との協業で行われるのが私たちの環境造作です。

これで土地は安定に向かうのです。




 そして、この枝を絡ませた、枝絡み土留めが土の循環へと還るとき、ここに安定した段丘が自然の力で完成していきます。
 私たちの環境造作は、自然の安定作用に対する、ほんのわずかなお手伝いに過ぎません。

 地すべりに対して、擁壁を巡らせて力任せに抑え込もうとしても、それは決して永続しない。永続しないものに守られる住環境など、本当は砂上の楼閣と変わらないのです。

 むしろこうして、自然の作用に従い、自然本来の呼吸する地形の中に、人の都合の良い営みを溶け込ませてゆくことで、環境の豊かさの源を高めながら、共存の美しさを育むことができる、そんな造作が当たり前になれば、かつての美しい人の営みの風景はまた、戻ってくることでしょう。

 かつては当たり前におこなわれてきた、智慧に満ちた環境造作を今、多くの人に思い起こしていただきたいと思います。


 
投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
埼玉県北本市、住まいの外空間竣工 平成30年10月4日
 

  台風一過、夏前から断続的に取り掛かり続けてました埼玉県北本市Tさんの住まいの外空間が本日竣工しました。
 
 

 周辺を畑に囲まれた旗竿地、家屋に至る車道は、降り注いだ雨水がすべて浸透して大地の循環に還ってゆく、そんな下地作りを完璧におこなっておりますゆえに、あれだけの台風直後でも表層ウッドチップの飛散はなく、豪雨でも削れることなく、ぬかるむこともありません。
 土が呼吸する、昼夜、地上と地中を上下に空気が行き来する事で地表の有機物が絡み合い、静かでしっとりした微環境を作ります。そこに土中の菌糸が絡み、車道においても多孔質で安定した土中の環境を醸成してくれるのです。



 車道を抜けて、フロントスペースは駐車展開スペース件広場となります。ウッドチップはいずれ、うっすらと芝生や野草が多い、心地よい野となっていきます。

 右のポストスタンドの奥、駐輪小屋の脇を抜けて玄関に至ります。



 玄関わきの駐輪小屋は、ちょうど浄化槽の上のデッドスペースを利用して、簡素でざっくりとした質感で作っております。



 駐輪小屋の屋根は、灌水せずに天水だけで草が維持される、草屋根仕上げです。
施工直後の表土の保護のため、ウッドチップを敷いておりますが、これもまた、台風後も飛散せず、保たれます。
 屋根の上のような環境でも、微生物菌糸の作用を活かすことで、潤いのある快適環境が作れるのです。



 駐輪小屋のほかに道具小屋と二つの薪棚を設けてます。小屋も薪棚も、こうした建物造作において最も大切なのことは、木々越しに佇まい良く収めてゆくこと、配置やスケールがとても大切になるのです。



 フロント広場スペースと小屋の佇まい。手前の玄関アプローチは様々な古材を組み合わせて、施工直後からこの場所に溶け込むように心がけてます。



玄関からの見返りの景




 中庭側からの道具小屋と薪棚の佇まい。
小屋端建具を含めて古民家解体の際に得た古材をふんだんに用いて作ってます。



 薪棚は極シンプルに。



 中庭とベンチの佇まい。



南庭。あと2年もすれば、全体が夏の間の木漏れ日の下の涼やかなデッキの空間になっていくことでしょう。



 西側のプライベートスペースは家屋窓からの景や西日除けとしてだけでなく、回遊して草木を楽しむスペースです。
 写真の手前には1坪菜園を配してます。



 植栽は群落単位にマウンドを盛り、通気孔を掘り、大地の呼吸を整えながら仕上げていきます。
 表層には腐植の進んだ落ち葉枯れ枝ウッドチップ炭燻炭を配合し、森の表土の状態を醸成していきます。
 スポンジのような土壌環境が保たれることで、この腐植もまた絡み合い、菌糸によって捕捉されて、施工直後の台風直撃の後も飛散することなく落ち着いた表情を見せています。

 こうした、生きた環境を丁寧に作り続けることで、わずかな点でも大地の呼吸を繋ぐことができる喜びと、今の住環境の問題、自然の法則をますます知る機会感じる機会を失った社会や人、そうした現代の大きな問題に気づかされ、自分のすべきこと、伝えるべきことに改めて気づかされるのです。



 いのち息づく空間がこうして一つ、生まれました。ここでの暮らしを心豊かに育みつつ、土地を育ててゆく、そんな暮らし方を思い出すことが今、改めて必要に思います。
 
 お施主のTさん、長らくお待たせしました上に、思うままに環境再生の場を与えてくださり、どうもありがとうございました。

 
 




投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
呼吸するコンクリート駐車場をつくる。 平成30年8月11日
 
皆様お久しぶりです。高田造園設計事務所の高田です。今年は公私に多忙を極め、数か月ぶりのブログ更新となりました。

気づいたらもう何か月もまともな休みの日はとれておらず、ようやく明日からお盆休みに入ります。21日まで10日間のお休みをいただきます。
 私自身はお盆中もすべきことが山ほどあり、ほぼ毎日活動しておりますが、3日間程度は子供と山登りに行く予定でおります。溜まりに溜まった心の塵をきれいに落とし、また怒涛の後半期、天地人、現代未来に対し、意義のある仕事に努めたいと思います。

 これでようやく今年の前半期終了となります。
 高田造園、そして私たちの環境活動に関わってくださった皆様、本当にありがとうございました。
また、工事や手入れを長らくお待ちくださっている方々、大変恐縮でございます。
お盆明けにまたご連絡いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、本日、千葉県佐倉市で施工中の旧家敷地内車道および駐車場工事が植栽を残してほぼ終了しましたので、過程を報告させていただきます。



8年前に竣工した旧家Aさんの庭、家屋建て替えに伴って痛んだ環境の再生および駐車場、車道工事が大方終了しました。


 
 車道部分はコンクリートの洗い出し、そして玄関前の3台分の駐車スペースは、コンクリート盤および洗い出しと、コンクリート工事です。

 「高田造園がコンクリート使うの?」と思われる方が多いでしょうが、高田造園のコンクリート施工は、コンクリートの下で、しっかりと樹木根も微生物活動も健全におこなわれて、しっとりとした大地の呼吸も根の動きも妨げない、徹底して、そんな配慮と工法を考え、施工します。

 従って、真夏の日中、日差しを浴びたコンクリート表面も、生きている下地土壌からの冷気できちんと冷却されます。また、下地の土を全く痛めないため、コンクリートと言えども微妙なクッションが働き、足も疲れない。
 その上、下地にしっかりと根が張り巡らせてゆくため、地盤は本当の意味で安定し、よい環境が持続します。

 今、街も里も奥山も、これまでに我々が経験したことのないほどの環境の荒廃を目の当たりにしておりますが、その原因の多くは、自然環境の法則を無視した力任せの現代土木造作がきっかけとなる例があまりにも多い中、こうしたコンクリートを用いた車道造りにおいても、きちんと大地をケアして土中の通気浸透環境を全く痛めずにむしろよりよく改善し、土地の環境と一体化させてゆく方法があることも伝えていかねばなりません。
 
 今回、そんな施工の一例を少しご紹介いたします。



駐車場に敷き詰めるコンクリート盤は一枚の重量約500㎏、長さ4m、これを組み合わせて敷きつめていきます。

 ただ単に敷くわけではなく、コンクリート盤や車の重量が大地を圧迫して土中の生物活動を妨げず、さらには下地土壌の通気性、浸透性を損なわないような下地造りをしていきます。

 写真は、平板を敷く下地に焼いた杭を打ち込みます。1枚に対して3か所杭を打ち、これに菌糸や根を絡ませて、平板の重量を支える構造をとります。



 材料となるコンクリート盤及び、焼き杭。杭は表面がうろこ模様になるまで十分に炭化させます。
 つまり、炭の棒が土中でコンクリートの重量を支えるのです。
今回、車道と駐車場面積合わせて約160平方メートルに対し、200本近くの杭を打ち込んでいます。

 ちなみに、今回用いたこの巨大なコンクリート盤も、実は再生利用です。



 さらに、コンクリート盤の下に土中菌糸や樹木根を誘導する、通気浸透孔を開けていきます。
 この駐車場でやはり、200か所程度の通気浸透孔を設けました。



その穴には、炭と剪定枝を絡ませて、その分解に伴って増殖する菌類微生物の活動によって、さらに、建築工事に伴う締固めで傷んでしまった土地の改善を促していきます。

 上にかぶせて行くコンクリート盤は、この通気浸透孔をブリッジ状の構造で守るのです。



 そして、コンクリート盤をそっと置いていきます。



コンクリート盤の目地部分に、砕いたコンクリート片をコツコツと突き込んでゆくことで、全体を一体化して重量を受け、車の重量負荷を分散させます。



 そのための大切な材料となるコンクリート片は、以前に他の現場で解体したU字溝やコンクリートブロックなどを砕いて用います。
 環境の再生はすべて、有機物と無機物の循環です。自然界の循環がそうであるように、何も捨てずに組み替えて利用してゆく、それが良い環境を作ってゆくために最も大切な考え方かもしれません。

 スクラップ&ビルドの時代を早く脱却して、健康な大地を軸にしたすべての循環、そんな時代の到来を夢見ます。



 そしてさらに、駐車場のアクセントおよび車道部分はコンクリート舗装になりますが、その型枠設置後です。

 この下地造りが大地環境の健全化のために重要な作業となります。我々はそんな見えない部分に時間と労力を注ぐことで、どんな場所でも人によっても木々にとっても、そして訪れる虫や鳥たちにとっても心地よい環境へと育ててゆくのです。



そしてまた、下地に焼き杭を打ち込んでいきます。



 杭は下地地面より6センチほど高くし、この高さで鉄筋メッシュを載せていきます。



そしてまた、下地に数か所ほど通気浸透孔を設けて竹炭、枝粗朶を挿入します。



 そしてまた、下地への荷重を点状に支えて大地を圧迫しないように、解体廃材をこぶし大に砕いてそれを下地材に用います。



コンクリート下地、ワイヤーメッシュ敷設後。

 焼き杭によってコンクリートを支える構造で、下地には砕いたコンクリート片、レンガ廃材、ウッドチップ、炭、そして細い竹も入れています。空間を保つのに、有機物と無機物を組み合わせすのです。
 竹は、昔、鉄筋の代わりに竹を用いていた時期や地域や国があったようですが、昔の小舞下地壁がそうであるように弾力があり、環境上も機能的にも、いずれ劣化してゆく鉄筋に比しても非常に有効だと実感し、下地に積極的に用いております。



 通気を妨げず、自然界において石がかぶさったような状況を作ってゆくことで、心地よく呼吸する駐車場になっていきます。




 車道も同様に、すべての水がきちんと大地に吸い込まれて微生物によって浄化されていのちのエネルギーへと帰してゆくよう、丁寧に下地を造作していきます。

 見えない部分ですが、心地よく育ってゆく環境つくりのためにここが最も大切な部分なのです。




 そして一区画ずつ、コンクリート打設します。


 車道部分のコンクリート敷き均し後。



 そして、コンクリートが硬化する前に表面を洗い出して小石をごつごつと浮き出させます。
 これも、傾斜のある車道で降った雨が加速度を付けて流れることなく、目地から浸み込んでゆくための配慮と同時に、滑りにくいようにといった具合の人の使い勝手への配慮、さらには見た目の落ち着きをも、両立させてゆくのです。




 見た目は何の変哲もないコンクリート車道ですが、ここに降った雨は全て浸透して土地を潤していき、そして呼吸して心地よい環境を保ってくれる、そんな駐車場になりました。

 建築工事中はちょっとした雨でも泥水が流亡していたのですが、こうして車道完成後、先日の台風でも大雨でも、まったく泥水の流亡はありません。
 また、こうして土壌の通気浸透性が高まれば、周辺土壌もまた、さらに膨軟に良い状態へと変わっていきます。こうして土地は自然の働きによって再生されるものであり、私たちの造作は自然環境が自ら再生しやすいように、きっかけを作るにすぎません。逆に言えば、それだけでよいのです。すべてを人がやろうとしても、自然の働きには全く及ばないのですから。

 そして、建築工事に伴っていたんだ木々も、精気を取り戻してきたように感じています。

 見えない土中の環境つくりの作業を理解してくださり、徹底的に改善させてくださいましたお施主のAさん、どうもありがとうございました。

 
 人の造作が環境をよい方向に変えてゆく、それが本当の人のあり方であってそこにしか、持続可能な未来はありません。
 
 私の仕事はますます、こうした住環境ばかりでなく、里山奥山を含めた環境全体の再生の依頼が非常に増えてきました。
 街だろうが山だろうが、どこにおいても、息づく大地を保つこと、環境を豊かに健康に保つということはそれに尽きると言っても過言はないでしょう。
 私たちは大地の上で自然の法則の中、すべての循環の中でしか生きられない、それが厳然たる真理、そのために、そしてそのことを伝えるために、今年後半も全力で生きていきたいと思います。

 お盆明けもどうぞよろしくお願いいたします。皆様ありがとうございました。


投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
埼玉県飯能市の庭、竣工  2018年4月13日
 

 新緑まぶしいこの時期、あらゆる命にとって一年の中でも最も希望に満ち溢れる時期ではないでしょうか。
 この時期を新学期、新年度のスタートとしてきた日本人の感性に、心地よい親しみを感じます。
 さて、この一週間、泊まり込みでの集中施工で庭が完成し、また一つ、これから育まれる風景が生まれました。

 入間川の畔、背面の崖線の木々が借景となって繋がってゆく、そんな風景を意識しました。






 この庭の正面に、地元の憩いの場であると同時に週末にはたくさんの観光客でにぎわう飯能河原のゆったりした景が広がります。
 庭の背景として絶好のロケーションであると同時に、この庭が飯能河原の一角の風景として、訪れる人たちにとっても、さりげなく、飯能河原の心地よい印象を深めてもらえる、そんな庭を心がけました。



家屋側、玄関付近からの景。飯能河原周辺の森とつながってゆく、そんな植栽と空間配置です。






 この住まいのデッキからの眺めを構成する、その中で改めて、風景はせせこましい人間の所有を超えてつながっているという、ごく当たり前のことに気づかされます。
 風景ではなく、環境のつながりというのが本来なのでしょう。

庭を想うことで、生きとし生けるすべてのいのちのつながりに想いを抱く、そんなきっかけになる庭つくりができれば、そんな気持ちになります。



 こじんまりとした平屋、この場所にはこのスケールがたまらぬほどにしっくりと収まります。
 これが二階家屋であれば、背面段丘崖の木々とのつながりがぷっつりと途絶えてしまうのです。





 庭の木々越しの家屋風景。植えたばかりの木々も、植えられた直後からその土地の風景に何の違和感もなく溶け込む、そんな植栽の在り方が、数十年の風景を育むものと信じます。



 道路から見た庭の全景。
単純で一見何もない、シンプル極まりない空間ですが、周辺の景に違和感なく収まり、そしてこの地の風情をさらに高めてゆく、それが私立ちの目指す庭の極意かもしれません。



 
 庭の木々と背面段丘の木々。






 シンプルでいい。その土地の風景として、人間だけでなく、あらゆる命にとって心地よく愛される庭、そんな空間を作っていければ、造園という仕事は本当に今の時代にかけがえのない価値を発揮することでしょう。
 
 お施主のIさん、施工まで長らくお待ちいただきありがとうございました。

また、今もなお、お待ちくださっているお客様、一つ一つ心込めて作ってまいりますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
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