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雑木の庭つくり日記

施工庭、春の手入れ巡り 2件紹介   平成29年5月15日
 
 今年もまた、春の手入れの季節となりました。
 この時期はまた、庭を造らせていただいたお客さんとのうれしい再会の時でもあります。
 庭を介して、お客さんとこうして一緒に年を重ねていき、そして再会を喜びあう、本当に私たちの仕事はうれしく、ありがたいものとしみじみ思います。

 この時期の庭は一年で一番生き生きと清らかな生気がみなぎり、力をもらいます。昨日今日と、訪ねた庭を足早にご紹介させていただきます。



 ここは世田谷区、等々力渓谷にほど近い閑静な住宅街の一角、Mさんの造園外構工事の竣工は3年前になります。

 とても狭い敷地の中、駐車スペース、門を斜めに配し、版築の土留めと剪定枝柵、手製の木製門扉で結界をまとめてます。



 門越しの景。外から見るとうっそうとした森の様相ですが、中に入ると木々は互いに共存し、風の抜ける心地よい空間が続きます。



門から玄関に続く樹幹のアプローチ。



 玄関アプローチを数mも進むともうそこは別世界、門を振り返るっても道路の雰囲気がはるか遠くに感じられます。



 玄関前室となる風防室は、古材をふんだんに用いて昭和初期のモダンな雰囲気の家屋に合わせて構成しています。ガラス格子扉の向こうにまた、狭いながらも奥庭へのアプローチに続きます。



奥庭となる北側は、Mさんご夫妻の落ち着ける屋外のリビングスペースとなります。



 年数を経て庭は、住む人の心の清らかさをいっぱいに吸い込んで、ますます美しく、清らかに街の景色を潤していきます。庭の表情がより豊かに調和に向かって育ってゆくということ、庭は住む人の心の反映、そんな面が必ずあるように感じる瞬間です。



 そしてここは、千葉市中央区、竣工後一年余りの庭、主庭から裏門へと続くアプローチの景です。
 わずか1年半前までは空き地の草むらだった古都が想像できないほどに、心地よい樹幹のアプローチとして育ってきました。



 裏門の外は縦列駐車スペースです。駐車スペースと言えども、車の重量によって圧密されない土中環境を整えることで、緑の駐車場は可能となります。
 日常の駐車ではなく、来客用の駐車スペースですので、あまり頻繁な利用でないということもありますが、タイヤの跡も轍となることなく、芝生は良好に保たれています。



 メイン広場となる主庭は一年を経て、周辺家屋の気配が全く気にならないほどに、木々が息づき落ち着きを増してきました。






 家際の木立は、四季を通じて心地よい家屋の環境を作ります。
 木々を生かして住まいの環境を心地よく改善しようと思えばまず、この家際の木々の配置が最も大切なポイントとなります。



 主庭脇の園路から中央デッキを望みます。



 駐車場から主庭へ続く園路。

 こうして、庭が育ってゆくことを、懐かしいお客さんとともに楽しむ豊かさは、、何物にも代えがたい宝となります。
 毎年、こうして訪ねるたび、共に年を重ねるお客さんとの絆は深まり、庭を通して生きている実感を共有する幸せ、本当に、自分は今生、一庭師というスタンスを保ちたいと思うのです。こんな時代、不安なこの国、子供たちや生き物たちのよい未来のために、しなければならないことがたくさんありますが、それでも自分の心の原点は庭つくりにあると、そう思います。

 作らせていただいた庭、いつもその時の自分の精いっぱいの想いを投入します。何年経とうが、こうしてその庭に赴くと、作った当時の心境や、メンバーの思い出、出来事、当時の自分、、様々なことが昨日のことのように思い出され、そしてまた、年月の経過を想います。
 
 そして、その場の庭の木々は、黙ってそれを共に感じてくれて、常に心はともにある、そんな温かさに包まれるのも、庭のおかげです。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
千葉県旭市 九十九里平野の庭空間完成  平成29年4月24日
 


年始から断続的に進めてきました、千葉県旭市、九十九里平野の450坪の庭環境つくり、本日でようやく終了となりました。

 砂地なのに水がはけず、砂ぼこりの舞う砂漠のような海岸平野の庭が、施工後は水たまりもできず、なおかつ敷地外への水の流出もなく、すべてが大地にしみこんで潤す、呼吸する空間へと生まれ変わりました。

 敷地内には車が往来できる車道を配していますが、それも大地の通気環境を保ち、呼吸する道路として、庭の中に違和感なく溶け込ませています。



 
 庭の要所には、木々の根元にデッキ上の木蓋を何か所も配してますが、この下には1m以上の大穴を掘って、そこに大量の竹炭を漉き込んでいます。
 これが地形落差を生んで土中の水と空気を動かし、草木微生物等、様々な命が共存しやすい磁場を作り出す要として機能していくのです。

 砂塵吹き荒れる乾いた土地でも、命の調和を生み出す健康な環境へと誘導してゆくことは実はそれほど難しいことではないのです。



 敷地内車道造作の様子を少しご紹介いたします。
 常に車圧のかかる車道において、心地よさと潤いを保つためには、地盤の通気浸透性が永続的に保たれるための造作が不可欠になります。
 要所に車道を横断する横溝を掘り、溝の底には竹炭を敷き詰めます。



そこに透水コルゲート管を埋設し、その周辺を廃瓦片やコンクリートガラ、そしてその隙間にウッドチップ落ち葉などの有機物を漉き込みます。
 車圧を支えるのはコンクリートガラ等の無機物ですが、この透水機能を永続させるためには必ず、その隙間に落ち葉等の有機物を詰め込んで、土壌菌糸を誘導してゆく必要があります。
 


そして無機物有機物によって埋め戻した横断暗渠に、自家製の土壌複合発酵液を染み込ませていきます。これによって、眠ってしまった土中菌類を目覚めさせ、凝縮した菌類微生物が増殖し、土壌の隙間を適度に広げて保つのです。



 路面の下地に敷き詰めているのは、解体工事によって発生するコンクリート片です。このコンクリート片が地盤に刺さってクッションのように車圧を支えます。
 庭の造作に本来捨てるものなど何もなく、使い方次第ですべては環境資材として有用に利用できるのです。



 そして、その上に、竹炭、砕石、廃瓦片、廃瓦粉砕チップ、ウッドチップをサンドイッチしていくことで、車圧に対して圧密のおこらないクッション状の路盤を作ります。
 土の中の世界、見えない部分できちんと、車道の通気浸透性を保つために不可欠な造作を施すことによって、年月とともに健全に育ってゆく住まいの環境が生まれます。




 
広いので、まるで公園のような庭空間になりました。


 
 工事にかかり始めたときは生後2か月だったマメシバの子も、今ではかわいく元気な子供犬。
 工事のトラックが到着する音が聞こえると、今ではうれしくて大騒ぎします。この子の幼少の記憶はきっと生涯の記憶として、私たちのことを忘れないでいてくれるはずです。




 この子たちが優しい自然の調和を感じられる心地よい環境で暮らしてほしい、温かな思い出の風景を心に刻んで大人になってほしい、僕らの庭への思いはごく単純なものです。

 

 
 今後の年月の中で、木々が思い思いに枝葉を広げて空間を分かち合い、家族とともに互いに育ちあう、生まれたばかりのこの庭も、住まいの環境、家族とともに時を刻みつつ変化してゆくことでしょう。


 
 そして昨日手入れにうかっがったのは、地元千葉市緑区の庭、施工5年目です。
匝瑳市の広大な庭とは打って変わって駐車場際のわずかな幅の植栽スペースを活かして木漏れ日の住環境に仕上げたのですが、住まう家族の愛情は年月をかけて住まいの森へと環境を育ててくれるのです。



そして、植栽後10年余りが経過した我が家の木々も、これまで一度たりとも剪定も枝おろしもしていないにもかかわらず、木々同士がスペースを分け合い、人のスペースを侵さずに共存する、心地よい環境を黙って恵んでくれるのです。
 本当にいとおしいのが、命の営みというもの。人の営みも然りです。
木々に学び、その奥にある無限の愛を感じながら、豊かに時を刻んでいければ、そしてその喜びや幸せを人に届けたい、そんな思いでこれからも生きていきたいと思います。
 























投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
本年の終わりに  これからの活動に向けて  平成28年12月27日


 例年のとおり、年末は来る日も来る日もこれまで作らせていただいた庭の手入れに追われます。
 造園の仕事を始めてまもなく四半世紀になりますが、師走はいつも、休みのない手入れ行脚を乗り越えて、新たな年を迎える、そんな生活をずっと繰り返してきたことになります。

 今年も残すところあと数日、今年の仕事もいよいよ終わりが見えてきました。

 写真は2年前に作った葉山Sさんの外空間、エントランスです。手入れと同時に、継続的な環境改善作業を施し、そして一日の作業を終えると、日は落ちて、夜景の中に浮かび上がります。



 今秋はどこも、見事な紅葉を見せてくれました。ここは4年前に作らせていただいた、千葉市内Sさんの外空間。
 お施主さんの愛情は確実に木々や庭の生き物たちに反映されます。
 私たちが手入れにうかがい、毎年手を触れて木々に語らうだけでも木々は喜び、元気に反応してくれるもので、ましてそこに住む人の木々やいのちに対する愛情と想いが環境を豊かに育てていき、そしてにぎやかないのちの輪の中に調和させてゆくことをいつも実感させられます。

 木々をいたわり、落ち葉にさえも感謝し、落ち葉掃除を心の掃除と考えて、優しい心持で住まいの環境と向かい合う、そんな方々は木々からも小鳥や様々な生き物たちからも歓迎されるのです。



 今年の春、埼玉県草加市のお施主さんから、シジュウカラのひなが庭でかえったという喜びのメールとともに、かわいいひなの写真が送られてきました。



 この写真は今年初めてウグイスが来てくれたという、歓喜のメッセージとともに送られてきた写真です。
 街中のわずかな一点、オアシスのような小さな雑木林の庭空間に、今はたくさんの小鳥たちが訪れて、そしてそこでまた巣を作り、巣立っては帰ってくる、そんな営みがにぎやかに繰り返される場所が、街中の点の空間に誕生するのです。

「小鳥たちにとって気持ちが良いように手入れしてくれればいいですから。」

 お施主のKさんはそう言います。そんな素晴らしいなお施主さん方々に私たちは育てられ、支えられているからこそ、、信念を曲げずに生きていけるのだなと、こうして手入れに回るたびに改めて感じさせられます。 そんなお客さんは何よりの心の宝です。

 手入れに回る中、かつて自分が作った庭の成長を感じるとともに、実はそれは過去の自分が作った庭であるということも、はっきりと感じさせられます。
 10年前の庭、5年前の庭、2年前の庭、、、どれも今の自分の作り方とはずいぶん違いますし、来年はさらに変わってゆくことでしょう。

 もちろん、だれがどんな作り方をしたかなどは些細なことで、植えられた後、木々や庭環境、生き物環境に対する人の愛情の注ぎ方、環境との対話と対処の仕方こそが、その環境を人にとっても他の生き物たちにとっても心地よい、穏やかになって自然の呼び声を感じさせてくれる空間へと育てていきます。
 大切なことは作庭後の環境との付き合い方なのでしょう。人が変わってゆくように、庭も変わっていきます。良い方向へと心地よく育ってゆくように庭を導くのは、お施主の愛情、そして同時に、人と木々の声とを繋いでゆく我々庭師の役目かもしれません。

 師走と言えども手入ればかりでは済まされません・・。今月、手入れの合間にかかり始めた海辺の庭・環境再生工事の様子を少しご紹介します。



 千葉県旭市、海岸平野の砂地の庭の改善工事に着手しました。
 カチコチに締め固められて呼吸しない大地。ここをいのちの息づく豊かな自然環境へと再生してゆくのです。
 海にほど近い砂地で、しかも土壌微生物環境も崩壊した土地に木を植えて、健康で息づく土地へと改善してゆく、その環境改善・植樹の模様をご紹介します。



ここで植樹の際の土壌環境改善資材として用いたのが、大量の廃瓦と、



剪定枝を山中に放置して菌糸の張り巡らされた腐植枝です。



 樹木を植えるために掘った植穴の底に数か所ほど縦穴を開けて、そこに廃瓦と有機物、炭を挟み込みながら、縦方向の通気浸透ラインを作ります。




その上に、植穴底に竹炭、燻炭をまぶして攪拌し、



その上に腐植枝と廃瓦をまぶし、



 さらに腐植枝葉をサンドイッチしながら炭をまぶし、また廃瓦を重ねていきます。



 それに、掘り起こした現地の砂に腐葉土、炭燻炭を攪拌してふんわりとまぶしていきます。
腐植枝、廃瓦、改良砂、炭、これらをサンドイッチするように繰り返しながら、植穴を埋め戻していきます。


 これで、砂地においてもしっかりと土壌環境が育ってゆく、そんな下地環境造作がひとまず完了です。



 植樹の前にさらに、再び腐植枝を井桁状に敷き詰めていき、



そしてその井桁の上に、掘り取った大木を載せていきます。
 見た通り、土に埋めるのではなく、砂の重さや根鉢の重さにも圧密されない空間豊富な下地の上に根鉢を載せるのです。



枝葉の井桁に乗っかることで下地土中の通気環境、隙間の空間を保つのです。
 腐植枝葉からすぐに様々な菌糸が伸びてきてその粘性によって砂を捕捉し、生き物の活動によって豊かな土壌へと変えてゆくのです。



 そして、埋め戻しの際にさらに割れた瓦片を根鉢の周りにすき込みます。
多孔質で保水性に富む瓦片に樹木根はすぐにびっしりと張り付いていき、そこで呼吸し、多様な菌類微生物の働きと相まって、この無機的な砂地の環境をいのちの源となる土壌環境へと短期間で変えてゆくのです。

 砂地は粒度一定であることが、多彩で豊かな植物環境が育ってゆくうえでのネックとなりますが、それを踏まえた改良のコツがあります。
 それは、例えば海岸砂丘に草木が生えて安定してゆく過程を見れば容易に掴めることなのです。
 何も特殊な資材や、土の専門家がすぐに勧めたがる培養土や改良材など全く必要なく、その辺の廃材を用いてこそ、恒久的な命の息づく土壌環境へと変貌させることができるのです。

 自然界の働きに沿ったこうした方法は間違いなく、環境を浄化していき、そして眠っていた命が再び目を覚まして、心地よい空気感へと変えていくのですが、人はどうして自然本来の働きの力を借りないのか、菌類微生物、そして植物の力を借りてこそ、我々は安全に快適に暮らせる環境が作れるというのに、それを、「有用微生物」と「有害菌」などと、自然界の命を人間都合で切り離して、都合のよいものばかりを集めようとし、そして都合の悪いものを排除しようとしてきた結果、今の取り返しのつかないバランスの崩壊、環境劣化、環境破壊を招いてきたと言えるでしょう。命はすべてつながっているのですから。
 誰のせいでもなく、我々一人一人の、大地における向き合い方を改めて問い直すときにいる、日々の仕事の中で今年ほどそれを強く感じた年はありません。



 根鉢の周囲を、改良した砂と廃瓦などで埋め戻せば、大木移植の完了です。
この方法で植えれば、支柱もいらなければ灌水も必要ありません。粘性のある菌糸が保ってくれるしっとりした土壌環境に根が完璧に守られるからです。

 これが真実なのです。自然に逆らうことばかりしていると、移植後も土が乾燥し、土壌生物環境は育たず根は守られず、したがって支柱も必要になり灌水も必要になります。
 これまでの狭い常識にとらわれず自然や目の前の事実から素直に学んで、そろそろ根本的に考え方をあらためるべき、人間は今こそそこまで進化しなければなりません。
 そうでなければ、人の存在すべては自然界のがん細胞として、いずれは自らの生存基盤をも失ってしまうことでしょう。



 自然の一員としての人の在り方、地球に対する責任、周辺環境に対する人の責任、そしてそんな配慮が心を豊かにしてくれる、そんなことを伝えたくて、今年は数えてみると、実に30回近い、環境改善講座やワークショップ、レクチャーをこなしてきましたことになります。
 
 今年の活動をじっくりと総括し、そしてさらに学びながら、来年の取り組みにつなげたいと思います。



 今月、おなじみの土気山ダーチャフィールドに新たに建てた山小屋です。
3坪の板倉小屋に屋根のあるデッキを伸ばして、五右衛門風呂と炊事場を一体化したモデルです。



 カラマツの焼き丸太杭を土台とした掘っ立て構造によって土地を傷めずに森の中にそっと割り込ませてもらいます。
 デッキの下のかまどは、五右衛門風呂の焚口です。



 デッキが炊事洗濯お風呂など、生活の場となります。その排水は土中の菌類微生物によって分解消失されるよう、浸透孔をつくり、この土地の環境中へと還していきます。
 命の循環はそこが実は最も大切なことで、還すところから新たな命が力を得てつながってゆく、その当たり前のことすら、今の文明は排除し続けているのです。
 本当の人の在り方を学び思い出す場所、志を共にする仲間たちとそんな取り組みをすすめてゆくために、今月、NPO法人地球守を設立いたしました。
 今年、私たちがやってきたことを継続し、さらに活動の幅を広げ、来年につないでいこうと思います。

 共感してくださる方、ともに楽しく関わってくださる方、どうぞご参加をお待ちしております。

 今年もたくさんの人にお世話になり、感謝の想いに満たされます。来年も力いっぱい生きていこうと思いますので、どうか今後ともよろしくお願い申し上げます。

 皆様、良いお年をお迎えください。地球のすべての平和と安心と温かさをお祈りし、そして皆様のご健康、ご多幸をお祈り申し上げます。

 どうもありがとうございました。






投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
海岸松林の再生と、庭の環境改善    平成28年9月29日


 昨年11月より森林再生実証作業にかかり始めた新潟市北区の海岸松林保安林、今年春の様子です。

 昨年の改善実証作業の前は、松も次々に枯死し、手の施しようのなかった海岸松林、そこでの森林環境改善作業を実施して10か月が経過しました。当初の予想以上に早く、改善の効果が見えてきましたので、少々ご報告いたしたいと思います。



 これは今年5月(改善開始後6か月)の実証実験区の様子です。



 これは今年9月(改善開始後10か月)の実証実験区。
葉色、葉量、枝葉のバランス、しなやかな枝先の様子や枝の分岐具合などから、不健康だった森がすっかりと健全な状態へと変化してきたことが明らかに見受けられます。



 (改善作業前の松林)
 次々と枯死し、残っている松も多くは葉色が悪く枝先に張りもなく、精気なく痛々しく乾いた、病気の林だったのです。

 これまで、国策で進められてきた農薬散布の果てに、海岸林の生命環境は壊滅的に劣化し、なおかつ松枯れは一向に収まることはありませんでした。
 当然です。傷んだ環境に対して、さらに農薬散布などによってバランスの回復を妨げるようなことを繰り返せば、ますます木々が健康に育つことができない、健康で劣悪な環境へとますます変貌してしまいます。
 
 一方で、木々が健康に生育できるための、その源たる環境に目を向けて、人間の手によって少しばかり適切な対処を施すことで、すぐに木々も森も健康を回復してくるものなのです。
 



 先ほどの写真と同じ松林の一角ですが、改善開始後わずか10か月ほどで、松林はみずみずしい健康を取り戻してきた様子が明らかに感じられるようになりました。
 
 定説にとらわれず、健康な心と頭でバランスよく観察し、そして森の本質、自然の本質としっかりと向き合うこと、それさえできれば驚くほど短期間に環境は再生されてくるという事実、それを多くの人に知っていただき、本当の自然を見通す感覚を育てていっていただきたいと思うのです。

 こうした環境再生のための視点について、ここで少しばかりご紹介したいと思います。



これは改善作業前の土の様子です。植物の根は表層にしかなく、土中にはほとんど根はありません。



(改善作業前) 
土は完全な砂のままで、有機物はほとんど土中に存在していません。
当然、植物の生育に必要な土中微生物環境も全く育っていないことが分かります。



(改善開始後、半年経過)
 今年5月、試験区内を試掘すると、表層の細根は飛躍的に増え、そして深い位置にまで植物根が進入、そして細根分岐している様子がうかがえます。



(改善開始後、半年経過)
そして、砂の色も匂いも変わり、有機物の分解によって砂が黒く色が変わり、そこにたくさんの菌糸や細かな根が絡みついて土壌中に空隙を作り始めていることがうかがえます。微生物、土中生物も深い位置にまで生息できる環境へと変貌してきました。



(改善作業前)
松林の林床は、イバラやつる、そしてイネ科、キク科等の荒れ地の草がうっそうを繁茂し、空気は滞る不快で不健全な藪でしたが、



(改善開始後8か月)
今や、あの不快なとげのある植物や荒れ地の背の高い雑草はほとんど消えていき、今はヨモギやツユクサはじめ、柔らかな下草が多種共存できる心地よい林床環境が育ってきております。



 
 今年5月、実証実験区域に隣接する松林は変わることなく不健康な様相で、林床の下草は荒れ地の雑草ばかりがはびこる藪の状態を見せております。



 一方、同じ日の実証実験区内の松林の林床の様子です。
 ここでは打って変わって穏やかでしっとりとした心地よい林床の様相を見せ、そして松の下に自然に進入してきた灌木類はのびのびと多種共存の森環境を作り始めていました。

 とても大切なことなのですが、私たちは松林の再生のために、決して松だけを見ているのではなく、環境全体を見ているのです。
 松が健康であるためには環境が健康でなければなりません。健康な環境とは、あらゆるいのちが多種共存し、喧嘩せずに互いに生かしあう、いのちの環境なのです。
 いのちは、それ一種類で生きているわけでは決してなく、自然界のあらゆるいのちがつながって共生、共存してこそ、健康な命を保つことができるのです。

 健康な松林を再生するために私たちが見ている部分は、土中環境や下草、灌木、空気の流れ方といった、松以外の環境全体の健康の回復のために、これまで手を施してきたのです。
 その結果、主木の松がこうして健康を取り戻してゆくのです。



 改善開始後10か月(今年9月)。
 これが以前は、不快で不健康な病気の林だったとは思えないほど、健康で心地よい海岸林へと変わりつつあります。
 
 人はしばしば、自然という、常に変化し、複雑で複合的なたくさんの要因でファジーに移り変わる世界を、単純化して考え、強引に枠にはめて従わせようとするようです。

 「松枯れの原因はマツノザイセンチュウ。これを退治すれば問題は解決する。」などと、原因と結果を取り違え間違った学説に基づいて、国策をもって今も農薬散布が強力にくりかえされています。その果てに環境はますます健康を失い、木々は枯れてゆき、私たちの生存基盤を失っているのです。

 我々は早く、その悪循環を断ち切り、ふたたび自然と手を繋いで歩んでゆくことを思い出さねばなりません。
 新潟市長の英断で始まったこの松林環境再生の効果を世に示すことで、その第一歩となるよう、力を尽くしていきたいと思います。

 

 さて、次にご紹介しますのは、間もなく竣工する、東京都武蔵野市Iさんの庭、二期工事の様子です。
 家屋解体後の傷んだ環境を改善して植栽し、半年が経過しています。



 わずか半年で、木々はとても健康に育ち、枝先はしなやかでバランスも良く、その様相から土中の生き物環境もまた、健全に育ってきていることがうかがえます。



樹木の根元には、枝葉の分解途中の腐植状態のものでカバーしております。これによって健康な森の林床のような、ふかふかでしっとりとした呼吸する大地の地表が早い段階から育っていくのです。



 芝生を張ったのは3週間ほど前のことですが、これほどの大雨がここ数週間降り続いたにもかかわらず、土はふかふかで芝生はびっしりと元気に生えそろいました。
 芝生も、水がきちんとしみ込む環境でなければ、長く健康を維持することはできません。特にこの秋のように、毎日のように大雨が大地をたたく日が続けば、なおさらです。
 大地の呼吸環境を徹底した改善したこの庭では、こんな気象もものともせずに芝生も健康に根を伸ばし、青々と生えそろってくるのです。

 今の時代の環境、気候条件においては特に、植栽よりも先に、まずは土中深くまでいのちが心地よく呼吸できる環境を再生すること、それを第一に考えて住環境を作ってゆくことこそが今、とても大切なことと思えるのです。



 一方で、ここは3年ほど前に竣工した千葉県印西市の庭。水がはけずに土が硬化し、芝生が後退してきています。



 大雨の際に水がはけにくい場所は特に、芝生は消えて土がむき出しとなり、そのむき出しの地表を雨がたたいて泥水となり、それがまた表層の微細な通気孔をふさいで行ってますます土は固くなり、土壌環境はますます悪化し続けてしまうのです。

 今回、芝生が健全に生育できる環境へと改善していきます。



 樹木植栽部分との境界や、芝地を横断するように、移植ゴテでちょこちょこと土中通気浸透性改善のための横溝を掘っていきます。



土壌の状態や地形に応じて、要所に深さ60センチ程度の縦穴を開けていき、



そして縦穴、横溝に枝葉を絡ませていきます。これによって枝葉の分解に伴い、土中微生物菌類が土中に増え、土壌に菌糸を張り巡らせてふかふかの団粒土壌構造を作っていき、それによって土中の通気浸透性は日を経るごとに改善されてゆくのです。



 そして、土中に眠っている様々な菌類微生物をゆり起こし、健全な発酵のサイクルへと土壌環境を早期に誘導するため、自社培養の複合発酵酵素水を散布します。
 土中の通気浸透性の改善の上でこれを散布することで、その改善効果は飛躍的に高まることを日々実感します。

 すべては、たくさんの命が健全に生きられる環境の力を高めてゆく、たくさんの生き物たちが拮抗作用を起こすことなく健全に共存できる環境つくり、私たちの改善作業の本質はそこにあります。
 それが結果として、人にとっても健康で心地よい環境につながってゆくのです。



 今回の改善作業によって、来春には見違えるほどにこの庭の表情は変貌してゆくことでしょう。
 環境の再生、環境の改善、日々そんな仕事と向かい合える幸せを噛みしめながら、これからも切磋琢磨していきたいと思います。




投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
施工後、新緑の庭をめぐって            平成28年4月30日


 本日、メンテナンスに訪れた、茨城県鹿島市、Yさんの庭です。竣工後丸2年が経過し、いよいよ森の様相を深めてきました。
 ひんやりとした空気感も昨年までとは違い、一歩庭に入ると涼しく爽やかな風が心地よく、いつまでもそこに居たくなります。



 私の植栽は住空間の中に樹木を群落単位で点在させていきますが、2年前、ここでは高木の根元に、様々な苗木を混在させて植えました。カシ、コナラ、シイノキ、エノキなど、みんな大きくなる樹種ばかり、まるで自然林での林床の芽吹きのように植えたのです。
 「これ、どうなるんだろう。」
 植栽当時、興味深げに観察していたYさんの様子が面白く思い出されます。

 それが今、力強く競合し、共生しながら、まるで山奥で朽ちた倒木の上でたくさんの実生が芽吹き競い合って伸びる、そんな光景を彷彿とさせます。
 庭で感じることのできる力強い自然の営み、伸び伸びと育つ木々の濃い緑に大きな力をもらいます。
 
 私の庭では、できるだけ管理しすぎることなく、野生の木々本来の力を発揮させて伸び伸び育てたい、その理由は、こうした健康な木々が人に与えてくれる無限のエネルギーと幸せ感にあります。



 庭つくりの時はまだ赤ちゃんだったYさんの息子、イチロー君も、たくましい顔つきの4歳の男の子になりました。
 作った庭を訪れる楽しさは、成長する子供達との再会の喜びが大きいものです。イチロー君は庭作業する私たちのまねをして、頭に手ぬぐいを巻いて、庭の中や外をちょこちょこと動き回ります。



 「休日はいつも一日中庭に居る、庭があれば連休もどこにも行く必要がない。」
 Yさんはそう言って、休日の今日も日がな一日、庭で子供たちと一緒に過ごします。
 新緑まぶしい今の時期は、一年の中でもっとも美しい時期かもしれません。
 日ごと表情を変える木々の息吹を感じていれば、飽きるということなどありません。



 Yさんの庭の一角に設けた20㎡ほどの菜園は、いまや子供達の土遊び場となりました。
子どもが生まれる前、あれほど熱心に週末菜園に熱中していたYさんも、野菜つくりをお休みして、菜園スペースの全てを子供の土遊びとして明け渡したのでした。
 今はなかなか土を自由にいじる場所もないせいか、近所の子供たちもここに土いじりに来ると言います。
 
 「子供が小さなうちは、庭なんぞ作り込んではいけない、掘ったり植えたり、子供が好きに触れ合えるような、そんな雑多な雰囲気がちょうどよい。」

 そんな私の庭への想いも、Yさんの庭やその暮らしを見るにつれて、ますます思いを強められます。
 子供がわくわくと楽しめる庭、子供の五感をときめかせる場所、、、、そんなものを求めているうちに私の庭は、里山自然環境やかつての屋敷林のある暮らしの環境としてのニワとの境界線がますますあいまいになり、溶けてゆくようです。



 日当たりのよい木の枝に干された子供の服。それをぼんやりと眺めていると、新緑のまぶしい緑の美しさと相まって、とても幸せな気持ちに包まれます。
 限りある人生、その中で子供と過ごす幸せな時期というものはあっという間に過ぎ去っていきます。だからこそ、心地よく優しく、生き生きとした緑に包まれた家庭での時間を大切にしてほしいといつも願うのです。
 縁側に子供の靴が並び、そして木の枝につるされた小さな服、そんな光景がどれほどかけがえのないものか、手入れに行くたび成長してゆく子供たちを見て、いつも想うのです。



 そして今日、2件目に訪れたのは、ついひと月前に造園工事完了したばかりの保育園、野草舎森の家です。焼き杉の木柵や木戸、そして現地の土を塗った土壁の門塀も新緑の中になじんできました。



 植えたばかりの木々は今後、必要以外には手を入れることなく、この園舎を心地よい森の環境へと育てていきます。
 数年後には濃い緑の中、庭全体に夏の木陰が広がることでしょう。



 2か月前に植栽したばかりの木々ですが、昨日の大風にも倒伏しない、力強い根の張りを見せてくれていました。
 私の植樹は基本的に支柱は施しません。また、樹木の深植えも今は決して行いません。
 倒伏防止のために心がけていることがあるとすると、植栽樹木の根が早い段階で健全に伸びてゆくよう、下地土壌の通気性には格別の手間を施しています。
 土壌の通気性と浸透性、それさえ心がけていれば、植栽後、わずかひと月もたたないうちに木々の根と根が絡み合い、台風にも倒木しない健康でしなやかな樹木群落となるのです。
 また、自然林での樹木群落のようにその土地においての相性の良い樹種による密植混植の効果も



 土壌の通気浸透性改善造作による木々の根の生育環境改善の効果はてきめんに顕れます。
 これは1年前に、つくば市内、水はけの悪い大型造成地において、土壌通気浸透改善・植栽した樹木群です。
 本来この土地は7年前、もともとなだらかな起伏の畑地だった土地の地表をはぎ取り、重機で締め固められたこの大規模造成地は、宅地造成によって通気浸透性を失い、水は浸み込まず、そこに植えられた樹木はほとんどが生育不良の様相を見せていたのです。

 そんな中、試験的な取り組みとして、造成地の一部、総延長約100mの街路において、我々の提案による、通気浸透改善・密植による植樹を1年前に実施したのです。



 それに対してm道路を挟んだ隣地には、我々による改善植栽とほぼ同時期に、従来の方法で植えられた街路樹が並びます。この写真はその、従来型植栽によるものです。
 大半の木々は枝先を枯らし精気もなく、根の伸長不良による生育不良の様相がすでに顕著に表れていました。
 普通に木を植えてもまともに育たない、今、そんな造成地が全国で増え続けているのです。



 一方で、土壌通気浸透環境改善の上で私たちの植樹した街路樹は、、2回目の春を迎えてますます葉数を増やし、枝先先端の葉も大方後退することなく、あたらな新芽を吹かせていました。
 その違いはわずか1年余りで誰が見ても顕著に分かるほど、結果は明らかに顕れます。

 根の呼吸環境への適切な配慮と造作がなされれば、どんな場所でも健全に木々を育てることができる、そのことを一つ一つ示し続けたいと思います。

 現代の技術が置き去りにしてしまった大地の呼吸環境への配慮という大切な視点を忘れない社会つくりに活かされるよう、日々結果を示し続けていこうと思います。黙って結果を示し続けること、木々を、大地を生き返らせ続けること、それも今の私たちに与えられた大切な使命なのだと感じます。



 そして先週には、埼玉県越谷市Aさんの庭の改修2期工事が終了しました。



 家周りのコンクリートを剥がし、アスファルトを剥がし、そして土中環境改善の上での植樹です。
30年もの間、アスファルトの下敷きになって死んでしまったような土壌環境でも、適切な改善措置によって呼吸する大地、木々が健康に育ってゆく環境がよみがえります。



  旧家の広い庭の中に、2か所の大きな穴を掘り、そして取り外し可能な木蓋をかぶせた場所を設けます。
 ここが、この庭の土壌環境改善の要となる、大地の通気孔となるのです。




 ここに集まった水を水中ポンプでくみ上げて庭や畑の灌水に使うのですから、ある意味この呼吸孔は、浅井戸の役割をも兼用します。



 約2mほどの深さの穴には、雨が降る度に水が集まり、そして水位は日によって上下します。
掘った直後の穴の側面は、地表から1mほど下の位置から青くグライ化した水通しの悪いヘドロの層がずっと下まで続いていたのですが、穴を穿って2週間もすると、側面のグライはかなり解消されてくるのです。

 そして、この水は常にたまっているように見えて、きちんと土層を通して動き、行き来していることは、水が腐らず匂いもしないことから判別できます。
 穴を掘り、溝を掘って土中の水と空気を動かしさえすれば、土の中から土壌環境がおのずと改善されてゆきます。

 そして、もっと言えば、深い位置で溜まった水を、支障がなく水が腐らない限り、これを無理に抜こうとしないことも大切なことと思います。
 グライ土層、あるいは粘土層をさらに掘り進むと、通常きれいな砂、あるいは砂礫の層に行きつくことがよくあります。
 通気浸透改善を、水を抜くことと考えると、ついその層にまで掘り進みたくなるものです。
 その、水が抜ける層が、植物根の映える有機質土壌であれば問題ないのですが、清浄な砂礫層まで掘り進めることは注意が必要です。

 その理由は、端的に下記の二つに集約できます。

 ひとつめに、本来、降り注いだ水は大地の中で浄化され、貧栄養化した清冽な水となってから、深層水脈へと誘導されねばなりません。これを、劣化した土地において土壌浄化機能が回復しないまま、深層水脈へと流し込んでしまえば、それは浄化されず、ダイレクトに地下水の汚濁、富栄養化、そして深層水脈の汚染、詰まりという、まさに広域な自然環境全体に及ぶ環境劣化にも繋がります。
 あくまで、劣化してしまった土地の源環境を健全に回復させ、そしてそれが持続される形でゆっくりと育てていく必要があるように思うのです。

 もう一つは、土中の生き物環境を潤し、そして土中の空気を動かす水の役割というものがあります。本来、土中に浸み込んで動き、生きとし生けるものを養う水を、まるで排水するように深層へと流してしまうことは、本来の自然環境における健全なあり方ではないのです。

 傷んだ大地、それでも適切な土中改善造作によって、木々がきちんと生育できる環境はある程度充分再生することはできます。
 さらにその上で、本来のその土地の大地の力を取り戻したいと思う時、それは、自然の呼吸に合わせるように、時間をかけてゆっくりと改善させてゆくことも必要ということかもしれません。



 そしてここは三日前、一部分の改修を終えた、千葉市内の庭です。
この庭の造園工事が竣工したのはもう14年くらい前のことになります。
 粘土質の土は排水が悪く、植えた当初は生育不良の様相が顕著に見られたのですが、施工後から5年間くらいの間、毎年縦穴通気孔をあけては有機物資材を詰め込む、そんな改善作業を続けてきました。
 その結果、いつしか木々は生き生きとよい表情を見せてくれるようになり、そして今、この小さな庭はいつも心地よい空気が流れる、別世界となりました。



 今回の改修工事中。
 それまでの広いウッドデッキを半分の幅に狭めて、そして生まれたスペースを整えるというものです。
 14年前の当初、小学生だった二人の子供部屋が外で繋がる広いデッキを設けたのですが、子供が巣立った今、デッキを縮めて植栽スペースを増やし、より深く木々を感じて暮らしたい、そんな要望を受けての改修工事となりました。
 写真はデッキを切り詰め、ステップを作りなおしたところです。



 改修完了後。新たな造作14年前から育まれてきた庭の中に違和感なく溶け込ませていきます。



 足元の配石中。
 作った庭を後に手を加えて作り直すということ、そこには独特のむずかしさがあります。
 それまで時間をかけてなじんできた庭の中に、新たな造作を違和感なく溶け込ませるということ、そのためには、既存の素材の佇まいやデザインを再びじっくりと考慮して、素材の取りあわせや収め方を考えていかねばなりません。
 囲碁の碁石を打つように、敷石を打っていきます。



 デッキ下足元造作・植栽仕上げ完了後。



新たに植栽したデッキ際の木々。



 改修を終えて、庭は一段と美しく、心地よく充実しましたが、これが、たった今改修工事を終えたばかりの庭とは思えない、どこを改修したのか分からないほどの違和感のない収め方を期します。それも一つの、造園技術なのかもしれません。

 そんな技と同時に、改修の際にはまた、庭の土中環境の変化を確認するという、この上ない楽しみもあります。



 改修工事に際して、3か所ほどボーリングし、土中の状態を確認します。
14年前は20~30㎝も掘ると全く根の入り込めない粘土の地山だったこの庭の土壌は今や、70~80センチくらい下まで細根が到達する、膨軟な粘土質土壌に生まれ変わっていたのです。



 年度の隙間を木々の根が広げていきそれによって空気と水の通りがよくなり、そしてそこに共生する菌類微生物は土壌の構造を変えていきます。
 本来、砂質土壌よりも、水脈環境を保ちやすい粘土質土壌の方が、森林の源環境としては豊かなように感じておりましたが、一方で粘土質土壌は人為によっていったん、その中の血管のような水の道をつぶされてしまうと滞水もしやすく、土壌環境劣化も著しいものがあります。
 
 ここも竣工時の14年前はそんな住宅造成地だったのです。
 それを、木々の根の力、そして竣工後の継続的な土壌通気改善によって、土壌環境はここまで回復しえたのです。

 

 こうした改修工事は、土中の変化を観察する、とても貴重な機会になります。
 根の環境は刻々と変化し、土中のバクテリア、微生物環境もそれに応じて瞬く間に変化していきます。
 これは細根分岐した、根のはびこる周辺に広がるグライ土です。ヘドロ臭があり、この環境が続けば根は生きつづけることはできないはず。
 しかし、むしろこうした、粘土質土壌に点在して生じるグライ土部分に細根が集中している面白さ。こうした日々の観察がまた、土壌環境への理解を深めてくれます。
 だから、この仕事は楽し過ぎてやめられません。



 そしてここは、今年の1月に一期工事を終えたばかりの庭です。ここは砂地の地山を環境改善して植栽しました。
 3か月が経過し、枝先の精気や木々同士の枝葉の伸び方重なり合いの様相から、木々の根はおおよそ順調に伸びていることが分かります。



 木々は早くも家際のデッキに心地よい木漏れ日を揺らします。これから根の伸長と共には数を増やし、濃い木陰が夏の住まいを涼しく心地よく改善してくれることでしょう。

 連休を明日に控えた仕事納めの今日、長いブログになってきました・・・。でも、この時期の庭は生気にあふれ、まぶしく美しく、その喜びを是非お届けしたいとの思いから、もう少し、ご紹介させていただきます。



 ここは昨年秋に竣工した、つくば市Mさんの庭です。竣工後、半年余りが過ぎて初めての新緑の時期を迎えています。



 この庭では、駐車場スペースを改善し、ノシバの種を播種したのですが、時期外れの播種でした。



それでも、播種後半年経過して温かくなった昨今、ようやくノシバの芽吹きがうっすらと確認できました。
 ほとんど水も与えられず、乾燥しやすい駐車場にあって、ノシバの種はきちんと生き延びて発芽してくれたのでした。
 この日は新たに炭と目土をまぶして再びノシバを播種します。梅雨を超えて夏までにはきっと、淡い緑が駐車場を覆ってくれることでしょう。



 今は一年で最も清らかないのちの芽吹きの季節です。昨秋に植えたどんぐりも、一斉に葉を開いて競争を始めます。



 播種後、2度目の春をトレイに密植状態で迎えた白ヤマブキ。



 これをポットに植え替えます。
 忙しい日々の中、何のためにどんぐりや種から木々を育てているのか、その理由は、単に楽しいからです。そしてとても学ぶものがあるから。

 興味のある方は是非、木々の苗を育ててみて欲しいと思います。
 いのちの神秘を常に感じること、そこは大きないのちの繋がりを感じる入り口にもなります。
 そして、どんぐりも種も、野山に行けばただで手に入る上、子供でも楽しみながらできます。
 庭がなくてもベランダでも、こうした木々の赤ちゃんを育てることができる、是非、皆様にも試していただきたいと思います。



 事務所の庭とオンボロの愛車。12年前に植えた木々は伸び伸びと、いつも生きる力をもらっています。

 いよいよ連休となりますが、九州の災害、そして今の日本や世界にかかる暗雲を想うと、やはり気は焦り、駆けつづけねばならないように感じます。
 よい未来、安心できる平和な日本、平和な地球、そのために、学び続け、走り続けていきたいと思います。

 感謝をこめて。連休後もどうぞよろしくお願い申し上げます。
  





 

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
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