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雑木の庭つくり日記

埼玉県飯能市の庭、竣工  2018年4月13日
 

 新緑まぶしいこの時期、あらゆる命にとって一年の中でも最も希望に満ち溢れる時期ではないでしょうか。
 この時期を新学期、新年度のスタートとしてきた日本人の感性に、心地よい親しみを感じます。
 さて、この一週間、泊まり込みでの集中施工で庭が完成し、また一つ、これから育まれる風景が生まれました。

 入間川の畔、背面の崖線の木々が借景となって繋がってゆく、そんな風景を意識しました。






 この庭の正面に、地元の憩いの場であると同時に週末にはたくさんの観光客でにぎわう飯能河原のゆったりした景が広がります。
 庭の背景として絶好のロケーションであると同時に、この庭が飯能河原の一角の風景として、訪れる人たちにとっても、さりげなく、飯能河原の心地よい印象を深めてもらえる、そんな庭を心がけました。



家屋側、玄関付近からの景。飯能河原周辺の森とつながってゆく、そんな植栽と空間配置です。






 この住まいのデッキからの眺めを構成する、その中で改めて、風景はせせこましい人間の所有を超えてつながっているという、ごく当たり前のことに気づかされます。
 風景ではなく、環境のつながりというのが本来なのでしょう。

庭を想うことで、生きとし生けるすべてのいのちのつながりに想いを抱く、そんなきっかけになる庭つくりができれば、そんな気持ちになります。



 こじんまりとした平屋、この場所にはこのスケールがたまらぬほどにしっくりと収まります。
 これが二階家屋であれば、背面段丘崖の木々とのつながりがぷっつりと途絶えてしまうのです。





 庭の木々越しの家屋風景。植えたばかりの木々も、植えられた直後からその土地の風景に何の違和感もなく溶け込む、そんな植栽の在り方が、数十年の風景を育むものと信じます。



 道路から見た庭の全景。
単純で一見何もない、シンプル極まりない空間ですが、周辺の景に違和感なく収まり、そしてこの地の風情をさらに高めてゆく、それが私立ちの目指す庭の極意かもしれません。



 
 庭の木々と背面段丘の木々。






 シンプルでいい。その土地の風景として、人間だけでなく、あらゆる命にとって心地よく愛される庭、そんな空間を作っていければ、造園という仕事は本当に今の時代にかけがえのない価値を発揮することでしょう。
 
 お施主のIさん、施工まで長らくお待ちいただきありがとうございました。

また、今もなお、お待ちくださっているお客様、一つ一つ心込めて作ってまいりますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
新年、最初の庭竣工「野鳥の集う庭」 2018年1月31日
 
 今年も早、立春を迎えとしています。
 今年が平和と希望の年になりますように、祈りを込めて。



 今年最初の造園環境改善工事、千葉市若葉区の新興住宅地の庭が先日竣工しました。

 この住宅造成地は、私の地元、森を切り払い、畑をつぶし、重機で平らに造成し、幾世代にも続く故郷の原風景も、生き物の生育環境も大規模に潰して、造成されました。
 
 心のふるさと、地元の森や畑が大きな機械力ではぎとられるように造成の始まった、数年前のやるせない気持ち、今も浮かびます。

 それまであった森や畑、古い家、すべてをはぎとり平らにして立ち並ぶ新たな家屋、そこに住居を構えられたOさんに、庭つくりの依頼をいただいたのです。

 野鳥の写真を撮り続けてきたOさん、建築前の打ち合わせの際に私に言いました。

「たくさんの野鳥が訪れ、住み着き、森に行かなくてもここで野鳥観察ができる、そんな庭にして欲しい」

というものでした。



昨年の9月に始まった工事は2期に分けて行いました。大規模に地形を壊して行う最近の住宅開発地の多くは、風を緩和してくれる樹林もなく、強風の砂漠のような無機質な、そんな暮らしの場に変貌します。

 ここに自然環境を再生する意味を考えます。
 過去永劫に育てられてきたいのちの環境を現代一時の間にすべてを奪い取って顧みない、それが現代のわれわれ人間のやっている所業。

 しかし、そこに心あるお施主が居て、そして、庭を野鳥が集う森にしたいと要望されたとき、
 「ああ、この砂漠のような住宅地に一点でも、生きた土地、森が育つ環境を再生していけば、やがてそこが点々と森をつなげていって、街の環境再生の起点になって行くかもしれない。」
 そんな希望が胸によぎり、そしてこの庭環境再生に取り組みました。



 畑と林だったつい10年前、この辺りの森にふつうにあった木々を組み合わせて一群落を構成して、広大な住宅地にわずか一か所の植え込みが、街の見え方を大きく変えていきます。



 一期工事にて、玄関前の植栽、アプローチ、浸透する駐車スペースの施工を終え、そして今年になって二期工事にかかり、先週完了したのです。



 庭の中央には枯掘りのような溝を巡らせて、そこが傷んだ大地の呼吸再生の要になります。

 枯れ流れのような日本庭園における造形造作も、本来はその場の環境を息づかせていのちの環境をより豊かに育むための環境装置という面が必ずありました。
 失われた先人の智慧、環境を保つ技を、庭の中で未来の人たちに繋いでゆく役目、現代の造園の中で、それを担わなければいけません。

 野鳥が集う庭、それは、単に特定の野鳥が好む実を植えたり巣箱や水場をつければよいというものでは決してありません。
 土の中の世界を含めてたくさんのいのちの循環がことのできる、豊かな環境を取り戻し、そしてその優しく温かな木の流れの中で、小鳥たちもここで安らげ、いのちの気配に安心するような、そんな環境にしてゆくこと、そこが大切なことと思います。



 小鳥が憩う水場は、浅い水盤を用います。
この水盤の下の土の中に大きな空洞を設け、土中の空気と水を動かしてゆく拠点になります。
 見える造作よりも、土の中の見えない部分の造作に、より多くの配慮を注ぐことで、いのちの気配溢れる心地よい環境が醸成されていきます。

 お施主のOさんは、庭にルリビタキを呼ぶのが望みです。
ルリビタキはなかなか街の中の庭には訪れませんが、おそらく、何年かすれば、きっとこの庭にルリビタキも来てくれることでしょう。
 小鳥たちのための庭、この庭がそうなるように、今後も管理育成していきます。



玄関前の石畳。この周辺の植栽も含めて、昨年秋の竣工です。すでにしっとりと、土壌が育っていることが様々感じられます。
 造成され、むき出しの赤土だった、痛々しい環境に、丁寧に向き合うことで再び、森の木霊たちが戻ってくる、そんな実感。



 植え込みの土壌保護のためのウッドチップマルチも、呼吸する土の上で絡み合い、飛散することなく落ち着き、そしてそこに菌糸のネットワークが張り巡らせます。
 この菌糸が様々ないのちを繋ぎ、生と死を繋ぎ、大地のいのちの連携をつくり、そして環境をゆっくりと豊かに育ててゆくのです。

 植栽仕上げ後、わずか二か月で、こうした状態に至る、そのために、我々は土の中の環境再生に力を注ぐのです。



 2か月前に植えた樹木の根を彫り上げてみると、すでにびっしりと粘菌、変形菌がまるで血管のように大地のネットワークと木々の根をつなげようと、活発に動いていることが分かります。
 これを確認してはじめて、私たちの造園施工は完了です。

 木々も人も、動物、小鳥たち虫たち、菌類微生物、あらゆる命が平和に共存する世界、そんな理想を庭に込めるのです。

 この庭は、これから生き生きと育ってゆくことでしょう。
お施主のOさん、長らくありがとうございました。
 また、お待たせしておりますお客様、心機一転、今年はこれまでにましてさらに良い空間を提供してまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 皆様、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。





投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
御殿場市 倫理研究所の自己完結型ノンインフラへの取り組み 平成29年8月10日
 

 ここは静岡県御殿場市、一般社団法人倫理研究所、富士教育センターです。
ここでは人の生き方を問う先進的な様々な取り組みが行われております。
 その中でも、近未来の日本、地球、人類にとって、もっとも重要な取り組みの一つが、沼津市の民間研究所、高嶋開発工学総合研究所のイノベーション技術である、複合発酵による生活排水の完全リサイクルのシステムを、この広大な施設の中で実証すべく、様々実践しつつ、驚くべき成果を示しているのです。
 昨日、ここを訪れ、施設を見学いたしましたので、報告したいと思います。



教育センター宿泊棟です。管理事務所および宿泊棟のトイレ等の生活雑排水のすべてを、100パーセント飲用可能な水にまでリサイクルされます。
 しかも、ただ単にリサイクルするだけでなく、様々な汚染をエネルギーへと転換した処理水は、河川の浄化、農業利用、土壌環境の再生、生物の生理活性と、様々活用して目覚ましい成果をあげております。



 これは一般的な大型浄化槽ですが、生活雑排水はまず、ここに入ります。
この段階で、無限の微生物が共存、無限増殖する複合発酵培養液を毎日5リットルほど入れて曝気します。
 一般的な浄化槽は特有の嫌な臭いがしますが、ここでは驚くほど悪臭がないのです。



 通常の浄化槽では汚い泡が濁った水に沸き立ちますが、複合発酵培養液を用いたこの浄化槽では、この段階ですでに腐敗は断ち切られ、微生物の複合的な連携が現生して、発酵のサイクルへと向かっているのが分かります。



大型浄化槽に空気のエアレーション装置。



そして、浄化槽から、こちらの発酵槽、合成槽へと排水は導かれて、汚泥等の排出もなく、すべての汚染が生物生理活性のエネルギーへと転換し、清らかで無菌状態の水へ昇華するのです。

 ここも全く匂いはなく、むしろ心地よい空気感すら感じさせられます。



 6つの発酵槽を通り、そのあと合成発酵、合成槽へと処理水を導きます。



 合成槽は6つの曝気槽を通って完全に浄化されていきます。
 バイオ加工されたカーテン状の不織布に住みつく無限の微生物の連携と情報伝達による、あらゆる物質の消失とエネルギー転換がここで起こります。



発酵槽の微生物増殖を促す嫌気発酵系基礎資材。
スターターとして用いますが、ひとたび菌床ができればもう補充は必要なく、無資材で完全循環していきます。



 合成槽を抜けた最終処理水は、そのまま活力の高い活性水として飲用できます。
 風呂トイレ洗濯、台所排水のすべての汚染が発酵浄化され、完全リサイクルがここで実現しているのです。



富士山の伏流水をくみ上げて、ここで複合発酵処理水を希釈攪拌され、そしてそれが様々な素晴らしい結果を表すのです。




ここは施設内の池。水は澄んで、たくさんの生き物がいながらも、川底の水も全く腐敗変敗が起こっていないのです。
 複合発酵処理水を導かれた昨年から、驚くべき水質の変化が見られたといいます。



大量の鯉をはじめ様々な魚はじめ、たくさんの生き物がこの人工池に生育しつつ、それでいて水は驚くほど清らかに澄み渡り、そして鯉の元気さ、病気の不発生が印象的です。

 複合発酵処理水を導入する以前は、フンが汚泥となって池底に堆積し、その汲み出しのたびに、軽トラック2台分くらいの汚泥が発生していたと言いますが、複合発酵処理水導入以来は、汚泥はほぼ完全に消失して、汲みだしが完全に不要になったばかりでなく、様々な生き物がここに集まるようになったと言います。

 

敷地内には田んぼと畑、ビニールハウスがあり、これも複合発酵処理水によって無農薬無肥料のバイオ農法によって健康に生育しています。



ビニールハウス内。



 御殿場市の運動公園に設けられている、高嶋開発による複合発酵バイオトイレです。
バイオトイレは様々試みられてますが、汲み取りも給水も不要な完全リサイクル自己完結型のバイオトイレは、この複合発酵技術以外にないことでしょう。

 すべての汚染は、それを好んで取り込み分解してゆく微生物の複合的な働きを現生させて生態系のエネルギーに変えてしまう、それがこの技術の本質と言えるかもしれません。

 このことに私は、地球人類の未来への希望を抱いております。
汚染を排除するのではなく、むしろ積極的に生態系の循環に取り込んでエネルギーに変えてしまうことで、汚れ尽くされた地球においてもいのちを養う力をむしろ高めてゆくことができる、そんな可能性を感じております。

 すべての汚染の分解消失、そのプロセスは現代科学のレベルでは解明に至りませんが、そもそも自然のことなど、ちっぽけな人間がすべてを理論的に把握できることなど、ありえない話です。
 事実が示してくれるのであって、その自然界で起こる想定を超える事実から、人は謙虚に学んでいき、活かしていかねばなりません。
 
 私もこれから、この技術の普及に努める活動を本格的に始めたいと思います。それが子供たちが生きる未来の地球のために必要なことと思うので、やっていこうと思います。

 次代に先駆けてこうした素晴らしい取り組みをされている倫理研究所、ご案内くださり、どうもありがとうございました。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
千葉県旭市 九十九里平野の庭空間完成  平成29年4月24日
 


年始から断続的に進めてきました、千葉県旭市、九十九里平野の450坪の庭環境つくり、本日でようやく終了となりました。

 砂地なのに水がはけず、砂ぼこりの舞う砂漠のような海岸平野の庭が、施工後は水たまりもできず、なおかつ敷地外への水の流出もなく、すべてが大地にしみこんで潤す、呼吸する空間へと生まれ変わりました。

 敷地内には車が往来できる車道を配していますが、それも大地の通気環境を保ち、呼吸する道路として、庭の中に違和感なく溶け込ませています。



 
 庭の要所には、木々の根元にデッキ上の木蓋を何か所も配してますが、この下には1m以上の大穴を掘って、そこに大量の竹炭を漉き込んでいます。
 これが地形落差を生んで土中の水と空気を動かし、草木微生物等、様々な命が共存しやすい磁場を作り出す要として機能していくのです。

 砂塵吹き荒れる乾いた土地でも、命の調和を生み出す健康な環境へと誘導してゆくことは実はそれほど難しいことではないのです。



 敷地内車道造作の様子を少しご紹介いたします。
 常に車圧のかかる車道において、心地よさと潤いを保つためには、地盤の通気浸透性が永続的に保たれるための造作が不可欠になります。
 要所に車道を横断する横溝を掘り、溝の底には竹炭を敷き詰めます。



そこに透水コルゲート管を埋設し、その周辺を廃瓦片やコンクリートガラ、そしてその隙間にウッドチップ落ち葉などの有機物を漉き込みます。
 車圧を支えるのはコンクリートガラ等の無機物ですが、この透水機能を永続させるためには必ず、その隙間に落ち葉等の有機物を詰め込んで、土壌菌糸を誘導してゆく必要があります。
 


そして無機物有機物によって埋め戻した横断暗渠に、自家製の土壌複合発酵液を染み込ませていきます。これによって、眠ってしまった土中菌類を目覚めさせ、凝縮した菌類微生物が増殖し、土壌の隙間を適度に広げて保つのです。



 路面の下地に敷き詰めているのは、解体工事によって発生するコンクリート片です。このコンクリート片が地盤に刺さってクッションのように車圧を支えます。
 庭の造作に本来捨てるものなど何もなく、使い方次第ですべては環境資材として有用に利用できるのです。



 そして、その上に、竹炭、砕石、廃瓦片、廃瓦粉砕チップ、ウッドチップをサンドイッチしていくことで、車圧に対して圧密のおこらないクッション状の路盤を作ります。
 土の中の世界、見えない部分できちんと、車道の通気浸透性を保つために不可欠な造作を施すことによって、年月とともに健全に育ってゆく住まいの環境が生まれます。




 
広いので、まるで公園のような庭空間になりました。


 
 工事にかかり始めたときは生後2か月だったマメシバの子も、今ではかわいく元気な子供犬。
 工事のトラックが到着する音が聞こえると、今ではうれしくて大騒ぎします。この子の幼少の記憶はきっと生涯の記憶として、私たちのことを忘れないでいてくれるはずです。




 この子たちが優しい自然の調和を感じられる心地よい環境で暮らしてほしい、温かな思い出の風景を心に刻んで大人になってほしい、僕らの庭への思いはごく単純なものです。

 

 
 今後の年月の中で、木々が思い思いに枝葉を広げて空間を分かち合い、家族とともに互いに育ちあう、生まれたばかりのこの庭も、住まいの環境、家族とともに時を刻みつつ変化してゆくことでしょう。


 
 そして昨日手入れにうかっがったのは、地元千葉市緑区の庭、施工5年目です。
匝瑳市の広大な庭とは打って変わって駐車場際のわずかな幅の植栽スペースを活かして木漏れ日の住環境に仕上げたのですが、住まう家族の愛情は年月をかけて住まいの森へと環境を育ててくれるのです。



そして、植栽後10年余りが経過した我が家の木々も、これまで一度たりとも剪定も枝おろしもしていないにもかかわらず、木々同士がスペースを分け合い、人のスペースを侵さずに共存する、心地よい環境を黙って恵んでくれるのです。
 本当にいとおしいのが、命の営みというもの。人の営みも然りです。
木々に学び、その奥にある無限の愛を感じながら、豊かに時を刻んでいければ、そしてその喜びや幸せを人に届けたい、そんな思いでこれからも生きていきたいと思います。
 























投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
本年の終わりに  これからの活動に向けて  平成28年12月27日


 例年のとおり、年末は来る日も来る日もこれまで作らせていただいた庭の手入れに追われます。
 造園の仕事を始めてまもなく四半世紀になりますが、師走はいつも、休みのない手入れ行脚を乗り越えて、新たな年を迎える、そんな生活をずっと繰り返してきたことになります。

 今年も残すところあと数日、今年の仕事もいよいよ終わりが見えてきました。

 写真は2年前に作った葉山Sさんの外空間、エントランスです。手入れと同時に、継続的な環境改善作業を施し、そして一日の作業を終えると、日は落ちて、夜景の中に浮かび上がります。



 今秋はどこも、見事な紅葉を見せてくれました。ここは4年前に作らせていただいた、千葉市内Sさんの外空間。
 お施主さんの愛情は確実に木々や庭の生き物たちに反映されます。
 私たちが手入れにうかがい、毎年手を触れて木々に語らうだけでも木々は喜び、元気に反応してくれるもので、ましてそこに住む人の木々やいのちに対する愛情と想いが環境を豊かに育てていき、そしてにぎやかないのちの輪の中に調和させてゆくことをいつも実感させられます。

 木々をいたわり、落ち葉にさえも感謝し、落ち葉掃除を心の掃除と考えて、優しい心持で住まいの環境と向かい合う、そんな方々は木々からも小鳥や様々な生き物たちからも歓迎されるのです。



 今年の春、埼玉県草加市のお施主さんから、シジュウカラのひなが庭でかえったという喜びのメールとともに、かわいいひなの写真が送られてきました。



 この写真は今年初めてウグイスが来てくれたという、歓喜のメッセージとともに送られてきた写真です。
 街中のわずかな一点、オアシスのような小さな雑木林の庭空間に、今はたくさんの小鳥たちが訪れて、そしてそこでまた巣を作り、巣立っては帰ってくる、そんな営みがにぎやかに繰り返される場所が、街中の点の空間に誕生するのです。

「小鳥たちにとって気持ちが良いように手入れしてくれればいいですから。」

 お施主のKさんはそう言います。そんな素晴らしいなお施主さん方々に私たちは育てられ、支えられているからこそ、、信念を曲げずに生きていけるのだなと、こうして手入れに回るたびに改めて感じさせられます。 そんなお客さんは何よりの心の宝です。

 手入れに回る中、かつて自分が作った庭の成長を感じるとともに、実はそれは過去の自分が作った庭であるということも、はっきりと感じさせられます。
 10年前の庭、5年前の庭、2年前の庭、、、どれも今の自分の作り方とはずいぶん違いますし、来年はさらに変わってゆくことでしょう。

 もちろん、だれがどんな作り方をしたかなどは些細なことで、植えられた後、木々や庭環境、生き物環境に対する人の愛情の注ぎ方、環境との対話と対処の仕方こそが、その環境を人にとっても他の生き物たちにとっても心地よい、穏やかになって自然の呼び声を感じさせてくれる空間へと育てていきます。
 大切なことは作庭後の環境との付き合い方なのでしょう。人が変わってゆくように、庭も変わっていきます。良い方向へと心地よく育ってゆくように庭を導くのは、お施主の愛情、そして同時に、人と木々の声とを繋いでゆく我々庭師の役目かもしれません。

 師走と言えども手入ればかりでは済まされません・・。今月、手入れの合間にかかり始めた海辺の庭・環境再生工事の様子を少しご紹介します。



 千葉県旭市、海岸平野の砂地の庭の改善工事に着手しました。
 カチコチに締め固められて呼吸しない大地。ここをいのちの息づく豊かな自然環境へと再生してゆくのです。
 海にほど近い砂地で、しかも土壌微生物環境も崩壊した土地に木を植えて、健康で息づく土地へと改善してゆく、その環境改善・植樹の模様をご紹介します。



ここで植樹の際の土壌環境改善資材として用いたのが、大量の廃瓦と、



剪定枝を山中に放置して菌糸の張り巡らされた腐植枝です。



 樹木を植えるために掘った植穴の底に数か所ほど縦穴を開けて、そこに廃瓦と有機物、炭を挟み込みながら、縦方向の通気浸透ラインを作ります。




その上に、植穴底に竹炭、燻炭をまぶして攪拌し、



その上に腐植枝と廃瓦をまぶし、



 さらに腐植枝葉をサンドイッチしながら炭をまぶし、また廃瓦を重ねていきます。



 それに、掘り起こした現地の砂に腐葉土、炭燻炭を攪拌してふんわりとまぶしていきます。
腐植枝、廃瓦、改良砂、炭、これらをサンドイッチするように繰り返しながら、植穴を埋め戻していきます。


 これで、砂地においてもしっかりと土壌環境が育ってゆく、そんな下地環境造作がひとまず完了です。



 植樹の前にさらに、再び腐植枝を井桁状に敷き詰めていき、



そしてその井桁の上に、掘り取った大木を載せていきます。
 見た通り、土に埋めるのではなく、砂の重さや根鉢の重さにも圧密されない空間豊富な下地の上に根鉢を載せるのです。



枝葉の井桁に乗っかることで下地土中の通気環境、隙間の空間を保つのです。
 腐植枝葉からすぐに様々な菌糸が伸びてきてその粘性によって砂を捕捉し、生き物の活動によって豊かな土壌へと変えてゆくのです。



 そして、埋め戻しの際にさらに割れた瓦片を根鉢の周りにすき込みます。
多孔質で保水性に富む瓦片に樹木根はすぐにびっしりと張り付いていき、そこで呼吸し、多様な菌類微生物の働きと相まって、この無機的な砂地の環境をいのちの源となる土壌環境へと短期間で変えてゆくのです。

 砂地は粒度一定であることが、多彩で豊かな植物環境が育ってゆくうえでのネックとなりますが、それを踏まえた改良のコツがあります。
 それは、例えば海岸砂丘に草木が生えて安定してゆく過程を見れば容易に掴めることなのです。
 何も特殊な資材や、土の専門家がすぐに勧めたがる培養土や改良材など全く必要なく、その辺の廃材を用いてこそ、恒久的な命の息づく土壌環境へと変貌させることができるのです。

 自然界の働きに沿ったこうした方法は間違いなく、環境を浄化していき、そして眠っていた命が再び目を覚まして、心地よい空気感へと変えていくのですが、人はどうして自然本来の働きの力を借りないのか、菌類微生物、そして植物の力を借りてこそ、我々は安全に快適に暮らせる環境が作れるというのに、それを、「有用微生物」と「有害菌」などと、自然界の命を人間都合で切り離して、都合のよいものばかりを集めようとし、そして都合の悪いものを排除しようとしてきた結果、今の取り返しのつかないバランスの崩壊、環境劣化、環境破壊を招いてきたと言えるでしょう。命はすべてつながっているのですから。
 誰のせいでもなく、我々一人一人の、大地における向き合い方を改めて問い直すときにいる、日々の仕事の中で今年ほどそれを強く感じた年はありません。



 根鉢の周囲を、改良した砂と廃瓦などで埋め戻せば、大木移植の完了です。
この方法で植えれば、支柱もいらなければ灌水も必要ありません。粘性のある菌糸が保ってくれるしっとりした土壌環境に根が完璧に守られるからです。

 これが真実なのです。自然に逆らうことばかりしていると、移植後も土が乾燥し、土壌生物環境は育たず根は守られず、したがって支柱も必要になり灌水も必要になります。
 これまでの狭い常識にとらわれず自然や目の前の事実から素直に学んで、そろそろ根本的に考え方をあらためるべき、人間は今こそそこまで進化しなければなりません。
 そうでなければ、人の存在すべては自然界のがん細胞として、いずれは自らの生存基盤をも失ってしまうことでしょう。



 自然の一員としての人の在り方、地球に対する責任、周辺環境に対する人の責任、そしてそんな配慮が心を豊かにしてくれる、そんなことを伝えたくて、今年は数えてみると、実に30回近い、環境改善講座やワークショップ、レクチャーをこなしてきましたことになります。
 
 今年の活動をじっくりと総括し、そしてさらに学びながら、来年の取り組みにつなげたいと思います。



 今月、おなじみの土気山ダーチャフィールドに新たに建てた山小屋です。
3坪の板倉小屋に屋根のあるデッキを伸ばして、五右衛門風呂と炊事場を一体化したモデルです。



 カラマツの焼き丸太杭を土台とした掘っ立て構造によって土地を傷めずに森の中にそっと割り込ませてもらいます。
 デッキの下のかまどは、五右衛門風呂の焚口です。



 デッキが炊事洗濯お風呂など、生活の場となります。その排水は土中の菌類微生物によって分解消失されるよう、浸透孔をつくり、この土地の環境中へと還していきます。
 命の循環はそこが実は最も大切なことで、還すところから新たな命が力を得てつながってゆく、その当たり前のことすら、今の文明は排除し続けているのです。
 本当の人の在り方を学び思い出す場所、志を共にする仲間たちとそんな取り組みをすすめてゆくために、今月、NPO法人地球守を設立いたしました。
 今年、私たちがやってきたことを継続し、さらに活動の幅を広げ、来年につないでいこうと思います。

 共感してくださる方、ともに楽しく関わってくださる方、どうぞご参加をお待ちしております。

 今年もたくさんの人にお世話になり、感謝の想いに満たされます。来年も力いっぱい生きていこうと思いますので、どうか今後ともよろしくお願い申し上げます。

 皆様、良いお年をお迎えください。地球のすべての平和と安心と温かさをお祈りし、そして皆様のご健康、ご多幸をお祈り申し上げます。

 どうもありがとうございました。






投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
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