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雑木の庭つくり日記

心の中の雑木の庭      平成23年12月24日
 12月に入り、休みもなく庭の手入れに回ります。ブログを書く間もありませんでした。。。

手入れの件数は年々増えて、今年はとうとう年内に回りきれない庭もずいぶんと多くなってきました。
 みなさん、美しい状態の庭で正月を迎えたいものです。そのことは私も痛いほど分かっているので、できる限り手入れをこなすべく、12月は休日返上で庭の手入れに駆け回ります。

 そんな中、11月に手入れを終えた船橋市のMさんから、嬉しいメールをいただきました。

メールの内容は下記の通りです。

「高田さん

こんにちは。
船橋の松下です。

師走でますます忙しい日々を送られていることと思いますが、お元気でしょうか。
我が家の木々たちも植栽していただきもうすぐ2年が経とうとしています。

コナラの葉が西日を浴びて橙色に鮮やかに染まりました。
葉が落ちたら、今年もありがとうという気持ちで拾いたいと思います。

写真を何枚か添付します。

今年も大変御世話になりました。
2012年もどうぞよろしくお願いいたします。」

 船橋のMさんです。ほんのわずかなスペースに植栽させていただいた木々をいつもこよなく愛してくださいます。
 木々は人間と同様、共に暮らす人に愛されることで良くなっていきます。




 Mさんが送ってくれた写真その1。西日に輝く玄関アプローチの様子です。



 送付写真その2です。紅葉に輝く雑木の木立を下から見上げた様子です。まるで森の中から見あげた空のようです。
 住まれる人の豊かな感性こそが、木々の最も素敵な表情を見つけてくれるのだなと感じます。



 送付写真その3です。住まいの屋根裏部屋から見下ろした西側植栽の様子です。とても狭いスペースですが、人の頭上上空の空間に枝葉を占有させることで夏の西日を遮蔽し、駐車スペースを木々が豊かに潤してくれます。

 たくさんの落ち葉が道路に舞い散ることでしょう。庭を愛するMさんは、それをきれいに掃除することでしょう。

「葉が落ちたら、今年もありがとうという気持ちで拾いたいと思います。」

というMさんの美しい心が木々本来の美しさを活かしてくれます。木々もそんなMさんに感謝するせいか、こうして、狭く厳しい条件にもかかわらず、美しく元気に色づいてくれたように感じます。

 春は芽吹きや開花の感動を与え、夏は貴重な木陰を作ってくれる。そして秋にはこうして美しい紅葉や結実を見せてくれて、冬には葉を落とし、心地よい日差しに枝影が揺れて、とても穏やかな時間を感じさせてくれます。

 落ち葉を拾うその時、木々に対して「今年もありがとう。」という気持ちをもってくれるMさんのような人が増えてくれたら、日本の街はどれほど美しく潤しいものになることでしょう。
 
 私がこの仕事をしていて、こうした人の美しさに接することが本当に大きな喜びであって生きがいになります。暮らしの中の緑を育てる仕事、この仕事が与えてくれる最大のご褒美だと感じます。

 来る日も来る日も手入れに伺います。
 休みもなく、、「働けど 働けど我が暮らし、、(後略・・・)」、といったところですが、1年の締めくくりの充実感を味わえるのも師走なのです。



 ここは東京都小金井市、アパート兼Kさんの自宅です。2階がKさんのリビングで、1階は賃貸アパートです。
 アパートやマンションなどの密集する中、わずかなスペースに植栽した木々が暮らしを豊かに潤します。
 2階リビングからは、目の前に揺れる木々の枝葉が四季の変化を日ごと感じさせてくれます。そして1階には木漏れ日が窓の景色を揺らします。



 2階リビングの窓外に、ちょうど高木の枝葉が来るように植栽しています。これがかけがえのない暮らしの豊かさをもたらしてくれるのです。



 都会の中の狭い空間こそ、雑木の枝葉で私たちの上空を潤していきたいものです。



 ほとんど葉を落としたKさんの玄関前、屋外空間の表情です。夏とは一転して明るい日差しが差し込んでいます。
 植栽したのは今年の2月ですので、まだ竣工10カ月、ホヤホヤの赤ちゃん庭ですが、それでもKさんはこう言ってくれました。
「紅葉もすごくきれいで、1年間とても楽しませてもらいました。」
 
 都会の狭い空間に雑木の木立を共生させてゆくことが、暮らしの豊かさに直結します。
 一度きりの人生、そして一度きりの家族との暮らし、四季の変化に心模様を映しながら、豊かな原風景を共有していただけたら、作庭者冥利に尽きます。生きててよかった、と思える瞬間です。
 そんな瞬間をたくさん味わせてくれる木々にもお客様にも心から感謝感激です。



 さて、都会ばかりでなく、今度は田舎の雑木の庭、千葉県木更津市Hさんの庭です。庭の竣工から5年近く経過し、周囲の山々の風景と庭の風景がいよいよ繋がってきました。
 田舎には田舎の雑木の庭の活かし方があり、庭の構成の仕方があります。



 周囲を畑と林に囲まれている恵まれた立地においても、家際の木々は効果的に住環境の快適性を大きく高めてくれます。

 Hさんは言います。
「都会は都会なりに便利でいいのでしょうけど、こうした田舎にはまた田舎にしかない良さがあります。そりゃ土地を荒らさないためにやらないといけないことはたくさんありますが、それでもここ以外には住みたいと思えない。」

 房総本来の豊かな風土に包まれたHさんの家ですが、それでもHさんは、5年前に雑木の庭作りを私に依頼されました。
 豊かな自然風景の中でも、家のそばに木々があればもっともっと落ち着くという事なのでしょう。
 私の仕事の役割を、お客さまとの交流によってこうしてはっきりと認識させられていきます。


 お客様一人ひとりにとって、庭の命というものは、なくてはならないかけがえのないもののようです。 
 お客様が庭の木々に感謝し、そして造らせていただいた私たちに対しても感謝してくれます。本来、感謝しなければならないのは私たちの方なのに、ありがたさで胸がいっぱいになります。
 12月の手入れの時期は、こうした感動をたくさん与えていただきます。そして、そのことが、来年も更によい暮らしの環境を提供していこうという、モチベーションを高めます。
 そして、、その結果がまた、、自分の首を絞めてしまい、、仕事を抱え込んでしまう事に繋がります・・・。
 しかし、この仕事を通して幸せに活かして頂いている恩返しをしなければなりません。



 上の写真は、昨年の春に作庭させていただいた埼玉県飯能市Sさんがメールで送ってくれた庭の紅葉の写真です。
 写真には、下記の文章が添えられていました。それをご紹介させていただき、久々の長文ブログを終わりにしたいと思います。
 
「こんばんは。今日は晴天で、庭の紅葉と空のコントラストが素晴らしかったです。写真はデッキからとりました。(中略)
 庭の木々が毎日違った表情をみせてくれ、また昨年とも
違っていて、これから毎年こうして楽しませてくれるんだな、と
すてきな環境をつくってくださった高田さんに感謝です。」

 師走もあとわずかです。29日まで、めいっぱい駆け回って、来年を全力で迎えたいと思います。
 今年お世話になりましたお客様、本当にありがとうございました。


 
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紅葉の雑木の庭      平成23年12月13日
 作庭後3年目、東京都大田区Hさんの庭に手入れにうかがいました。



 家屋東面の雑木の庭は今、紅葉真っ盛りでした。



 錦秋織りなす木々の葉を通過した光は明るく、その美しさに感動です。
「きれいだな、本当にきれいだな。」ため息が漏れるほど美しい木々を手入れしていきます。この美しさを損なうことのないように細心の注意を払いながらの手入れです。



 夏の間、青々とした葉が家屋の窓に木陰を作り、そして落葉前にこうして今年最後の輝きを演じてくれる、雑木の庭は最高です。


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冬の雑木の庭              平成23年12月12日
 師走も半ばとなり、日曜日もなく庭の手入れに駆け回る日々が続いております。
ブログの更新間隔もいつの間にか長くなってしまいます。
 今日は、昨年の暮れに完成したばかりの、神奈川県小田原市のTさんの庭の手入れにうかがいました。



 ここのところ、冬らしい朝の冷え込みが続き、Tさんの庭から見る真っ白な富士山が澄み渡る冬の青空に映えていました。



 庭の完成からちょうど1年です。冬の雑木の庭はゆっくりした時間流れる心地よい日だまりとなります。



 陽だまりのデッキ。デッキに反射した熱が、冬の家屋を温めてくれます。



 駐車スペースに面した家屋西面の家際の木々の様子です。夏の西日の暑さを和らげてくれる西側の雑木たちも、冬には葉を落として、日没までの間、家の中に温かな日差しを届けてくれるのです。
  夏は西日を遮り、そして冬は西日の熱を室内に届けてくれるのが、家屋西側の植栽の役割と言えます。

 葉を落とした雑木の庭は少し寂しげですが、それがまた早春の芽出しの感動を増幅してくれると思います。

 植栽して1年、敷地の土の状態が非常に悪かったこともあり、この庭の木々が健全で自立した生態系を作り出すまでにはまだ少し時間がかかりそうですが、毎年の手入れで少しずつ、庭の木々をよい状態へと誘導していくのです。
 
 数年後、この庭が住まいの森として自立した生態系を作り始める時を楽しみに、夢に見ながら木々を育ててゆくこと、それが庭の管理の仕事です。


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東京都練馬区の庭 3年目の手入れ  平成23年11月9日
 練馬区のNさんの庭も、施工して早くも3年目となりました。



手入れ直後の家屋東側の木々です。午前中の日差しに陰影が映えて、それが窓の中へと差し込んでいます。



 家屋の南側。リビング前のテラス際の植栽の様子です。3年目となって、木々にメリハリが感じられるようになりました。



 ダイニング主窓際の近景の植栽です。



 家屋西側の植栽 手入れ後です。手入れによって枝葉を落として、冬に西日を室内に取り込みます。夏の間、Nさんの家の西日を遮ってくれたのがこの木立です。

 「夏の間、空調温度を31度に設定していたのですが、今年は日中でも大体、室内のどこを計っても27度くらいになるのです。
 設定が壊れているのかと思って点検してもらったのですが、異常がない。そこで、空調会社の人が言うには、庭の木々が壁面や窓を木陰にして家を涼しくしているのではないかと。
 木々のおかげで夏を快適に乗り切っています」
 お施主のNさんは言われました。とてもうれしいお話です。



 手入れが終わり、掃除を終えた南庭に清涼な空気を感じます。
 毎年2回の手入れによって、庭はますます美しく、自然な様相を見せてくれます。
また来年の庭の成長が楽しみです。




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モミジ林の庭  7回目の手入れ  平成23年8月7日

 蒸し暑い一日でした。毎年夏の手入れを繰り返してきた千葉市中央区Sさんの庭、今回で7回目の手入れでした。



 この庭の作庭は私たちではありませんが、縁があって7年前から毎年夏の時期に手入れにお伺いしてきました。



 毎年の手入れを繰り返すごとに、手入れの手間は着実に軽減されてきます。280坪の敷地の広大な庭、初年度は10人工の手間がかかっていましたが、それが今回は6人工で終了しました。お施主様の負担も、庭が良好に成長するにつれて確実に軽減されてゆくのです。
 毎年多大な手間とお金を掛けなければ維持できない庭は、どこか不自然なところがあります。
木々と対話しながら共存共栄してゆくように庭を誘導してゆくことが、これからの新しい手入れ技術と言えるでしょう。
 当然農薬散布もしていないこの庭は、害虫の深刻な被害は全くありません。健全な林へと育ってきたことを実感します。




 モミジ林の足元の表情。美しい苔に覆われています。7年前、ここは笹やぶで、苔はまったく生えていませんでした。
 地面を掃きならして条件が整うにつれて、苔は見事にこの地を覆っていきました。自然に進入した苔は、手間をかけることなく美しい状態が維持されます。人工的に植えた苔はいつまでも維持管理が必要なことを考えると、自然に逆らわない庭との共存がいかに素晴らしいことかが分かります。

 さて、また来年この庭を訪れることになります。年に一度の逢瀬のように感じます。



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