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雑木の庭つくり日記

千葉市緑区の庭、竣工5ヶ月目の手入れ 平成22年9月10日

 今年の4月に竣工したばかりのお庭、今回が初めての手入れになります。
竣工直後に迎えた記録的な猛暑、水不足のせいで木々が傷んでいるようでしたので、時期的には少々早めですが、弱った木々の対処を兼ねて手入れにうかがいました。



 手入れの後の庭は美しく見違えます。この夏の暑さと乾燥に耐えきれずに枯れてしまった木もありましたが、ほとんどの木々は移植後の初めての夏を乗り越えてくれました。
 
 「大方の木々は無事だった、よかった」と、ほっとする想いの中、私の造園修業中に聞いた、私の師匠の言葉を思い出します。

「根を切って移植するということは木にとっては大手術なんだ。人間の都合で違う土地に動かした木は生きるか死ぬかの瀬戸際で、その土地に必死に根付こうとするんだ。」

 大手術を乗り越えて、知らない土地で試練の猛暑を乗り越えてくれた木々、出来る限りいたわってあげたい。そんな気持ちで手入れに臨みます。



 竣工後半年といえども、木々はこの土地に適応しようと枝葉を伸ばしてくれます。
この枝葉の適切な伸長のための手助けするのが、移植後半年に満たない今の段階での手入れです。



 玄関前のメダカ鉢。お施主様の日ごろの灌水のおかげで下草は無事に根付いて、品の良い風情を醸し出し始めていました。

 庭の成長を見ることは、わが子に対する想いと全く変わりません。かわいくて、そして心配の種にもなります。
 健康に育っていってほしい、そのための力添えが手入れ作業というものです。





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投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
ホスピスの茶亭の庭 竣工6年目の手入れ 平成22年9月9日
 昨日は2カ月ぶりのまとまった雨になりました。
 私の地元千葉では道路が冠水するほどの、ちょっと、まとまりすぎの大雨でしたが、これを木々はどれだけ待ち望んでいたことでしょう。
 暑く乾燥した夏でした。これを乗り越えた樹木たちは、9月の長雨や夕立ちを待ち望んでいたのです。まさに恵みの雨です。
 夏の終わりのこの時期に、さらに乾燥が続くと、植栽したばかりの木々が枯れてしまう確率は夏以上に大きくなります。
 ようやく降り注いだ雨ですが、温暖化の進行はいよいよ本格的に被害をもたらす段階に来ているようです。
 今後はさらなる猛暑を想定しながら、植栽の時期や樹種、あるいは植栽場所の環境を選んでゆく必要を痛感した夏でした。

 今日は地元のホスピスの茶亭の手入れにうかがいました。



 この庭も植栽してから早くも6年目の夏を迎えました。茶亭はますます森の中に溶け込んで、自然風景へと同化しています。



 そして、木陰の空間もずいぶんとゆったりとしてきました。大きくなった樹間を抜ける風はますます心地よく、快適に作業が進みます。



 成長した木々同士が力を合わせて、お互いが住みやすい森の中の環境をつくっていきます。
 この庭は、極端に暑く乾燥した今夏の間、一度も水やりをしていません。それでも枯れた木も草も、1本もありませんでした。
 手のかからない庭は、環境としてのバランスのとれた庭の証拠です。こうした庭造りを今後もずっと、心掛けていきたいものです。





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投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
モミジ林の庭 手入れ終了 平成22年8月13日
 千葉市中央区S氏邸の手入れに入って今日で3日目、お盆前の最後の仕事が今日で終了しました。
お盆休みは明日と明後日の2日間です。

 数寄屋造りのゆったりした家屋に、優雅なモミジ林の庭が造られたのは20年くらい前になります。


 ゆったりした石畳の玄関アプローチ両脇にモミジ林があります。今、このモミジ林をトンネルのように園路にかぶせていこうと思っています。モミジのトンネルの向こうの数寄屋家屋といったイメージです。
 そのために、もう少し、樹高を大きくしていきたいところです。低い高さで枝葉を張り出させると邪魔になるうえ、庭を狭くしてしまいます。
 
 雑木の庭を手入れする際、、どのくらいの成長スピードに抑えるか、成長スピードを遅らせるために、枝葉の量をどのように調整するか、その判断に悩むことがあります。
 また、樹木の生長スピードをコントロールすることと、夏の住まいを涼しくするための木陰量の確保とが、必ずしも両立しないこともあります。その場合、どちらかを若干優先させて手入れを行うことになります。

 樹木の手入れ、庭の手入れは本当はとても奥が深いものです。そしてそれを担う私たちには、住まいの快適さや情感、住人の暮らしの心象風景をも左右する、とても責任重大な役目を担っているのだと思います。
 良い手入れとは何か、いつもそれを考えながら、良い庭を育て上げることを追求していきたいと思います。





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千葉市中央区S氏邸6回目の手入れ 平成22年8月11日 
 
 280坪の敷地内のモミジ林、手入れの依頼を受けて今年で6年目となりました。6回目の手入れです。

上の写真は今日の夕方、玄関アプローチ右側のモミジ林の手入れが終わったところです。


手入れ後のモミジ。夏の青空を涼しげな枝葉越しに見あげるこの美しさ。なんとも言えません。



手入れ後のモミジ林の林床の様子です。手入れ前はほとんど日が差し込まなかった林床に木漏れ日が揺れています。
 6年前、初めてこの庭の管理をお任せいただいた頃に比べると、夏の庭にずいぶんと木陰が広がり、過ごしやすくなりました。
 庭の手入れの際、私たちは、その庭においての環境的にも最適な状態を育てあげ、そしてそれを長く維持するために、手入れするのです。
 庭を環境としてとらえるか、あるいは単なる観賞物としてとらえるか、それによって庭の管理に対する考え方がまるっきり違ってきます。多くの植木屋さんはいまだ環境としての視点が欠落しているように思います。
 住環境をよくするという木の役割を生かし、そしてその効果をできるだけ長く発揮できるよう、よい管理を心掛けたいものです。
 樹木の効用を生かすための手入れということは、ごく当たり前な話だと思います。しかしながら、ぶつ切りにされた見苦しい街路樹や、ただ単に丸く刈り込まれた庭木がいまだになくならないのは、何のために樹木を手入れするのかということがあまり問題提起されてこなかったこと、そして、単に一時のお金のために惰性で手入れするレベルの低い植木屋がいまだ多いことが問題です。

 住まいの環境、樹木と人とのよりよい付き合い方、多くの人にもっともっとよく考えてもらえれば、街も住環境も格段に良くなるのになあと思います。
 


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森の中の分譲地 千葉県長柄町 平成22年7月31日

 長柄町は千葉県の真ん中あたりの山間部にあります。ここに長柄ふるさと村という、森に囲まれた、住宅地や別荘地が佇んでおります。
今日は、このふるさと村に住むIさんの住まいの森の手入れにうかがいました。
私たちがこの森の手入れに入るのは今回が初めてです。手入れといっても、大木の剪定ですので、ほとんどチェーンソーでの作業です。

 

Iさんがここに住み始めた時から、ここにはイチョウや桜、イヌシデ、コナラの森がありました。私が初めてこの森を見たのは5年くらい前のことです。
この森を初めて見た時、私が思ったことは、成長の早い雑木やイチョウが混在している中、森自体あるいは幹枝の健全な更新がなされるよう、光と風の管理をしていかねば、この森は老化して、後の管理が難しくなるだろうと、感じました。

しかし、この森の住環境をとても愛されるIさん夫妻、管理の方向性を決断していただくのに5年の歳月を要しました。
5年間で、こうして中途半端に人の手が入った森が、どのように変化してゆくか、じっくりと観察された末に、手を入れる決断をされました。


 森の管理で大切なことは光と風です。今回、外周のイチョウの木を大きく切り詰めました。また、風道を塞いている大きな下枝を根元から払い落していきます。
 外周の大木を頭切りして風が入り込むようになると、室内の湿度が10パーセントくらい減少すると、お施主様がおっしゃられました。
 湿気のこもった森は住環境にはふさわしくありません。住まいの環境としての快適な森、それでいて美しい森を維持するということは、それなりのつぼを抑えなければなりません。

 雑木の庭では、コナラやクヌギなど、自然の雑木を用いて庭を作ります。これらの自然樹木を庭に取り入れるとき、こうした野生の木々はたくましく成長し、手入れの仕方を間違えると暴れだし、放っておくとあっという間に大木になるいうことをも理解して扱わないといけません。本来は豊かな森の樹冠を構成する樹種なのですから、甘く見てはいけません。

 住環境の森、それは適度に日差しが差し込み、風が抜ける快適な森、そして、人間にとって快適な環境こそ、木々にとっても健康でいられる環境なのでしょう。
 
  
 
 

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
                 
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