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雑木の庭つくり日記

茨城県坂東市 2年目の手入れ    平成24年5月27日


 一昨年の秋に完成した茨城県坂東市Uさんの庭も、竣工後2回目の春を迎え、昨春に続いて2度目の手入れにうかがいました。



 2回目の春となると、緑は一段と深い色を呈し、心地よく涼しい風が流れます。



西日除けの木々の緑も深まり、今年の夏はより一段と過ごしやすくなることでしょう。



家屋西側の植栽の様子。家際の雑木が家屋を木陰にし、それによって夏の住まいの居心地を大きく改善してくれるのです。



家屋南側の木立。家屋の東西南北すべてが木々に包まれた150坪の庭の手入れも、2人で半日あれば終わります。それが健全な雑木の庭の手入れの在り方だと、私は思います。管理にお金がかかりすぎるような庭は、どこか不自然なもののように思います。
 また、管理コストがかかり過ぎる庭ならば、それは一部の人にしか楽しめないものになってしまうでしょう。そうではなく、私は普通の30代、40代の子育て世代の家族にこそ、心豊かな住まいの環境を築いてほしいと思うのです。
 自然と共にある暮らしを望む一般の方々が、あまり負担にならない程度に管理できる庭を追求する果てに、今の私たちのつくる、木々の性質に従った多層群落の木陰の庭に至ったことを実感します。

「いつもこの庭に本当にいやされます。庭がこんなに癒しになるとは、思ってもみませんでした。」
  奥さんがそう言ってくれます。
 庭は、一言でいえば癒しの場だと思います。

 私の亡き父は、末期癌や小児癌の患者さんの心を癒す医師でした。
 そして私たちの目指す造園は、住まいを豊かな自然で包み込むことによって、現代を生きる人たちの心身を健康にする仕事だと感じます。
 木々の力を暮らしに生かし、共存させてゆくことで、もっと住みよい、おおらかで愛される住環境になってゆくことでしょう。

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
今週の仕事        平成24年5月24日
 早くも5月も後半です。当社の私事ながらいろいろと事情があって、手入れも工事も遅れております。お待たせしておりますお客様、本当にすいません。。。
 一軒一軒休みなく進めておりますので、順次お待ちいただければ幸いです。

 今週の仕事紹介です。



 東京都練馬区大泉、Kさんの家は2階がリビングとなります。リビング窓越しの景色です。施工して3年目経過し、深い緑が窓越しに森の中にいるような木陰と涼しい空気を生み出します。
 ここが大泉の住宅街の2階リビングとは思えぬほどの圧倒的な自然樹木に育ってきました。



 写真左側の木立が、ちょうど2階リビング正面の木々です。
 住環境は1階の座敷からの景色を絵画作品のように作ればよいというものではありません。
 それぞれの住まいにとって、快適で潤い豊かな住環境としてゆくには、どのように木々を配してゆくか、これからの時代は住環境としての庭つくりが求められます。



 そしてここは東京都練馬区貫井Nさんの庭です。ここも施工後3年が経過しました。
「連休はずっと家にいて庭を眺めて過ごしました。この庭があればどこにも行かないで過ごせます。」と、満面の笑顔でNさんは言ってくれます。



決して広くない、都会の住宅密集地の中の住まいですが、木々の力でその居心地は、そこに暮らす人にしか分からぬほどに良いものとなるようです。



家屋西側の、西日除けの木々は今やしっかりと夏の室温上昇を抑制し、そして街の景観林と呼べるほどのボリュームを感じさせてくれます。
 道路より2mほど高い位置にあるこの敷地、通る人は必ずといってよいほど、この圧倒的な緑を見上げていきます。



その、家屋西側の多層群落の木立も、実際には建物際のわずかな幅にすぎません。
狭いところで幅60センチ、広いところでも1m50センチ程度、そのわずかな幅でも、木々の活かし方次第で、住環境としてのスペースを圧迫することなく、住まいの微気候まで改善してしまうほどの植栽ができるのです。
 そして、これほど圧倒的な木々に包まれた庭の手入れは、3人で3時間もあれば終わります。
木々の性質に逆らわず、理に適った手入れをしていけば、管理のコストはあまりかからないのです。そして、成長の早い雑木をコントロールして10年20年と十分に共存できるのが、私たちの提供する本物の雑木の庭なのです。



 そしてここ、埼玉県飯能市のSさんの庭も、竣工後3年目を迎えて一段と緑は深まり、美しく涼しい住まいの森と化してきました。



 2階窓に、逆光に輝く葉の反射光が光の色合いを変えて心地よく差し込みます。
 やはり、1階だけでなく2階を含めてはじめて、住まいの外環境は完成します。



中庭の景色。左側にはブロック塀を隔てて隣家が迫っていますが、その雰囲気をも木々が柔らかくなじませています。



土間空間に差し込む清らかな緑の気配。



 圧倒的な木々の合間から暖炉の煙突を仰ぎ見ます。ここもまた、どこかの別荘地でもなんでもなく、飯能市内の密集住宅地の一角なのです。
 やはり、Sさんも連休はどこにも行かずに家で過ごされたようです。「どんな旅館に泊まるよりも、家族みんなでうちにいるのが一番心地よい。」とSさんはいつも言ってくれます。心豊かな住環境は何よりの宝ではないかと、改めて確信させられます。



 そしてまた、今週で1件の小さな庭の改修工事が終了します。木立の中の石畳テラスの施工中です。千葉市中央区の、やはり住宅街の一角です。
 植栽したばかりの木立がすでに、作ったばかりのテラスを涼やかな木陰にしてくれています。



 施工中のテラスに揺れる木漏れ日が、すでにこの庭の時間の流れを緩やかに感じさせてくれています。
 庭はなんと大切な心の糧になることでしょう。それがどれほど、人の心模様を豊かにすることでしょう。私はそれを、なるべく低コストで多くの人に届けていきたいと思います。
 が、、時間が足りずに、依頼から施工までお客様を何年もお待たせしてしまうのが今の状況です。所詮、一人の人間がこなせる仕事量などたかが知れているのでしょう。
 だからこそ、住む人を幸せにする住環境を作るための庭つくりの担い手が、これからどんどん増えていかねばならないと思います。
 それが時代の要請であり、この仕事の現代的社会的意義というものだと感じます。それを意識して仕事できる庭師造園家が増えてくれば、日本の街はきっと美しく再生されてくることでしょう。
  
 

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
5月の手入れ行脚 その1        平成24年5月18日
 
 連休後の時期、来る日も来る日もひたすら手入れに回り続けます。この時期に、これまで作らせていただいた庭や、お施主様と再会することは、私たちの仕事にとっての何よりの楽しみの一つです。



 千葉市花見川区のIさんの庭も、施工後7年目を迎え、深い緑にメリハリが感じられます。



 手入れ後の庭に木漏れ日が差し込みます。年月を経てなお良くなるのが雑木の庭です。



 2階窓から手の届く位置に差し掛かる雑木の枝葉は、残します。小学生の娘がこの窓越しの緑をとても大切に愛でてくれるからです。



 ここは千葉市緑区Iさんの庭です。施工後5年が経過しました。



 土の状態が悪く植栽直後の成長があまり良くなかったこの庭も、5年を経た今では木々の根が土を肥やし、枝葉を元気に広げて庭中に涼しげな木陰を作ってくれています。



 ここは千葉市緑区Mさんの中庭に設けた植栽枡です。住宅に囲まれた狭い敷地では、中庭の存在が非常に効果的に室内を潤します。一つの坪庭が周囲3部屋からの外の景色を潤すのですから。



 このMさんの庭は植栽後2回目の春を迎えました。1年ごとに緑は深まり、それとともに住まいの風景はより美しく緑の中に溶け込んでいきます。



 昨年6月に完成したばかりの千葉県鴨川市Tさんの庭です。



 西日除けを兼ねた玄関前の植栽も昨年に比べて2倍程度に緑が濃くなったでしょうか。完全に根を張って木々が旺盛に成長するまでにはもう1~2年は必要ですが、着実にこの地の風景となりつつあります。



 そして今日訪れたのが千葉県船橋市Mさんの庭です。竣工後3年目を迎え、ようやく木々がこの地に溶け込みました。
 昨年までこの時期に発生していたハバチやカイガラムシの被害も今年はなく、代わりにテントウムシの幼虫がたくさん木々の枝葉の上でせっせとお仕事してくれていました。
 生態系として庭が安定してくると、通常病虫害の目立った被害はなくなっていくのも、自然に近い雑木の庭の特徴と言えるでしょう。



 西日除けの木立が駐車場を潤します。



 西側の玄関アプローチ。幅わずか1m程度のスペースでも、植栽次第で十分に潤います。

 狭い場所には狭いなりの工夫、広い場所では広いなりの木々の活かし方があります。住環境に甲乙などありません。どんな環境でも木々の力を上手に生かせば、住む人に愛され続けるかけがえのない住環境となるものです。
 そして、それを毎年の手入れによってより自然な状態へと育ててゆく、それが私たちの仕事です。









投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
5月の病虫害の対処について     平成24年5月15日


 5月から6月にかけての季節は、雑木の庭の手入れの時期となります。この季節の手入れによって、夏の木々の成長量や日差しの入り具合を効果的にコントロールするのです。
 樹木が活発に活動するこの時期は、剪定による切り口などのダメージの修復も早く、剪定によって新しく若い枝葉を、芽吹かせたい位置に出させてゆく上でも効果的です。
 
 同時に、この時期は若い葉がまだやわらかい上に、気温が上昇し雨量も多くなり、葉を食害する毛虫や青虫なども活発に活動します。
 特に今年は、連休明けの発生が目立ちます。

 できるだけ早い時期に、お客様の庭の手入れに廻りたいのは山々なのですが、なにしろ私たちが管理する雑木の庭の件数も、半端な数ではなくなってきました・・・。
 お客様におかれましては、ご連絡をいただければ、なるべく優先的にうかがうようにいたします。それ以外の場合も、1件ずつ休み返上で廻りますので、どうかご了承くださいませ。

 なお、病虫害については、慣れてしまえば対処は容易ですので、今の時期はできれば毎日、庭の木々をチェックしてみることをお勧めします。早期の対処は容易ですが、被害が広がってからではちょっと手間がかかります。
 ここ数日間で発生を確認した庭の毛虫について、対処を含めて紹介します。



 これはマイマイガの幼虫で、主に落葉樹の葉を食害します。毒はないので、私は手入れの際に素手で取ってしまいます。 集団発生はしない上、枝葉を丸坊主にするほど食欲旺盛ではないので、それ程心配はいりません。
 木をゆすったり、ホースで下から勢いよく水を吹き付けると大抵落っこちてきます。地面に落ちれば、踏みつけますが、放っておいてもそれがまた木に登ってくる前に天敵が退治してくれることが多いです。
 落としてつぶす。その程度の対策で十分です。対策しなくても、毒はないので人に危害を与えることもなく、鳥などの天敵も多いので、心配するほどのものではありません。



よく見るとのん気でかわいい顔をしています。私は嫌いな毛虫ではありません。ただ、あまり発生させないためには早期発見と葉水が一番です。



 結構厄介なのがこの、シャチホコガの幼虫です。これはオオトビモンシャチホコと言います。食欲旺盛で集団でたかって枝葉を丸坊主にしてしまいます。ここまで発生したら、もう枝を切除して、袋に詰めてつぶすしかないでしょう。



 大発生している枝を、高枝鋏で切り落とします。脚立と高枝鋏は、雑木の庭の必須アイテムです。
 毛虫は、慣れないうちは気持ち悪いものでしょうが、慣れてしまえばそれほどでもありません。シャチホコガも毒はありません。



 シャチホコガには、無農薬スプレー「セルコートアグリ」がよく効きます。「セルコートアグリ」とは、液体セルロースが主成分で、噴霧によって虫の気門に幕を作り、窒息させます。
 写真はスプレーで撒いていますが、被害が広がってからの場合は噴霧器で散布するとよいでしょう。
 噴霧器は小さくても構いません。使いやすさと洗いやすさが大切です。使いにくい噴霧器では、いずれめんどくさくなってしまいます。自分が使いやすい噴霧器も雑木の庭の必須アイテムです。



 セルコートアグリ噴霧後、毛虫は弱り、ぼとぼとと落ち始めます。



 数分後、木をゆするとこうしてぼとぼと落ちてきます。ほぼ動きは止まっています。



落とした毛虫は、ミ(大きな塵取り)と手ぼうきで掃きとって、野原に捨てる、水没させる、埋めるなど、ちょっと残酷な気もしますが、とにかく処分しましょう。もちろん残しておいても、すぐに他の虫や鳥が食べたり分解したりしてくれます。
 ただ、気持ち悪いでしょうから、処分したほうがよいというだけのことです。

 これも早期発見していれば、葉水で簡単に対処できます。



 これはハバチの幼虫が葉を食べています。新緑の柔らかい葉を食べて、穴だらけにしてしまいます。鳥やカエル、カマキリや蜘蛛、寄生蜂など、天敵も多いのですが、植栽したばかりで葉の芽吹き速度が遅い場合や、比較的弱った木によくつきます。大型の毛虫類に比べて青虫はなかなか葉水では落ちにくいのですが、私はもちろん手で捕獲してつぶします。
 発生の時期は新緑が出るころと限られますので、発生しやすい木には、その時期に限ってニンニク木酢液などを予防的に散布し、ハバチが卵を産みに来ないようするのも一つの有効な手です。
 また、とにかく新緑の頃には葉水を吹き付けて、こうした害虫の卵などを洗い落とすことが効果的です。
 
 もちろん一番良いのは、木が健康であることです。健康であれば、それほどやられません。その土地の気候風土に適応する木を、良い環境条件で植栽してあげること、本当はそれが一番です。



 有翅のアブラムシを食べているのはテントウムシの幼虫です。人によってはグロテスクに見えて益虫と知らずに駆除されてしまいますが、テントウムシやカゲロウの幼虫など、大変な働き者ですので、よく気を付けて大切にしてください。

 とにかく生き物は繋がっています。それを農薬散布でやっつけようとすれば、益虫も鳥も来なくなってしまいます。なるべく農薬に頼らず、虫に慣れることです。慣れてしまえば害虫対処など、簡単なことに感じてくるでしょう。また、こうした対処をしてゆくことで、生態系というもののすごさに気づき、庭をより深いレベルで楽しめるようになります。
 私たちが提供する雑木の庭は、形や見た目だけの庭でなく、なるべく木々にとっても心地よい自然環境、つまり人を含めた生態系をそこに作ろうとするものですので、なるべく生き物の繋がりを尊重し、自然のサイクルによってバランスを取ってゆくようにしています。



 昨日手入れにうかがった千葉市緑区のIさんの庭に、こんなものが木にぶら下がっていました。
 落花生のネックレスで、針金で固定しています。Iさんは、これでシジュウカラやコゲラなどの野鳥を呼ぶと言います。
 シジュウカラなどが庭に来訪するようになれば、毛虫青虫の番人となります。そして、コゲラがくれば、カミキリムシの幼虫など、幹の中を食い荒らす虫を見つけて、突いて穴をあけて食べてくれます。
 落花生の数珠は庭の景色を面白くしていました。病虫害との付き合いも、庭の楽しみの一つとなるのです。
 

 

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
カフェどんぐりの木 2年目の手入れ    平成24年4月25日



 ここは千葉市美浜区のコミュニティカフェ どんぐりの木、施工して丸1年、初めての春を迎え、初めての手入れに訪れました。



奥行5m足らずの玄関アプローチは、新緑まぶしいどんぐりの森の木道です。



 植栽して1年、しっかりと根付いた木々からは、昨年よりもずっと濃くなった枝葉が深みある景色を感じさせてくれます。
 1年、また1年と、作らせていただいた庭の手入れに訪れるたびに、木々の強さにエネルギーをもらいます。
 移植された木々は、新たな場所で文句も言わず、一生懸命に根を張ろうとします。
そして、大事にしてくれるお施主の愛情に一生懸命応えようとしてくれているようです。



 カフェは今日はお休みです。手入れのあとは、カフェの中でおいしいコーヒーをいただきながら、ゆっくりと庭を眺めます。
 大通りに面したせわしない街中ですが、一歩このカフェに入ると、そこにはゆったりとした時間が流れていました。
 緑を抜けて光差し込む休日のカフェで、お話し好きで聞き上手なオーナーのSさんとの、とりとめのないお話しの時間もあっという間に過ぎていきます。



 カフェには絵本に木のおもちゃ、子供の五感を楽しませてくれるものがいっぱいです。



 木はいいなあ。ほんとです。


投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
       
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