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雑木の庭つくり日記

最近の活動報告     平成28年7月18日

 高田造園ブログをお読みくださる皆さま、大変ご無沙汰しております。高田造園設計事務所の高田です。皆さまお元気でしょうか。私たちも元気に精力的に活動しております。
 大変な多忙の中、ブログの更新がかつてないほどに空いてしまいました。
その間、報告したいことは山ほどございますが、簡単かつ、つれづれなるままに、順不同でご紹介したいと思います。



 まずは竣工した庭環境のご紹介から始めましょう。
 先に一期工事を終えて中断しておりました千葉市中央区の庭が先日竣工です。

 高低差のある敷地を生かして奥行きと変化のある空間が生まれました。



 木々の合間に様々移り変わる光と風の空間を連続させていきます。



 庭側から木々越しに家屋がなじみます。今後木々の成長とともにここは自然環境の中の住まいへと昇華してゆくことでしょう。



 そして二期工事の目玉は、芝生の息づく駐車スペースとそこからのアプローチ。
駐車場の緑化のポイントは、下地の作り方にあります。
 車両の重さで土壌が圧密されることのないよう、石をかませて車重を支え、なおかつその間の空間が円滑に水と空気がしみ込んでゆくよう、様々配慮を重ねます。



完成直後の芝生の駐車スペース。



 縦列駐車場の奥、木々の合間の裏門から庭へと伝います。



 完成直後のアプローチ。すでに心地よい空気が通り抜け、この土地の自然環境としての醸成が始まりだした、そんな気配を感じます。



 そしてここは6月初めに竣工した、長野県鹿教湯温泉内の環境整備工事の模様です。
無機質な工業製品の外壁も、周辺の森林環境とつながる木々の配植によって環境の中に溶け込んでいきます。



 住宅造成に伴う均一傾斜の盛り土斜面枝葉を絡ませて土留め柵をつくり、植栽スペースを作りながら、自然地形へと誘導していきます。



 自然地形を再生し、そのうえで植栽、グランドの保護には周辺の山林内の落ち葉溜めから採取した、落ち葉の下の腐植層を用います。



 周辺林から採取した腐植。分解途中の枝葉に菌糸、樹木根が絡み合い、スポンジのような森の皮膚を形成する、それが健康な森の腐植層です。
 この、森の皮膚移植ともいうべき腐植層の採取には、あくまで採りすぎず、森にダメージを与えないように細心の注意で行います。



 腐植マルチ後の植栽地。自然地形再生のために絡み合わせた枝葉は1~2年程度で良質な土壌へと還っていきます。その時にはすでに樹木の根が表土を張り巡らせて地形を支え、あたかも自然本来の地形のように心地よい姿で安定してゆくことでしょう。



 玄関前の洗い出し仕上げによるステップの敷設のための型枠です。
コンクリート厚はわずか12センチ程度とします。
 凍結深度の深い寒冷地では近年、かなりの深さまでベースコンクリートを打つのが業界の常識となっています。凍結深度を超えるまで深くコンクリートを打たないと冬場の凍結で持ち上がってしまうからです。
 しかし、それは大地に対して多大な負荷を与える誤った方法と言えるでしょう。

 下地を圧密してふっくらした通気環境をつぶしてしまうから凍結によって持ち上がるのであって、それをせずに呼吸する大地を生かしつつ、ブリッジのように支える構造であれば、冬場の凍結によって持ち上がることはありません。



 ここでは、表面を炭化させた杭を打ち込みます。炭化させることによって表面の通気透水および微生物環境が正常を保ち、そこに菌糸が絡み、樹木根を呼び込みます。そして絡んだ樹木根が杭を支えます。



 打ち込み杭とワイヤーメッシュを軽く連結し、そして下地には土中通気改善の上で、炭とウッドチップをまぶします。



 そしてそのうえで塗り込み、洗い出して仕上げます。
大地を傷めず、周辺木々や微生物環境へ負荷を与えず、まるでふかふかの土壌の上に平たい石を置いたような、そんな仕上げです。そしてその人工石を焼き杭とそれに絡んだ根っこが支え、植物根も土中生物もその下で心地よく生きていけるそんな環境を保ちます。



 完成後の玄関周辺と、寒冷地仕様でなおかつ大地に負荷を与えないコンクリート造作。



 完成直後の外空間。茶色のウッドチップ敷きのスペースは、ノシバの種を播種した駐車スペースです。適正な管理がなされれば、来年には緑の息づく駐車場となることでしょう。



 そしてこの春以降、新たに導入した取り組みの一つとして、複合発酵酵素水の培養設備のご紹介です。
 当社管理のダーチャフィールドに最近設置した複合発酵プラントです。大量の微生物複合増殖、合成、酵素化を同時に行う設備です。



 発酵槽では、無限といっても過言でないほどの多種大量の微生物群を増殖、共生させていきます。
 毎日手を入れて攪拌します。このとき、微生物の状態を把握するためのもっともすぐれた感覚器官は鼻や下、手触りを通した五感すべての複合であることを実感します。微生物の状態は日ごと変化していきます。

 正常な発酵が連鎖すると腐敗の作用は全く起こりません。そんな発酵部屋の空気はよく、山の中なのにハエも蚊もほぼ生じません。



 飴色は増殖した光合成細菌などによるものです。腐敗はありません。



 そして隣の合成槽では、増殖した微生物の合成作用が起こり、透明度の高い無臭の酵素液を増殖します。
 ここにはすでに微生物菌類は存在せず、酵素とエネルギーへと転換されます。



これを土壌や空気中、葉面、そして住環境周辺などのあらゆる環境中に散布することで、本来の正常な微生物の合成作用の循環が再生していく、そのきっかけとなります。
 疲弊気味だった当社フィールドの自然菜園も酵素水散布によって目覚ましく回復し、そして、病虫害もほぼ現れません。訪れる昆虫の種類、特にトンボなどが目覚ましく増え、その一方で蚊やカメムシなどは激減しました。豊かで多様な本来の生き物環境の循環が再生されてきたのでしょう。

 フィールドでのイベントなどの前に、この酵素水を散布すると、驚くほど蚊がいなくなるのです。もちろん、ハエなども激減します。



ここは長野県飯山市、常盤第一地区下水処理場です。ここではおよそ600世帯分の下水を複合発酵技術によって処理、汚泥の消失減量化を行っています。



下水処理槽も汚泥層も、嫌なにおいが驚くほどしません。むしろ、心地よい空気感すら感じます。



 処理水には大腸菌すら消失し、飲用可能なレベルにまで浄化されます。みんなで処理水を試飲します。

 この処理水を周辺の様々な農家の方々がタンクに詰めて持ち帰り、それを農地に散布利用しているのです。
 複合発酵下水処理水を利用して、無農薬無肥料による作物生産がいたるところで実現されている、そんな圃場を見学して回り、想像を絶する微生物世界の神秘的なまでの働きに打たれます。



  ここも長野県内、複合発酵によって家畜のし尿処理を行っている畜産農家の処理施設です。
 大量の牛のし尿を複合発酵酵素によって発酵させて分解、合成処理しています。
 畜産農家のし尿処理施設なのに、驚くほど嫌な匂いがありません。



 そしてハエもほとんど沸きません。驚くべき現実です。
家畜の牛に酵素水を飲用させることでまず、糞尿の腐敗臭が激減します。おなかの中で腐敗作用がおこらず、正常な発酵サイクルが再生されることによるのでしょう。
 そして、酵素水を飲用した家畜は病気にもなりにくく、今の不健康な畜産に欠かせない抗生剤すら、必要としなくなるのです。

 そしてこの処理水も周辺農家が積極的に利用し、農薬化学肥料などの環境を汚染する余計な造作をせずに健康でおいしい農産物を高い収量で生産されているのです。

 驚くべき技術、自然界の真理は、これまでの微生物学の常識の範疇にとどまるものには決して理解されることはないでしょう。

 私たちが取り組む果てしない環境の再生に、この技術を生かし始め、そしてその目覚ましい効果を日々実感しています。



 ここは今年に入って千葉市内に新たに借りた、6000坪ほどの山林です。この山林を整備、育成利用しながら、ここに20世帯程度のダーチャ村を作り、週末に家族とともに自然とともに暮らしてゆくことを望まれる、心ある方々と共にコミュニティと環境を育てていく、そんなことを計画し、環境再生整備を始めています。
 
 都市近郊の里山の多くは放置され、荒れていき、そして相続のたびに代々の地主の手から他者へと買い取られていきます。
 都市近郊で今、こうした土地を取得するのは多くは土木建設会社の資材、残土、ごみ置き場、そして廃棄物処分場、太陽光パネル設置用地など、、、。その果てに環境は一気に荒れていき、そこはもはや、それまでの穏やかで心地よい田舎とは全くかけ離れてしまうのです。
 先祖代々住み慣れた故郷が壊れてゆく、心ある地主さん方々の多くはそれを望んでいません。
 しかし、後継者がいない、息子も部落を離れてしまい、人手もない、そんな中、選択肢が限定されてゆくのが今の時代。
 里山も農地も、その土地の先人が育んできた、大切な宝です。それを新たな形で活用し、そして地主さん方々にとってもメリットとなる形にしてゆくこと、そんな形で日本を再生していきたい、そんな思いでダーチャ作りの活動を今、はじめております。



 荒れた山を改善する、その作業は大勢でやれば楽しく、はかどり、なおかつみんなの学びになります。
 今回、この山の心臓部ともいえる谷筋のラインにおける空気通し改善作業を40人のワークショップで実施しました。

 かつては村で共同で行う、結(ゆい)の作業が村落の環境を守り支えてきました。それに代わる現代の結(ゆい)、それがこうしたワークショップなのでしょう。こうした作業にたくさんの人が集まり、そして楽しみながら作業が進む、良い時代に変わりつつある希望をも感じます。



 そしてこの日の作業は杉林の皮むき間伐作業です。樹皮をはがし、下からみんなで引っ張ってはがしていきます。

 放置されて細長く不健康な林となった人工林の間伐には、この皮むき間伐が最適で、今全国で急速に普及しつつあります。



 樹皮をはがし、立木のままゆっくりと時間をかけて枯らしていきます。
 そして、徐々に枯れていき、水分が抜けていき、光が徐々に入り込むことによって周辺の木々が枝葉を広げ、林床の植生が回復する、皮むき後2年くらい後に伐採し、天然乾燥材として利用されるのです。
 こうして自然乾燥した木材の重量は生木の3分の一以下になり、搬出も容易で大きな機械を必要とせず、大きな道をつけずとも森を荒らすことなく山から木材を運び出すことができます。



皮をむいた立木は水分を含んで美しくきらめき、その手触りや香りに誰もが魅了されます。



 なるべく高い位置まで皮をむきたい、つるつるの木に登ってみたり、肩車してみたり、あらゆる方法でにぎやかに作業が進みます。



 従来の間伐の場合、劣勢木を中心になるべく均質な密度を保つよう、まばらに均等感覚で間引きを行うのですが、ここでは違って、数本単位で集中的に間伐してゆくことで、杉林の中に50㎡程度のパッチ状の開口空間を点々と作っていきます。
 一本単位の間伐ではなく、こうしてまとまった開口を作ることによって、広葉樹等の新たな侵入木や林床植生の発達、多様化を促し、健全で多種共存の針広混交林へと短期間で誘導してゆくのです。



今回皮むき間伐を行った林分に隣接するシノダケの藪。シノダケ以外に何も生育できない、荒れはてた場所。
 これは数年前に杉林の一斉皆伐が行われ、重機で蹂躙されて環境を壊してしまった場所の跡地、ここまで荒らしてしまうともはや自然の力だけではなかなか健全な森へと移行していきません。
 しかし、こんな藪でも、適切に手を打つことで、驚くほど短期間に健全な森へと遷移させてゆくことができるのです。



猛烈な勢いで覆いつくすシノダケをすべて伐採するのではなく、まずは地形形状や笹のハエ具合などを読み取りながら、空気の通り道を開けていきます。
 これだけでこの土地の生物環境はみるみると改善に向かい、硬化した土壌は回復し、シノダケは徐々に勢いを弱めていきます。そして、もう少し藪がまばらになってきたところで、次の作業として、さらに横に風道を開いていきます。そうしているうちに、徐々にシノダケ以外の植生が侵入をはじめ、生態系が回復してゆくのです。

 環境再生は自然との共同作業であって、人間がすべてをやろうとしないこと、今回のワークでそんなことを多くの人に伝えたいとの思いを込めます。



 4年前から整備を始めたダーチャフィールドも、日ごと月ごと心地よい環境へと変貌し続けていきます。
 森には子供が似あいます。僕たちの子供のころのように、森に虫の声、鳥の声、子供の声、そんなものが響き渡る豊かな大地が広がってゆくことを願い、猛烈に忙しい日々を生き抜いていきます。





投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
施工後、新緑の庭をめぐって            平成28年4月30日


 本日、メンテナンスに訪れた、茨城県鹿島市、Yさんの庭です。竣工後丸2年が経過し、いよいよ森の様相を深めてきました。
 ひんやりとした空気感も昨年までとは違い、一歩庭に入ると涼しく爽やかな風が心地よく、いつまでもそこに居たくなります。



 私の植栽は住空間の中に樹木を群落単位で点在させていきますが、2年前、ここでは高木の根元に、様々な苗木を混在させて植えました。カシ、コナラ、シイノキ、エノキなど、みんな大きくなる樹種ばかり、まるで自然林での林床の芽吹きのように植えたのです。
 「これ、どうなるんだろう。」
 植栽当時、興味深げに観察していたYさんの様子が面白く思い出されます。

 それが今、力強く競合し、共生しながら、まるで山奥で朽ちた倒木の上でたくさんの実生が芽吹き競い合って伸びる、そんな光景を彷彿とさせます。
 庭で感じることのできる力強い自然の営み、伸び伸びと育つ木々の濃い緑に大きな力をもらいます。
 
 私の庭では、できるだけ管理しすぎることなく、野生の木々本来の力を発揮させて伸び伸び育てたい、その理由は、こうした健康な木々が人に与えてくれる無限のエネルギーと幸せ感にあります。



 庭つくりの時はまだ赤ちゃんだったYさんの息子、イチロー君も、たくましい顔つきの4歳の男の子になりました。
 作った庭を訪れる楽しさは、成長する子供達との再会の喜びが大きいものです。イチロー君は庭作業する私たちのまねをして、頭に手ぬぐいを巻いて、庭の中や外をちょこちょこと動き回ります。



 「休日はいつも一日中庭に居る、庭があれば連休もどこにも行く必要がない。」
 Yさんはそう言って、休日の今日も日がな一日、庭で子供たちと一緒に過ごします。
 新緑まぶしい今の時期は、一年の中でもっとも美しい時期かもしれません。
 日ごと表情を変える木々の息吹を感じていれば、飽きるということなどありません。



 Yさんの庭の一角に設けた20㎡ほどの菜園は、いまや子供達の土遊び場となりました。
子どもが生まれる前、あれほど熱心に週末菜園に熱中していたYさんも、野菜つくりをお休みして、菜園スペースの全てを子供の土遊びとして明け渡したのでした。
 今はなかなか土を自由にいじる場所もないせいか、近所の子供たちもここに土いじりに来ると言います。
 
 「子供が小さなうちは、庭なんぞ作り込んではいけない、掘ったり植えたり、子供が好きに触れ合えるような、そんな雑多な雰囲気がちょうどよい。」

 そんな私の庭への想いも、Yさんの庭やその暮らしを見るにつれて、ますます思いを強められます。
 子供がわくわくと楽しめる庭、子供の五感をときめかせる場所、、、、そんなものを求めているうちに私の庭は、里山自然環境やかつての屋敷林のある暮らしの環境としてのニワとの境界線がますますあいまいになり、溶けてゆくようです。



 日当たりのよい木の枝に干された子供の服。それをぼんやりと眺めていると、新緑のまぶしい緑の美しさと相まって、とても幸せな気持ちに包まれます。
 限りある人生、その中で子供と過ごす幸せな時期というものはあっという間に過ぎ去っていきます。だからこそ、心地よく優しく、生き生きとした緑に包まれた家庭での時間を大切にしてほしいといつも願うのです。
 縁側に子供の靴が並び、そして木の枝につるされた小さな服、そんな光景がどれほどかけがえのないものか、手入れに行くたび成長してゆく子供たちを見て、いつも想うのです。



 そして今日、2件目に訪れたのは、ついひと月前に造園工事完了したばかりの保育園、野草舎森の家です。焼き杉の木柵や木戸、そして現地の土を塗った土壁の門塀も新緑の中になじんできました。



 植えたばかりの木々は今後、必要以外には手を入れることなく、この園舎を心地よい森の環境へと育てていきます。
 数年後には濃い緑の中、庭全体に夏の木陰が広がることでしょう。



 2か月前に植栽したばかりの木々ですが、昨日の大風にも倒伏しない、力強い根の張りを見せてくれていました。
 私の植樹は基本的に支柱は施しません。また、樹木の深植えも今は決して行いません。
 倒伏防止のために心がけていることがあるとすると、植栽樹木の根が早い段階で健全に伸びてゆくよう、下地土壌の通気性には格別の手間を施しています。
 土壌の通気性と浸透性、それさえ心がけていれば、植栽後、わずかひと月もたたないうちに木々の根と根が絡み合い、台風にも倒木しない健康でしなやかな樹木群落となるのです。
 また、自然林での樹木群落のようにその土地においての相性の良い樹種による密植混植の効果も



 土壌の通気浸透性改善造作による木々の根の生育環境改善の効果はてきめんに顕れます。
 これは1年前に、つくば市内、水はけの悪い大型造成地において、土壌通気浸透改善・植栽した樹木群です。
 本来この土地は7年前、もともとなだらかな起伏の畑地だった土地の地表をはぎ取り、重機で締め固められたこの大規模造成地は、宅地造成によって通気浸透性を失い、水は浸み込まず、そこに植えられた樹木はほとんどが生育不良の様相を見せていたのです。

 そんな中、試験的な取り組みとして、造成地の一部、総延長約100mの街路において、我々の提案による、通気浸透改善・密植による植樹を1年前に実施したのです。



 それに対してm道路を挟んだ隣地には、我々による改善植栽とほぼ同時期に、従来の方法で植えられた街路樹が並びます。この写真はその、従来型植栽によるものです。
 大半の木々は枝先を枯らし精気もなく、根の伸長不良による生育不良の様相がすでに顕著に表れていました。
 普通に木を植えてもまともに育たない、今、そんな造成地が全国で増え続けているのです。



 一方で、土壌通気浸透環境改善の上で私たちの植樹した街路樹は、、2回目の春を迎えてますます葉数を増やし、枝先先端の葉も大方後退することなく、あたらな新芽を吹かせていました。
 その違いはわずか1年余りで誰が見ても顕著に分かるほど、結果は明らかに顕れます。

 根の呼吸環境への適切な配慮と造作がなされれば、どんな場所でも健全に木々を育てることができる、そのことを一つ一つ示し続けたいと思います。

 現代の技術が置き去りにしてしまった大地の呼吸環境への配慮という大切な視点を忘れない社会つくりに活かされるよう、日々結果を示し続けていこうと思います。黙って結果を示し続けること、木々を、大地を生き返らせ続けること、それも今の私たちに与えられた大切な使命なのだと感じます。



 そして先週には、埼玉県越谷市Aさんの庭の改修2期工事が終了しました。



 家周りのコンクリートを剥がし、アスファルトを剥がし、そして土中環境改善の上での植樹です。
30年もの間、アスファルトの下敷きになって死んでしまったような土壌環境でも、適切な改善措置によって呼吸する大地、木々が健康に育ってゆく環境がよみがえります。



  旧家の広い庭の中に、2か所の大きな穴を掘り、そして取り外し可能な木蓋をかぶせた場所を設けます。
 ここが、この庭の土壌環境改善の要となる、大地の通気孔となるのです。




 ここに集まった水を水中ポンプでくみ上げて庭や畑の灌水に使うのですから、ある意味この呼吸孔は、浅井戸の役割をも兼用します。



 約2mほどの深さの穴には、雨が降る度に水が集まり、そして水位は日によって上下します。
掘った直後の穴の側面は、地表から1mほど下の位置から青くグライ化した水通しの悪いヘドロの層がずっと下まで続いていたのですが、穴を穿って2週間もすると、側面のグライはかなり解消されてくるのです。

 そして、この水は常にたまっているように見えて、きちんと土層を通して動き、行き来していることは、水が腐らず匂いもしないことから判別できます。
 穴を掘り、溝を掘って土中の水と空気を動かしさえすれば、土の中から土壌環境がおのずと改善されてゆきます。

 そして、もっと言えば、深い位置で溜まった水を、支障がなく水が腐らない限り、これを無理に抜こうとしないことも大切なことと思います。
 グライ土層、あるいは粘土層をさらに掘り進むと、通常きれいな砂、あるいは砂礫の層に行きつくことがよくあります。
 通気浸透改善を、水を抜くことと考えると、ついその層にまで掘り進みたくなるものです。
 その、水が抜ける層が、植物根の映える有機質土壌であれば問題ないのですが、清浄な砂礫層まで掘り進めることは注意が必要です。

 その理由は、端的に下記の二つに集約できます。

 ひとつめに、本来、降り注いだ水は大地の中で浄化され、貧栄養化した清冽な水となってから、深層水脈へと誘導されねばなりません。これを、劣化した土地において土壌浄化機能が回復しないまま、深層水脈へと流し込んでしまえば、それは浄化されず、ダイレクトに地下水の汚濁、富栄養化、そして深層水脈の汚染、詰まりという、まさに広域な自然環境全体に及ぶ環境劣化にも繋がります。
 あくまで、劣化してしまった土地の源環境を健全に回復させ、そしてそれが持続される形でゆっくりと育てていく必要があるように思うのです。

 もう一つは、土中の生き物環境を潤し、そして土中の空気を動かす水の役割というものがあります。本来、土中に浸み込んで動き、生きとし生けるものを養う水を、まるで排水するように深層へと流してしまうことは、本来の自然環境における健全なあり方ではないのです。

 傷んだ大地、それでも適切な土中改善造作によって、木々がきちんと生育できる環境はある程度充分再生することはできます。
 さらにその上で、本来のその土地の大地の力を取り戻したいと思う時、それは、自然の呼吸に合わせるように、時間をかけてゆっくりと改善させてゆくことも必要ということかもしれません。



 そしてここは三日前、一部分の改修を終えた、千葉市内の庭です。
この庭の造園工事が竣工したのはもう14年くらい前のことになります。
 粘土質の土は排水が悪く、植えた当初は生育不良の様相が顕著に見られたのですが、施工後から5年間くらいの間、毎年縦穴通気孔をあけては有機物資材を詰め込む、そんな改善作業を続けてきました。
 その結果、いつしか木々は生き生きとよい表情を見せてくれるようになり、そして今、この小さな庭はいつも心地よい空気が流れる、別世界となりました。



 今回の改修工事中。
 それまでの広いウッドデッキを半分の幅に狭めて、そして生まれたスペースを整えるというものです。
 14年前の当初、小学生だった二人の子供部屋が外で繋がる広いデッキを設けたのですが、子供が巣立った今、デッキを縮めて植栽スペースを増やし、より深く木々を感じて暮らしたい、そんな要望を受けての改修工事となりました。
 写真はデッキを切り詰め、ステップを作りなおしたところです。



 改修完了後。新たな造作14年前から育まれてきた庭の中に違和感なく溶け込ませていきます。



 足元の配石中。
 作った庭を後に手を加えて作り直すということ、そこには独特のむずかしさがあります。
 それまで時間をかけてなじんできた庭の中に、新たな造作を違和感なく溶け込ませるということ、そのためには、既存の素材の佇まいやデザインを再びじっくりと考慮して、素材の取りあわせや収め方を考えていかねばなりません。
 囲碁の碁石を打つように、敷石を打っていきます。



 デッキ下足元造作・植栽仕上げ完了後。



新たに植栽したデッキ際の木々。



 改修を終えて、庭は一段と美しく、心地よく充実しましたが、これが、たった今改修工事を終えたばかりの庭とは思えない、どこを改修したのか分からないほどの違和感のない収め方を期します。それも一つの、造園技術なのかもしれません。

 そんな技と同時に、改修の際にはまた、庭の土中環境の変化を確認するという、この上ない楽しみもあります。



 改修工事に際して、3か所ほどボーリングし、土中の状態を確認します。
14年前は20~30㎝も掘ると全く根の入り込めない粘土の地山だったこの庭の土壌は今や、70~80センチくらい下まで細根が到達する、膨軟な粘土質土壌に生まれ変わっていたのです。



 年度の隙間を木々の根が広げていきそれによって空気と水の通りがよくなり、そしてそこに共生する菌類微生物は土壌の構造を変えていきます。
 本来、砂質土壌よりも、水脈環境を保ちやすい粘土質土壌の方が、森林の源環境としては豊かなように感じておりましたが、一方で粘土質土壌は人為によっていったん、その中の血管のような水の道をつぶされてしまうと滞水もしやすく、土壌環境劣化も著しいものがあります。
 
 ここも竣工時の14年前はそんな住宅造成地だったのです。
 それを、木々の根の力、そして竣工後の継続的な土壌通気改善によって、土壌環境はここまで回復しえたのです。

 

 こうした改修工事は、土中の変化を観察する、とても貴重な機会になります。
 根の環境は刻々と変化し、土中のバクテリア、微生物環境もそれに応じて瞬く間に変化していきます。
 これは細根分岐した、根のはびこる周辺に広がるグライ土です。ヘドロ臭があり、この環境が続けば根は生きつづけることはできないはず。
 しかし、むしろこうした、粘土質土壌に点在して生じるグライ土部分に細根が集中している面白さ。こうした日々の観察がまた、土壌環境への理解を深めてくれます。
 だから、この仕事は楽し過ぎてやめられません。



 そしてここは、今年の1月に一期工事を終えたばかりの庭です。ここは砂地の地山を環境改善して植栽しました。
 3か月が経過し、枝先の精気や木々同士の枝葉の伸び方重なり合いの様相から、木々の根はおおよそ順調に伸びていることが分かります。



 木々は早くも家際のデッキに心地よい木漏れ日を揺らします。これから根の伸長と共には数を増やし、濃い木陰が夏の住まいを涼しく心地よく改善してくれることでしょう。

 連休を明日に控えた仕事納めの今日、長いブログになってきました・・・。でも、この時期の庭は生気にあふれ、まぶしく美しく、その喜びを是非お届けしたいとの思いから、もう少し、ご紹介させていただきます。



 ここは昨年秋に竣工した、つくば市Mさんの庭です。竣工後、半年余りが過ぎて初めての新緑の時期を迎えています。



 この庭では、駐車場スペースを改善し、ノシバの種を播種したのですが、時期外れの播種でした。



それでも、播種後半年経過して温かくなった昨今、ようやくノシバの芽吹きがうっすらと確認できました。
 ほとんど水も与えられず、乾燥しやすい駐車場にあって、ノシバの種はきちんと生き延びて発芽してくれたのでした。
 この日は新たに炭と目土をまぶして再びノシバを播種します。梅雨を超えて夏までにはきっと、淡い緑が駐車場を覆ってくれることでしょう。



 今は一年で最も清らかないのちの芽吹きの季節です。昨秋に植えたどんぐりも、一斉に葉を開いて競争を始めます。



 播種後、2度目の春をトレイに密植状態で迎えた白ヤマブキ。



 これをポットに植え替えます。
 忙しい日々の中、何のためにどんぐりや種から木々を育てているのか、その理由は、単に楽しいからです。そしてとても学ぶものがあるから。

 興味のある方は是非、木々の苗を育ててみて欲しいと思います。
 いのちの神秘を常に感じること、そこは大きないのちの繋がりを感じる入り口にもなります。
 そして、どんぐりも種も、野山に行けばただで手に入る上、子供でも楽しみながらできます。
 庭がなくてもベランダでも、こうした木々の赤ちゃんを育てることができる、是非、皆様にも試していただきたいと思います。



 事務所の庭とオンボロの愛車。12年前に植えた木々は伸び伸びと、いつも生きる力をもらっています。

 いよいよ連休となりますが、九州の災害、そして今の日本や世界にかかる暗雲を想うと、やはり気は焦り、駆けつづけねばならないように感じます。
 よい未来、安心できる平和な日本、平和な地球、そのために、学び続け、走り続けていきたいと思います。

 感謝をこめて。連休後もどうぞよろしくお願い申し上げます。
  





 

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
埼玉県越谷市Aさんの庭 二期工事途中経過  平成28年4月20日


 昨年秋、造園改修、環境改善一期工事を終了した、埼玉県越谷市Aさんの庭、一週間ほど前に2期工事にかかり始めました。
 昨秋、家屋前のアスファルトを剥がして土壌環境を改善し、植えた木々は今、日ごと元気に新芽を開き、新緑の清らかさと精気を楽しませてくれます。



 芝生の車道も根付き、今やきれいな緑に覆われました。
自動車スペースもこうして緑化すれば、それは庭の中の美しく心地よい広場の空間として活かせるものです。
 こうした、宅内車道や駐車スペースの緑化、その下地の技術が今後広まれば、街も画期的に潤ってゆくように感じます。



 昨秋の改修後、Aさん家の黒シバ、五右衛門は、この環境が心地よいのか、リラックスして吠えなくなったと、Aさんは言います。
 犬だって、心地よい環境に包まれて安心して優しくなる。人間にも、大人にも子供にも、緑に包まれた穏やかな環境が心を潤してくれるはずです。



 そして今回、家屋と車庫の間のアスファルトを一部壊して、植栽スペースを広げます。
長年、アスファルトの下に埋もれた土は硬く水が溜まり、腐敗臭が湧いて上がります。
 これも、穏やかで適切な処理を施すことで、改善していきます。
 こうした場所に健康な環境を再生するためには、まずは土中に空気を送り込み、そして有機物分解に伴う健全な微生物・菌類を要所のライン上、あるいは点状に増殖させて、土壌を構造化してゆくこと、それによって土中環境好転の連鎖が始まるのです。



 もともと田圃だった土地を埋めてできた川沿いの街ですので、どこも深く掘ると、滞水した土は腐敗し、還元作用を起こしてヘドロと化しています。
 このヘドロ層は、地下1.2mほどの深さで町中を覆い尽くすのです。
 我々の文明は、知らず知らずのうちにこうして大地を汚染して生き物の住めない環境を広大に作ってしまっているということ、この仕事を通していつも感じます。
 壊したのも人間なら、それを再生・蘇生するのも人が責任を持ってやらねばなりません。

 今回施工箇所に2か所ほど、ヘドロ層下1mにいたる、地盤から2m以上の深い穴を設けます。
水が湧き、その水位は天候によって上下します。その度、ヘドロ層に側面から空気が入り込み、この深い穴が対地の通気孔として機能してゆくのです。

 土中の通気浸透性の重要性がここ最近急速に造園世界でも広まりつつありますが、大切なことは、単に滞水を抜いて水はけを良くするのではいけない、ということを知る必要があります。
 水を抜くためにやるのではなく、その土地の土壌環境を改善しながらゆっくりと、大地の源環境を改善し、それに応じた通気浸透性を再生してゆくのです。
 急いで水を抜けば、穴を通して泥水や浄化されないままの表層水が深層水脈へと流れ込み、さらに深い位置で水脈を目詰まりさせてしまいます。そんなやり方は永続するものでもなく、これまでの人工的な排水と全く変わらないのです。

 あくまで、有機物、木々、土中の健康な微生物菌類の総合作用の中で浄化された水を水脈と連動させることが大切なのです。
 「水を抜く」それを第一義にするのであれば、人工的で無機的なこれまでの排水システムと何ら変わりはないのです。

 ゆっくりと、大地の環境改善と歩調を合わせるように改善させてゆく、それが大切なのです。




改善後、ようやく植栽です。



 南側の車道の庭と、今回植栽した東側のスペースが繋がり、住まいは一気に木々に包まれていきます。
 わずかなスペースでも、家際の植栽は住まいを潤す絶大な効果があります。



 東側から主庭を望む、木々越しの景。


 そして今回、西側玄関アプローチも改修します。洗い出しのアプローチで、コンクリートを用います。
 今回、大地の呼吸と通気浸透性を傷めない下地施工をご紹介します。

 下地に用いるのは、解体したアスファルト片。これを、かみ合わせながらも隙間ができるよう、昔の石積みのように敷き詰めていきます。



その合間に、炭と土をふっくらとまぶし、軽く隙間に詰めていきます。



下地完了後。



 そしてその上にワイヤーメッシュをしき、ベースコンクリートを打設します。ちょうど、メッシュコンクリートがブリッジ状に乗っかり、下地の隙間には負荷をかけず、従って圧密による土壌通気不良は起こりません。
 
 石をめくると、その下に様々な生き物が住む隙間がある、そんな環境つくりの要領です。



 仕上げ塗込終了。硬化を待って洗い出して完成です。その後、周辺水脈造作を少し行うことで、この舗装の下も根が無理なく入り込むことのできる、呼吸する環境となるのです。

 なんでもコンクリートやアスファルトが悪いのではなく、扱い方に問題があり、それを扱う際に、いのちの環境に対する配慮があれば、大地の環境を傷めずに共存させてゆくことができるのです。
 これから必要なのは、そんな共生のための技術と配慮、我々を活かしてくれる大地を傷めずに、そこに快適に住ませていただくための在り方とノウハウなのではないかと感じます。



 痛めつけられた土地を改善して、人も動物も、そして土中の小さな生き物たちも心地よく、ともに伸び伸び生き生きと暮らせる環境を取り戻す。
 それは決して難しいことではないのです。

 Aさんの庭、来週には完成です。

 



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
茨城県鹿島市 野草舎森の家 環境整備竣工   平成28年4月8日


2月よりかかり始めた、茨城県鹿島市、野草舎森の家、園庭の竣工です。



 竣工の今日は、園児達と一緒にジャガイモの植え付けでした。素手で土を掘って種芋を置き、そしてペタペタと土を埋め戻してゆく、ひんやりした土の感触が子供たちの小さな手に刻み込まれます。



 園児たちは後退で畑に出て、楽しそうにジャガイモを植え付けます。
 園庭の脇に、300坪はあろうかという広い畑を一人で「開墾したのが、写真右端、理事長の関沢紀氏です。
 関沢さん夫妻は、30年ほど前、野草舎子供の家という保育所をはじめられました。
そして長年、子供たちと野菜を育て、味噌を作り、山に登り、森を歩く、そんなことを保育園の子供たちと一緒に実践されてきたのです。
この野草舎森の家は、野草舎の新たなもう一つの園舎になります。30年前、野草舎をはじめられるに当たっての関沢さんの想いを、その著書のページよりご紹介したいと思います。

 『野草舎

 保育園に「野草舎」という名前をつけたのは連れ合いの考えだった。
 逆に連れ合いは、「保育園」という言葉はつけたくなかったという。
 その頃私たちは、魯迅の「野草」という短編集を読んでいた。
 その冒頭にある、「野草は、その根深からず、花と葉美しからず、しかも露を吸い、水を吸い・・・・」という文章に感銘を受けた。
 
 連れ合いは、人間もまた、根は深くない野草みたいな存在であり命、生きて死ぬ、はかないもの、人間中心ではなく、人間もまた自然の一員、としみじみいったのだった。
 そうして連れ合いは最初に考えたことは、鹿島地域に新しい保育を子どもたちと実践していくことだった。
 様々な自然体験と生活体験をすることによって、生きるための基礎的な力を身に着けていくことを大きな柱に据えたのだった。
 またもう一つの柱として、大人から子供が、子供から大人が学ぶと同時に、地域の暮らしも考えてゆくような保育所つくりを目指したのだった。』

なまず日和 関沢紀著 新泉社より

 そんな関沢さんのお考えに共感し、この園庭を、理想の環境に育てるべく、力を尽くしました。


木々とその合間の広い空間、その園庭には平らな場所は一カ所もありません。



 建築工事に際して傷んでしまった大地の通気環境を整えながら造成してゆくと、必然的にこんな起伏地形が生じます。それにしても、、、ここまでやってはたして大丈夫か、、そんな不安もありましたが、



子供たちは完成したばかりの園庭に出ては、でこぼこの地面の感触を楽しむように歩き回ります。



 つまずいて転がったり、



 起伏を楽しむようにひょこひょこと楽しそうに歩き回る子供たちの姿を見て、これでよかったと感じます。

 バリアフリー、直線の車道に車いす、人の都合ではなくタイヤの都合で作られる非人間的な道や街の中で、子供たちが五感を研ぎ澄ますことのできる環境はますます失れて顧みられない時代において、子供が興味を持って転げまわりたくなる環境、心も体も頭脳もうきうきと喜ぶ環境こそが、今とても大切なもののように感じます。



 園庭の真ん中に、土中の通気を考慮して設けた一本の谷。そのラインは子供たちの楽しい道になりました。
 幅わずか30㎝程度の小さな道、でも子供にとってはそれはとても快適で歩きたくなる道のよう
です。



 園内に点在する木立はすべて、マウンド上に起伏を設けます。水と空気の動きに配慮した地形起伏はごく自然で柔らかく、建ったばかりの園舎の佇まいも違和感なくこの土地になじむのです。



 そして、樹木マウンドの根元は、古茅、木炭、ウッドチップ、燻炭等でカバーして、植栽したての地表を保護します。すでに、たくさんの生き物が茅の下に生息し、ぴょんぴょんと跳ね回ります。
 こうした多彩な生き物たちがまた、土を育て、なおかつ子供たちの楽しみと興味と観察眼を、おのずと育てていきます。



 大谷石の古材と洗い出しを組み合わせた玄関アプローチ。
 こうした造作は単なるデザインではなく、時間軸を超えてその場をなじませる佇まいを生み出すための配慮が大切に思います。



 曲線のラインが丸みのある園舎に繋がります。こうした園路によって、土中や表層の水と空気の動きを妨げることのない配慮も大切です。



 園路洗い出し下地。解体したコンクリートブロックを束石のように置いて、その合間にコンクリートガラ、木炭、ウッドチップ等をふっくらと隙間を持たせながら敷いていきます。また、竹筒を横断させて、下地の通気を確保します。



 そしてその上にワイヤーメッシュを敷設し、ベースコンクリートを打ちます。ちょうど、ベースコンクリートが束石の上に乗っかる状態となり、下地の土壌空間が歩行者の荷重で圧迫されることを防ぎます。



 塗り込み後、洗い出し施工中。
洗い出し舗装面と大谷石との合間にも目地を設けて、地表の水や生き物の道を遮断しないよう配慮します。



完成後の玄関園路アプローチ。



 この土地の土で仕上げた塗り壁の門塀。乾燥を待ってから仕上げ塗りします。



 曲線状の焼き杉板塀。



板塀の緩やかなカーブが植栽越しの園舎のラインに繋がって一体感を生み出します。



 人にとって心地よい空間は木々や生き物たちにとっても心地よい空間でなければならない、まして感性豊かな子供たちが大切な月日を過ごす場所なのだから。
 様々な配慮を重ねるにつれて、木々や空間の表情はより穏やかに、優しさに包まれていきます。



 健康ないのちの環境に包まれて、大人も子供も、お互い共に成長してゆく、そんな、森の家の日常がこれから刻まれていきます。


 


投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
バイオトイレ制作ワークショップのお知らせ    平成28年4月6日


 ワークショップ&講座のお知らせです。

 4月24日(日曜日)、千葉県長生郡長南町「千の葉学園」にて、バイオトイレつくりのワークショップを行います。


○主催 千の葉学園 (講師;高田宏臣)

○日時
 4月24日(日)
 集合:9:30
 ワーク開始:10:00〜午後

○参加費
 2,000円/人 ※お子様は参加費 無料

○服装
 汚れても良い作業できる服装や靴、帽子、

○持ち物
 大工道具(剪定ばさみ、腰ノコをお持ちの方はご持参下さい。)

飲み物(学園の水は井戸水の為、飲料水として使っておりません。各自ご用意下さい。)

○昼食
 カンパランチ(炊き出し)をご用意します。
 もちろんお弁当を持ってきて下さっても構いません。

○お申込/お問い合わせ
 sennohaschool2015@gmail.com
 090-8774-4906(杉浦)
 ※FBメッセージへのコメントでもお受けいたします。

なお、イベントの内容詳細は、下記、千の葉学園FBイベントサイトよりご確認ください。
https://www.facebook.com/events/254357171578958/

 お金をかけず、材料を周辺林から集めてつくる。そして用を足すだけでその土地の土や微生物環境を改善してゆく。そんなトイレつくりを学ぶ場です。
 参加費は大人2000円(ランチ付き)子供無料ですので、ぜひともお子様と一緒にご参加ください。
 学園の高学年の子供たちも参加します。

...

 トイレを作る、山にある土や枝葉を用いて壁や屋根を作る。そして、大地を痛めない、そんな工法を学べば、里山は楽しい遊び場に変貌します。
 そしてそこに特別な技術は何もいらず、特別な資材も必要なく、土や大地に対しての基本的な考え方さえ身に着ければ、誰にだって作れるものなのです。
 そんなトイレを一緒に作ることで、子供たちにも、大人にも、いのちのつながり、生き物の輪、そんなことを感じていただければうれしいです。

 


 シュタイナー教育の理念に基づき、伸び伸びと過ごし、成長する子供達、昨年1年間、学園の「家つくり」授業や学校林の環境改善を通して、この学園の子供たちと楽しい時間を共に過ごさせてもらいました。

 環境改善や家つくりの授業を終えた後、2か月ぶりの2月、学園を訪れると、子供たちは時間があれば裏山に入り、道を付けたり小屋を作ったり。



急な斜面を傷めないよう、そして歩きやすいよう、子供たちは自分たちで考えて必要な場所に階段をつけていきます。



 女の子も先頭に立って道づくり。



 そして、山で手に入る材料を用いて小屋を作る。 
 今はすべて、学園の子供たちが誰に聞くことなく、休み時間には山に入ってそんなことをしているのです。



 今、この学園では、まるで40年前の僕らの子供の頃のように、子供たちは夢中で山で遊びます。
 そして、必要なもの、作りたいものを自分たちで材料を拾い集めて工夫してつくる、それが今、彼らの日常になっているのです。

 そんな光景を目の当たりにして、昨年の家つくり授業、本当にやってよかったと、喜びがあふれます。



 昨年、毎月一回の家つくり授業で、みんなで作った横穴隠れ屋。



 子供たちがデザイン、色を塗って完成!黄色はクチナシを絞り、黒は灰炭、そして赤は弁柄を油で溶いて作りました。
 絵の具など要らない、土や岩、草木から採ればよい、そんな一つ一つの発見が、彼らの心を躍動させます。



 完成した小屋の茅葺き屋根の上で。

 子供が学び育つということ、それは学校や家庭、地域社会から3割を学び、周辺環境や自然環境から自ら7割のことを学んでゆく、という話を聞いたことがあります。

 私の子供の頃の時分を想うと、そのことは確かに納得できますが、しかし、今の子供たちは、そんな大切ないのちの学び場を持つ子ははたしてどれほどいるのだろうか、そう考えると、この学園の子供たちは本当に幸せだとしみじみ思うのです。

 そして、これからも、大人にも子供にも、自ら大地や自然環境から大切なことを感じ取る心を、一人でも多くの人に取り戻してほしい、そのために、できることはしていこうと思います。

 千の葉学園の生き生きとした子供達、彼らを見れば、今の社会の忘れ物に気付かされるかもしれません。

 興味のございます方、どうぞお申し込みくださいませ。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
       
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