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雑木の庭つくり日記

長崎の庭環境つくり 竣工     平成28年10月20日


 5年前から計画を進めてきた、長崎市のNさんの住まいと庭がようやく竣工しました。
 建築設計は安藤邦廣氏(筑波大名誉教授 茅葺き文化協会代表理事 里山建築研究所代表)、これに今回は照明デザイナーの福多佳子さんが屋内外の照明をデザインされています。
 日中の庭も良いのですが、巧みな照明のデザインによって夜もまた見ごたえ豊富な空間が現出されました。
 今回は夜の風景から簡単に紹介します。



 写真中央左側に玄関、右の小さな小屋は薪小屋です。
 玄関アプローチは叩き土間の駐車スペースを兼ねており、打ったばかりの土間が手前足元で温かみのある光沢を放っております。
 こうした,素材の質感が生きてくるのも、照明の効果なのでしょう。



 一階および2階正面の景を潤す南側デッキ際部分が、この住環境のメインの植栽と言えるかもしれません。
 家屋に寄り添う木立の姿、家と木々、その密接な在りようを巧みな照明が示してくれています。



 正面道路からの景。
 豊かな開口、外空間とのつながり、そして周辺環境、それこそが本来日本の心豊かな住環境なのでしょう。
 今回の庭環境つくりで、そんなことに改めて気づかされた想いです。



 土中環境改善作業中。降り注いだ雨がしっかりと土中に吸い込まれて浄化され、そして自然が作る水脈へと還してゆく、そのための土壌通気性、浸透性改善のための造作をはじめに行います。

 豊かな住環境つくりのために我々が常に最重視していることは、まずはその土地を健康な状態へと戻してゆき、自然界の根本たる呼吸環境を取り戻すことにあります。
 庭は竣工時が完成では決してありません。その後、木々や土中の生き物環境が健康に育ち、その土地の環境としてより豊かに育まれてこそ、人にとっての本当の快適さと心の原風景となる故郷の記憶が生まれるもの、そのためには、見た目の造作以上に、見えない部分である土中の環境改善に対して、幾倍もの労力と時間を徹底的に費やすのです。

 まずは敷地の低い位置、道路際に、この庭の表層水脈水を集めて、より深い水脈へと誘導する、敷地内最終の浸透孔の処理から始めます。



 土中の浸透ラインの水脈環境を恒久的なものとするためには、植物枝葉をよくすき込み、そしてその分解に伴って増殖する多様な微生物菌類の健全な力を借りるほかにないのです。
 現代の建築土木造作の中では顧みられない、かつては当たり前に行われていた造作の中に、人が自然界と敵対せずに快適に暮らしていける知恵が隠されているのです。



敷地の外周塀際など、土中の水が溜まって腐敗しがちな箇所に溝を掘り、枝葉は炭をすき込んみます。



 デッキの下は通常、コンクリートなどで固められてしまうことが多いのですが、実はそれはかえって床下の温度湿度変化を不自然で過剰なものへと増幅してしまい、木材寿命を損ないます。
 当然ここでは床下のコンクリート打設はせず、炭と土を交互に挟み込んで、安定した温度湿度環境を保つことで家にも人にも優しい環境つくりを心がけます。



土中環境改善作業の上で、いよいよ植栽です。植栽する地盤を掘って炭を攪拌した上、腐植の進んだ太い枝葉を井桁状に敷きます。
 この上に、掘り取った重たい根鉢を置くことで、下地土壌の圧密を防ぎ、根の呼吸できる環境を保つのです。



 また、どんなに固く、植栽に不向きな地盤であっても、我々はその土地の土を排除して入れ替える、ということはしません。
 その土地の土に炭、燻炭、樹皮たい肥、そして良質な腐植土を混ぜて埋め戻します。
 土は、育てるものだからです。
 根鉢の周りだけをどんなに良い土に入れ替えてても、その土中の通気浸透環境が悪いままであれば、せっかく入れ替えた良質な土もじきにバランスを失って腐り、硬化してきます。
 一方で、死んだ土、あるいは眠ってしまったような土であっても、土中環境さえ生き物が呼吸できる状態へと改善していけば、土壌は再びいのちを生み出し、恒久的に育み続ける豊かな環境へと短期間で変貌してゆくのです。



こうした環境改善作業の上で、やっと木々を植栽してゆくのです。
美しく快適な暮らしの空間つくりのために、まずは目に見えない部分の改善から始めるのです。



植栽が進むにつれて、美しい家屋はその土地になじんでいきます。



 家屋東西南北の植栽完了。
 それまで空間を感じさせてくれるものがなかった敷地に奥行きと潤いと落ち着きが同時に生じ、人も木々も心地よく生きていける心地よい環境が一気に誕生するのです。



 薪小屋に薪が搬入されると、暮らしの風景がますます整います。薪棚は植栽の合間で大切な風景要素になります。



 植栽の足元には、お施主のNさんと一緒に長崎県内の里山で採取した林床の腐植落ち葉を混ぜてマルチします。
 これが植栽したばかりの表土の改善にとても効果的な上、見た目にも潤いある庭の落ち着きが感じられます。



 ノシバ張芝後の主庭



 デザインと造形技術だけでは決して良い空間は生まれません。土地全体が呼吸している空気感こそ、これからの庭作りに求められることでしょう。
 そのためには、その土地の環境改善が決定的なカギとなるのです。仕上がってしまえば土中環境改善の苦労の跡は見えなくなります。しかしそこに、この土地に恒久の魂を宿す、とても大切なものがあるのです。



デッキ脇の植生を揺らして反射する木漏れ日



狭い主庭であっても、木々によって奥へと広がる空間の奥行きが見えてきます。



 長崎の港町に一つ、新たな住まいの命が宿りました。今後、この土地の暮らしを刻みながら風景の深みが日ごと増してゆくことでしょう。

 安藤邦廣先生および里山建築研究所の皆さま、大工の池上一則さんとスタッフの皆さま、照明デザイナーの福多佳子さま、造園施工に際し終始協力くださったグリーンライフコガの古閑社長、阿蘇ランドスケープ古閑舎、古閑英稔君とスタッフの皆さま、そしてお施主のNさまご家族の皆様他、現地で協力くださいましたすべての方に、この場をお借りして心よりお礼申しあげます。







投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
ダーチャ小屋つくりWSのご案内と、土屋根つくり 平成28年10月7日
 さて、千葉市緑区の高田造園ダーチャフィールドでの、板倉ダーチャ小屋つくりワークショップのお知らせです。
 板倉小屋つくりワークは昨年も行いましたが、大人にも子供にも好評でしたため、今回もまた、みんなで建てるワークショップにて行うことにいたしました。

詳細は下記のとおりです。

日時; 10月29日土曜日 朝9時より (30日に小屋本体完成です)

持ち物; 動きやすい服装、お弁当、水筒、軍手、着替え、タオルなど

費用; 無料です。

主催; NPOちば山、高田造園設計事務所 共催;NPOダーチャサポート、NPO地球守

参加資格;
 大人も子供も大歓迎です。子供はフィールドや小屋でたくさん遊べます。見学やリクリエーションとしても当日は公開ですので、どうぞ遊びに来てください。
 子供に大人気の五右衛門風呂もございます。よろしければ薪で沸かすお湯の気持ちよさを味わってお帰り下さい。

場所; 高田造園ダーチャフィールド(千葉市緑区高津戸町 外房線土気駅より徒歩20分)

申し込み方法;
 
高田造園設計事務所 高田、またはNPOちば山 中村まで電話、またはメールにてお問い合わせください。

 前回のWSの様子を少々、コメントなしの写真のみでざっとご紹介いたします。
















さて次に、高田造園設計事務所敷地内の自然分解バイオトイレの芝屋根施工手順を下記にご紹介します。




 敷地の一角に、自然分解バイオトイレ小屋を建てました。小さな建屋ですが出し桁で屋根をどっしりと設けます。



トイレは穴を掘って落ち葉枝葉、炭を敷いただけの簡素なものですが、頻繁に使ってもまったく匂いはなく、ハエも全く沸きません。腐敗させずに土壌中で分解してゆくサイクルができれば、匂いも腐敗も起こらず、糞尿はきれいに分解消失して、大地の生き物たちへと還元されてゆくのです。



今回は、この屋根を土草の屋根とする工事手順を紹介します。

 野地板、杉皮等を用いた、水を通さない下地の上、トタン波板を葺きます。破風、鼻隠しは土を載せる高さの分、6センチくらい高めに設置します。



 トタンを止めるビスにはしゅろ縄を巻いて防水します。この工法は江戸時代の木製水路の釘止め部分の水漏れ防止に用いられてきた方法で、高い防水効果が持続します。



屋根勾配は一寸から一寸五分程度の緩やかなものとし、軒先の鼻隠しの幕板との間に1寸程度の隙間を設けます。



そしてその部分に枝葉を絡ませていきます。



 軒先部分の枝葉絡み終了。ここに菌糸が絡み、それが土を安定させて大雨の際でも泥水を落とすことはなく、浄化されたきれいな水のみがシトシトト落ちるのです。



 波板の凹部分に木炭を敷き詰めます。これも、ここに微生物菌類が住み着き、常に適度な水と空気を保ちます。



土、もみ殻燻炭、竹炭を混ぜて攪拌し、軽量の屋根土を作ります。



軽く、通気性、保水性たっぷりの土壌となります。



 炭を敷いた上に、この土をかぶせていきます。作業は片面ずつ進めていきます。



 現場で余ったノシバを軒先に張り、それ以外の部分にはノシバの種を播種したうえで植物を繊維状にチップ化したものに燻炭を混ぜて絡ませるようにかぶせます。
 これですぐに菌糸が表層に絡み、大風でも大雨でも飛ばない安定した状態を作ってゆきます。



これに、菌類植物の生理活性のための複合発酵酵素液を散水して完成です。
 照り返しのない、環境にやさしく溶け込む屋根として育ってゆくことでしょう。

 このまま、ノシバとともにこの環境に適応できるコケや草が覆ってくるでしょう。この場で微生物菌類の住み着きやすい環境つくりに配慮すること、そのための植物資材の扱い方がポイントとなります。

 屋根緑化に、大げさな人工資材や、環境に悪いうえに効果の持続しない接着剤、防水剤など、本当は全く必要ないのです。
 屋根を伝う水をも浄化し、照り返しを防ぎ家屋周辺の微気候緩和にも貢献する、まるでかつてのかやぶき屋根のような和やかな風景や健康な空気感を低コストでつくる、こうした屋根も今後普及していくことを願います。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
海岸松林の再生と、庭の環境改善    平成28年9月29日


 昨年11月より森林再生実証作業にかかり始めた新潟市北区の海岸松林保安林、今年春の様子です。

 昨年の改善実証作業の前は、松も次々に枯死し、手の施しようのなかった海岸松林、そこでの森林環境改善作業を実施して10か月が経過しました。当初の予想以上に早く、改善の効果が見えてきましたので、少々ご報告いたしたいと思います。



 これは今年5月(改善開始後6か月)の実証実験区の様子です。



 これは今年9月(改善開始後10か月)の実証実験区。
葉色、葉量、枝葉のバランス、しなやかな枝先の様子や枝の分岐具合などから、不健康だった森がすっかりと健全な状態へと変化してきたことが明らかに見受けられます。



 (改善作業前の松林)
 次々と枯死し、残っている松も多くは葉色が悪く枝先に張りもなく、精気なく痛々しく乾いた、病気の林だったのです。

 これまで、国策で進められてきた農薬散布の果てに、海岸林の生命環境は壊滅的に劣化し、なおかつ松枯れは一向に収まることはありませんでした。
 当然です。傷んだ環境に対して、さらに農薬散布などによってバランスの回復を妨げるようなことを繰り返せば、ますます木々が健康に育つことができない、健康で劣悪な環境へとますます変貌してしまいます。
 
 一方で、木々が健康に生育できるための、その源たる環境に目を向けて、人間の手によって少しばかり適切な対処を施すことで、すぐに木々も森も健康を回復してくるものなのです。
 



 先ほどの写真と同じ松林の一角ですが、改善開始後わずか10か月ほどで、松林はみずみずしい健康を取り戻してきた様子が明らかに感じられるようになりました。
 
 定説にとらわれず、健康な心と頭でバランスよく観察し、そして森の本質、自然の本質としっかりと向き合うこと、それさえできれば驚くほど短期間に環境は再生されてくるという事実、それを多くの人に知っていただき、本当の自然を見通す感覚を育てていっていただきたいと思うのです。

 こうした環境再生のための視点について、ここで少しばかりご紹介したいと思います。



これは改善作業前の土の様子です。植物の根は表層にしかなく、土中にはほとんど根はありません。



(改善作業前) 
土は完全な砂のままで、有機物はほとんど土中に存在していません。
当然、植物の生育に必要な土中微生物環境も全く育っていないことが分かります。



(改善開始後、半年経過)
 今年5月、試験区内を試掘すると、表層の細根は飛躍的に増え、そして深い位置にまで植物根が進入、そして細根分岐している様子がうかがえます。



(改善開始後、半年経過)
そして、砂の色も匂いも変わり、有機物の分解によって砂が黒く色が変わり、そこにたくさんの菌糸や細かな根が絡みついて土壌中に空隙を作り始めていることがうかがえます。微生物、土中生物も深い位置にまで生息できる環境へと変貌してきました。



(改善作業前)
松林の林床は、イバラやつる、そしてイネ科、キク科等の荒れ地の草がうっそうを繁茂し、空気は滞る不快で不健全な藪でしたが、



(改善開始後8か月)
今や、あの不快なとげのある植物や荒れ地の背の高い雑草はほとんど消えていき、今はヨモギやツユクサはじめ、柔らかな下草が多種共存できる心地よい林床環境が育ってきております。



 
 今年5月、実証実験区域に隣接する松林は変わることなく不健康な様相で、林床の下草は荒れ地の雑草ばかりがはびこる藪の状態を見せております。



 一方、同じ日の実証実験区内の松林の林床の様子です。
 ここでは打って変わって穏やかでしっとりとした心地よい林床の様相を見せ、そして松の下に自然に進入してきた灌木類はのびのびと多種共存の森環境を作り始めていました。

 とても大切なことなのですが、私たちは松林の再生のために、決して松だけを見ているのではなく、環境全体を見ているのです。
 松が健康であるためには環境が健康でなければなりません。健康な環境とは、あらゆるいのちが多種共存し、喧嘩せずに互いに生かしあう、いのちの環境なのです。
 いのちは、それ一種類で生きているわけでは決してなく、自然界のあらゆるいのちがつながって共生、共存してこそ、健康な命を保つことができるのです。

 健康な松林を再生するために私たちが見ている部分は、土中環境や下草、灌木、空気の流れ方といった、松以外の環境全体の健康の回復のために、これまで手を施してきたのです。
 その結果、主木の松がこうして健康を取り戻してゆくのです。



 改善開始後10か月(今年9月)。
 これが以前は、不快で不健康な病気の林だったとは思えないほど、健康で心地よい海岸林へと変わりつつあります。
 
 人はしばしば、自然という、常に変化し、複雑で複合的なたくさんの要因でファジーに移り変わる世界を、単純化して考え、強引に枠にはめて従わせようとするようです。

 「松枯れの原因はマツノザイセンチュウ。これを退治すれば問題は解決する。」などと、原因と結果を取り違え間違った学説に基づいて、国策をもって今も農薬散布が強力にくりかえされています。その果てに環境はますます健康を失い、木々は枯れてゆき、私たちの生存基盤を失っているのです。

 我々は早く、その悪循環を断ち切り、ふたたび自然と手を繋いで歩んでゆくことを思い出さねばなりません。
 新潟市長の英断で始まったこの松林環境再生の効果を世に示すことで、その第一歩となるよう、力を尽くしていきたいと思います。

 

 さて、次にご紹介しますのは、間もなく竣工する、東京都武蔵野市Iさんの庭、二期工事の様子です。
 家屋解体後の傷んだ環境を改善して植栽し、半年が経過しています。



 わずか半年で、木々はとても健康に育ち、枝先はしなやかでバランスも良く、その様相から土中の生き物環境もまた、健全に育ってきていることがうかがえます。



樹木の根元には、枝葉の分解途中の腐植状態のものでカバーしております。これによって健康な森の林床のような、ふかふかでしっとりとした呼吸する大地の地表が早い段階から育っていくのです。



 芝生を張ったのは3週間ほど前のことですが、これほどの大雨がここ数週間降り続いたにもかかわらず、土はふかふかで芝生はびっしりと元気に生えそろいました。
 芝生も、水がきちんとしみ込む環境でなければ、長く健康を維持することはできません。特にこの秋のように、毎日のように大雨が大地をたたく日が続けば、なおさらです。
 大地の呼吸環境を徹底した改善したこの庭では、こんな気象もものともせずに芝生も健康に根を伸ばし、青々と生えそろってくるのです。

 今の時代の環境、気候条件においては特に、植栽よりも先に、まずは土中深くまでいのちが心地よく呼吸できる環境を再生すること、それを第一に考えて住環境を作ってゆくことこそが今、とても大切なことと思えるのです。



 一方で、ここは3年ほど前に竣工した千葉県印西市の庭。水がはけずに土が硬化し、芝生が後退してきています。



 大雨の際に水がはけにくい場所は特に、芝生は消えて土がむき出しとなり、そのむき出しの地表を雨がたたいて泥水となり、それがまた表層の微細な通気孔をふさいで行ってますます土は固くなり、土壌環境はますます悪化し続けてしまうのです。

 今回、芝生が健全に生育できる環境へと改善していきます。



 樹木植栽部分との境界や、芝地を横断するように、移植ゴテでちょこちょこと土中通気浸透性改善のための横溝を掘っていきます。



土壌の状態や地形に応じて、要所に深さ60センチ程度の縦穴を開けていき、



そして縦穴、横溝に枝葉を絡ませていきます。これによって枝葉の分解に伴い、土中微生物菌類が土中に増え、土壌に菌糸を張り巡らせてふかふかの団粒土壌構造を作っていき、それによって土中の通気浸透性は日を経るごとに改善されてゆくのです。



 そして、土中に眠っている様々な菌類微生物をゆり起こし、健全な発酵のサイクルへと土壌環境を早期に誘導するため、自社培養の複合発酵酵素水を散布します。
 土中の通気浸透性の改善の上でこれを散布することで、その改善効果は飛躍的に高まることを日々実感します。

 すべては、たくさんの命が健全に生きられる環境の力を高めてゆく、たくさんの生き物たちが拮抗作用を起こすことなく健全に共存できる環境つくり、私たちの改善作業の本質はそこにあります。
 それが結果として、人にとっても健康で心地よい環境につながってゆくのです。



 今回の改善作業によって、来春には見違えるほどにこの庭の表情は変貌してゆくことでしょう。
 環境の再生、環境の改善、日々そんな仕事と向かい合える幸せを噛みしめながら、これからも切磋琢磨していきたいと思います。




投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
夏山の記憶      平成28年9月12日

 相変わらず東奔西走の日々の中、ブログ報告ができずにすいません。

「最近ブログが更新されていないけど、お元気ですか。」 ひと月もブログ更新が滞ると、お客様からそんな電話やメールが続きます。
 ブログを楽しみに待ってくださるお客様がこうして連絡くれることは本当にありがたいことです。
そろそろ書かないと、そんな思いで時間を作り、写真を整理し始めるのですが、こうして激しく走り続る私の一か月というものは本当に、皆様にお話ししたいこと、報告したいことが山ほど積み重なります。
 今後はあまり溜め込むことなく、コツコツと日々、短い文章で感じた事、思うこと、徒然と報告していきたい、そう思います。

 さて、今回はこの夏の山行報告にとどめたいと思います。
 



 高校2年の時から登山を始めて、今年で30年になります。導かれるままに山を歩き、森を旅し、自然の息吹を五感で感じ続け、そして今の自分があります。
 
 息をのむ大木の生気、そして今もなお、清らかに語りかけてくるいのちのにぎわい、そんな中に身を置くことで、自分の使命と役割が与えられ、そして道が開けてきたように思います。
 これからも、自然の息吹に身を委ね、そこで感じ考え、行動し、そしていずれこの世を去るときは、草の褥に迎えられて眠るように大地に還っていきたい、その時はまたまだずっと先なのでしょうが、、、こうして日々走り続ける人生の中、たまの休みの山行で、まるで魂の故郷に帰ってきたような懐かしさとともに、あらゆるいのちと一体である我の存在を改めて感じるのです。



 今回の山行は30年前の夏を振り返る一人旅です。
北アルプス穂高連峰涸沢カール。ここから日本第3位の高山奥穂高岳に登ったのがちょうど30年前の夏だったのです。
 その後、幾度となく穂高連峰に足を運びましたが、30年区切りの年、この地を再び訪ねました。



 切り立つ稜線を縦走します。
 この山域は日本アルプスの中でももっともダイナミックな岩稜と言えるでしょう。
 多感な17歳の夏、あの山の頂に立った時の興奮を今も忘れません。



 滝のように流れ落ちる雲の動きは刻々と変化し、見ていると頭も心も心地よく冴えわたり、いつの間に時間が過ぎてゆきます。
 山を伝う雲の動きに地球の空気の流れを知ります。



 山麓の上高地で迎える晴天の朝。朝もやが沸き起こって木々を伝いそして空へとのぼっていきます。

 守るべきもの、育むべきもの、それは健全な大地の呼吸であることを確信します。降り注いだ雨がきちんとと大地に染み渡ってあらゆるいのちを潤し育み、そして土中で浄化されて湧き出し、海へと還り、そしてまた循環する、絶えず循環しながら再生される水と空気の中で我々人も生かされます。

 太陽や大地と一体のリズムで動く気の流れを全身で感じることができる場所も今はずいぶんとなくなりました。
 大地の空気と水の循環、本来の姿を感じること、その大切さを伝えたい、そんなエネルギーが全身に注がれます。



 森の環境が育ってくると、そこは多種多様な植物、生き物同士が拮抗作用を起こすことなく共存共生の場となってきます。
 そしてそこは植物や動物たちだけでなく、人にとっても心休まる心地よい環境となるのです。
 そこに流れる調和の響き、大地の声、心地よい空気と香り、そんな本当の環境のよさを感じる能力すら、多くの人は失ってしまいつつあります。
 力を持った環境を感じる感性、これを多くの人に取り戻してもらい、そして特に、子供たちに少しでも体感してほしい、本当の優しく包み込むような自然(いのちのふるさと)をよりどころにしてもらいたい、そんな思いばかりが強まります。



 サルのお母さんが子猿に木の実を手渡しています。
 豊かな森の環境では野生動物もテリトリーを守り、すみ分けるもの、環境を荒らさぬもの。彼らの生きる基盤たる豊かな環境を人に荒らされてしまえば、彼らはその行動を変えていきます。
 我々人の在り方、一つの命の循環の中、そんなことを謙虚に顧みて人間社会の在り方を修正できるよう、人は進化しないといけません。
 進歩ではなく、進化しないといけない、そんな思いが今高まります。



 今年の夏の山行はそれだけでは終わりません。いつの間にか小6になった長男と次男を連れて中央アルプスを縦走します。
 小学生のうちに3000mの世界を体感させたい、今年が最後のチャンスです。
 わが子が生まれたとき、いつか息子と一緒に山に行きたいな、漠然とそう思ったものです。



 稜線の頂にて。



 木曽駒が岳山頂にて。



 稜線の夕景。雲海の向こうに浮かぶのは木曽の名峰、御岳です。高山の冷気を青く包み込む日没の稜線は心洗われる時間です。



 ダウンジャケットにくるんで寒さをしのいで夕日にカメラを向ける次男(小3)。



山頂で迎える翌朝の日の出。



 そのわずかなひと時、山々も岩肌も一瞬ピンク色に染まります。



 子供は親が思う以上に強いもの、直角に切り立つ岩峰も物おじせずに歩みます。
 
 私の山行や旅はいつも、様々な調査や発想を得ることを目的の一つとすることが多く、そうしたライフワークの真剣勝負の旅に子供を連れてゆくことはあまりありませんでした。
 わが子がそうしたことに興味を持ってくれたら、時期が来たら、一緒に旅できればうれしいという思いが膨らみ、今回子供と一緒に登ったのでした。

 子供はいつの間にか、父親が思う以上にいろいろなことが分かっていて、そして私の想いも、私が今真剣に取り組んでいることの意味も、実はよく分かっている、そんなことも、今回の水入らずの山行で感じた時間となりました。



 夏休みの終わり、大学生となった甥っ子たちと、おなじみのちばダーチャフィールドで過ごします。
 どうも、僕は身内や子供の話をブログに書くのは苦手ですが、、恥ずかしながら少しだけ、今回は思いをつづりたいと思います。
 



 今年大学生となった甥っ子次男は今、北海道の大学で自然環境を学んでいます。
薪割りが大好きで、北海道でも人に頼まれて率先して薪割りを楽しんでいるようです。山が好きで、生き物が好きで、子供が好きで、大学生活を全身で楽しんでいる。生まれた時から知っている、あの元気なチビ助だった甥っ子が、いつの間にかそんな好青年になっていたことに感慨無量な思いです。




そして長男は今、大学院で建築を学びながらも、自然環境と人の営みのはざまにおいて、未来にあるべき建築の在り方を真剣に考えようとしています。


 「これからの建築は絶対に環境全体から考えなおさないといけない。環境と言っても、エコ住宅とか、ゼロエミッションとか、自然素材とか、そんなうわべだけの浅はかなものではなくて、最先端を知らないといけない。自然環境というものの本質を感じて、知って、そこから組み立てなおす気概が今必要だ。」
 私は建築を学ぶ甥っ子にいつも熱くそう言います。

 僕が苦悩と青春真っただ中の23歳の時に生まれたこの子も今は23歳。月日の流れは本当に絶え間なく、そしてすべてが育ち、すべては移ろっていきます。
 確実に未来を担うこの子たち、その成長に目を見張ります。

 それだけ自分も年取ったことを感じますが、こんな若者たちの生きる時代が良い世の中となるよう、ますます決意を新たに力みなぎります。









投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
高田造園の取り組みとスタッフ募集のご案内 平成28年8月7日
 皆さまお久しぶりです。高田です。
 夏らしい澄んだ青空の下、厳しい暑さが続いておりますが、高田造園も休みなく活動しております。
 
 なお、今年はさらに、集中する様々なご依頼に対応しきれず、造園のお客様には大変長らくお待たせしてしまうようになりました。
 このあたりで、今後の高田造園を中心とした活動について、ご説明させていただきたいと思い、久々にこのブログを記しております。

 以下に、最近の仕事や活動報告を兼ねながら、これまでの仕事を振り返り、そして今後の私たちの動きについて、活動について、お話しできればと思います。



 千葉県佐倉市の古民家再生および造園、竣工から早くも4年以上が経過し、すっかりと森の中の住まいに溶け込みました。


 
 ここが4年前には更地の解体現場だったとは思えない、素晴らしい環境へと育ってきました。
 移り変わり、環境として育ち続ける庭、そんな空間をずっと追及し続ける中、私たちが生み出す庭はずいぶんと変わってきました。

 そしていつしか、造園の世界ばかりに限定できず、今は人が傷つけてしまった自然環境の改善や蘇生ともいうべき、環境再生の仕事が増えてきました。



 ここは千葉県茂原市の旧家の敷地です。8年ほど前に造園外構改修工事が完了し、今回その土壌通気浸透環境の改善作業を実施しました。



 木々の傷み具合から大地の環境状態は推測されます。
 ここでは大地の呼吸環境のつまりの原因となっている車道脇及び、倉庫周囲の雨落ち周辺から、浸透環境の改善を始めます。



裏山を背負うように配される敷地、その山の際にはかつて掘られた横溝の跡があります。こうした場所ではかつて必ず土中の水が滞りなく浸透して、敷地の土壌環境が良好に保たれるよう、必ず行われてきたのがこうした素掘りによる敷地環境の通気性、浸透性の改善造作でありました。
 裏山を背負った旧家の山側には必ず、そんな造作の名残が見られます。



 今回、この裏山と家屋敷地との際の横溝に沿ってさらに縦穴を開けていき、土中の通気を促します。長年の間に徐々に埋まって詰まってしまった山際の通気浸透性を高めていきます。
 
 庭の造作においても、今は忘れ去られた大地の健全な呼吸環境回復から手掛けねばならない、そんな場所が大変多くなってきました。
 それだけに、環境も生態系の健康も、加速的に劣化し続けていることを日々痛感させられます。



 ここは千葉県いすみ市、風の谷ファームの裏山です。この5月から毎月、このファームで里山環境再生講座を開催し、そして7月で3回目の講座となりました。
 谷筋の放置人工林をパッチ状に皮むき間伐し、手間をかけず、なおかつ短期間で多様性の高い森へと誘導していきます。
 
 里山を再生したい、環境を再生したい、そんな思いで活動されている方々がたくさんいらっしゃいます。
 しかしながら、大地、自然環境について、根本的な正しい視点を見失ったままでは、良かれと思ってやったことがかえって環境を悪化させてしまう、最近はそんな事例ばかりが目につきます。

 自然環境について、正しい視点をもって接してほしい、そんな思いで、こうした講座やワークショップを通して、環境について、そして人があるべき向き合い方について、心ある人たちに対して全力で伝えていきたい、そう思って取り組んでいます。



 そして昨日、千葉県館山市にて、福島の子供たちの保養キャンプに集まった若い人たちと一緒に、自然分解トイレを作ります。



 周囲に真竹、そしてシノダケがたくさんあったので、それを切り出して建屋を組んでいきます。



その場の材料で小屋を組む、お金はかねず、体と知恵を使って、その場所ならではの小屋が生み出される、そんなことを子供たち、若い人たちと分かち合いたいとの思いで、このプロジェクトの指導を引き受けたのです。



味のある、よいトイレ小屋ができました。今年に入り、自然分解バイオトイレをいくつも作っていきましたが、それぞれ素材も形も違う、オンリーワンの小屋が生まれ続けます。



 のどかな環境での保養キャンプ、私はこの日だけの参加でした。福島の子供たちには、大人になって心の糧として残る、楽しい思い出を刻んでほしい、そう願わずにおられません。
 
 僕が子供のころは、子供はすぐに周辺の野山に探検に分け入り、様々な遊びを知っていた気がします。
 が、野山は荒れて環境は劣化し、こうした身近な自然環境は今の若い人や子供たちを惹きつける魅力はなかなかないようです。
 楽しそうに過ごす子供たちもボランティアの若者たちも、敷地内のツリーハウスなど、与えられた施設から離れない、野山に分け入らない、虫を追いかけない、、、そんな様子を見ていると、やはり息づく自然環境の再生こそ、私たちが取り組むべきとても大切なことだと、改めて感じるのです。



 さて、ここは地元千葉市若葉区内の6000坪ほどの山林。これからこの山の環境を改善し、多様で豊かな森を育てつつ、たくさんの子供たちが家族とともに過ごせるダーチャ村を作っていきます。

 その活動の母体として、ただいま申請準備中のNPO地球守(代表理事 高田宏臣)、そしてNPOダーチャサポート、二つのNPOを中心に、全国で連携の輪を広げつつ、地域的に活動を展開していきたいと思います。

 そして同時に、本業の高田造園の仕事を通して、身近な日常生活環境の改善を進めていきます。
 そんな形で今後は造園及び環境再生の両輪を回しながら、背中を押されるままにすべきことをしていきたい、そう思っております。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、最後に、高田造園スタッフ募集です。

 高田造園の活動は、様々な人とかかわりあいながら、仕事以外にも多岐の活動を次々に展開していきます。
 こうした活動を含めて共に長く、楽しく取り組みながら共に成長していける、そんなスタッフを募集しています。

 これまでは職人・見習い募集でしたが、今、総合的な事務スタッフの必要性を感じ、下記条件で募集することを決めました次第です。

 要綱は下記のとおりです。

業務内容;

 高田造園およびNPO地球守事務全般・造園設計製図・書類作成・現場調査補助・イベント世話・企画・ダーチャ村環境整備・畑等の外作業等、多岐にわたります。

募集条件;

要普通免許、自力通勤可能で、早朝出勤できること。
・造園設計製図経験者または仕事として身に着けてゆく意志と素養のあること。
・高田造園の取り組みや趣旨に同意し、人や自然環境に対して興味をもって、取り組める、前向きな方
・長く関わっていただける方。
・学ぶ意欲旺盛な方
・体を使うこと、汗を流すことを厭わない、健康な方

 そんなスタッフを募集したいと思います。興味ある方はぜひ、ご連絡ください。
 


投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
     
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