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雑木の庭つくり日記

街を潤す医院の緑地          平成25年7月18日



 ここは埼玉県坂戸市、町野皮ふ科クリニック駐車場外周緑地です。
 駐車場と隣接住宅地との間、幅わずか80センチ程度のスペースに木々を植栽してから、まだ2年にも満たないというのに、すでに駐車場に涼しげな木陰を落としています。



 そして、この細長いグリーンベルトは、その奥の、クリニック中庭の森へと繋がります。



 中庭の木々は3年前の植栽です。
 ボリューム感あふれる生き生きとした木々が、すでに2階にも涼しげな木々の景色と木陰を作ってくれます。



 待合室側から見た中庭の景。街中のクリニックとは思えない、森の中の雰囲気を感じさせてくれます。



 わずかな植栽面積ですが、木々の景が繋がって街の景色まで潤い豊かに変えていくのです。
 この木々の力をもっともっと街づくりに生かしていきたい、そんな植栽をしていきたい、との思いは、日に日に強まります。



 
投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
大正堂の森林経営        平成25年7月12日



 ここは神奈川県相模原市、老舗家具販売会社 ルームズ大正堂本店の裏山です。
 
 創業101年目となる今年から、大正堂は「森林経営」を新たな事業の柱とすべく、まずは本店の裏山の整備育成から取り掛かります。



 本店裏山の一部は、これまで地域住民が土や木と親しむ憩いの場所として開放されてきました。こんなところにも、大正堂の素晴らしい社風と心意気が感じられます。

 これからはじまる大正堂の森つくりは、地域住民の方々と共に、長期にわたって進められます。
そして本店でスタートする森林経営の取り組みがいずれ、大正堂全店舗へと広がることでしょう。
 この、はてしなく夢の溢れる事業のスタートに、社会福祉法人進和学園と共に、我々高田造園も協力させていただくことになりました。



 豊富な緑あふれる本店の裏山は、地域に残る貴重な緑です。身近な自然がますます失われてゆく都市近郊において、この緑地は将来ますますその価値を増すことでしょう。
 
 将来長きにわたって地域の暮らしと生態系を守る豊かな森へと育てるべく、様々な取り組みがこれから始まるのです。



 創業101周年記念事業に森林経営を掲げたのはここ1年に満たないことなのに、大正堂の役員方々は本気です。

 すでに、森林整備のための樹木ポット苗つくりを始めています。

思い立ったらすぐ行動。ここにも大正堂の社風と、いたたまれなくなるほどの面白さを感じさせられます。





ポット苗トレイのそばに、どんぐりの説明文が貼られています。

「木のことを知ると、ちょっと得した木=気になると思うんだ ワン!」

とあります。100年プラス1(ワン)の記念事業ですので、このワン公が事業のイメージキャラクターとなっているそうです。




 森の中には、種やどんぐりの発芽によって木々の赤ちゃんが育っています。
自然に生えてきたこうした実生苗の育成とコントロール、それに欠落した種の補植育成とが、既存の森再生の大きな指針となります。




 この日は森の中で育成すべき実生苗に印をつけていきます。

 黄緑のシャツの方が大正堂の渋谷社長、正面奥の半袖のダンディな方は環境プランナーの鈴木武氏です。
 大正堂本社役員方々が総出で汗を流しながら、山に分け入り熱心に取り組む様子に、この仕事に関わらせていただく幸せを感じ、全身にエネルギーが満たされる思いを感じます。



実生苗の芽吹きが集中するシラカシ母樹の周囲を囲み、苗木育成特別保護区とします。



 シラカシの枝先ではすでに、小さなどんぐりの赤ちゃんが点々とつき始めています。



 地道な作業となります。保護すべき実生苗が踏まれたり刈られたりしないよう、入念に杭を立てていきます。



 たくさんの杭が山の中に林立していきます。杭に用いられたのはなんと、テーブルの脚の廃材でした・・・。
 家具屋さんの森でしか決して見られないであろう、異様な光景です・・。面白さのあまり、この光景を何枚も写真に収めます・・。



 そしてこちらは本店正面です。
 駐車場に接続して潤いのないこの正面広場も、アスファルトを剥がしてたくさんの木々を配していくことになります。

 がらりと風景が変わり、緑に包まれた潤う溢れる美しい店舗と駐車場となることでしょう。



 店舗エントランス内部です。大きなガラス窓から西日が差し込み、夏は熱気で熱くなります。
この、大きな窓際に豊富な木々を植栽してゆくことで、店舗の快適性はどれほど変わることでしょう。
 とても楽しみな仕事です。



 本店の屋上から周囲を眺めると、取り残されたような緑が周囲に今も点在してきます。
失われてゆくことの多い都市部の自然、大正堂の森つくりから始まって地域の森が生き物のネットワークとして繋がっていけばどれほど素晴らしいことでしょう。



 この事業を通して知り合うことのできました環境プランナーの鈴木武氏のイラストです。
 
 「本気の種」は無限の可能性を秘めています。愛と心で気(木)が育ち、そして時間をかけて晩成していきます。

 そして、木を育てることは人を育てること、自分を育てること。

 一つの事業にたくさんの「本気」が結集し、そこにたくさんの出会いや感動が生まれます。だからこそ、何事も本気で取り組むことが大切です。

 大正堂の森林経営、地域住民の方々と共に進める長大な計画のスタートです。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
杜のマンション 植栽終了         平成25年7月6日


 千葉県八千代市、駅前のにぎやかな街角に新たに建てられた新築マンション。
その植栽が今日終了です。



 道路に張り出すように、ボリューム溢れる木々を植えていきます。

 マンションのオーナー、Aさんご夫婦は、「マンションの住人のためだけの緑ではなくて、街角の景色を潤すような、街のための緑を。」と、私たちに要望されました。



 このマンションに住まれる方は、木々の間を抜けて各玄関に向かいます。彼らの日常を癒す風景の種を、私たちは撒くのです。



 マンションエントランス正面の植栽。



 そして、各玄関回廊前の植栽。



 回廊前の植栽終了後。もともとここにあったようなさりげない木々の佇まいを作ります。

 肩の力を抜いて・・、しかし気合い入れて・・心静かに・・作り過ぎず・・見せすぎず・・己を忘れて・・・、植栽のさりげなさは、そんなところがら生まれるように感じます。

 賃貸マンションという性質上、ここに住まれる多くの方々にとって、ここは一時の住処なのでしょう。
 しかし、例え一時と言えどもその時間は、人にとって一期一会の人生の大切な時間です。
 ここの木々が、一時の住人方々に活力を与えることができ、そして心癒すものであってほしいとの願いこそ、オーナーのAさんと私たちとが共有する想いなのです。

 北側に位置するこのわずかなスペースは、建築計画の段階では、全面的にコンクリートとなる予定だったと言います。
 その計画にストップをかけて、こんな緑潤うスペースへと変更されたのが、オーナーのAさんご夫妻だったのです。

 私たちはそんなAさんの想いを受けて、ほんの少しばかり手助けするのです。
 私たちがどんなに木々の良さを、その街づくりに活かしたいと思っても、それを実現させてくれる方がいなければ決して、私たちの想いは形になってはいかないのです。

 木々がもたらすたくさんの恩恵を、街の人たちにまで分け与えようとされるAさんのような方がもっともっと増えてくれば、私たちの街はどれほど安らかで潤うものになることでしょう。



 植栽したばかりの木々ですが、緑はすべての無機質な風景を潤し、そして美しく見せてくれます。
 温かなオーナーご夫妻やこの街に守られながら、この木々は成長し、そして年月とともにさらにこの街の環境を豊かなものとしてくれることでしょう。


投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
行田の古代蓮              平成25年7月5日



 ピンク色の大ぶりの古代蓮。埼玉県行田市、古代蓮の里が今見頃です。
地中にうずもれて眠っていた古代の蓮が、数千年の眠りから覚めて開花したのです。



 この、神秘的なまでの美しさ、この世のものとは思えないほどの感動が、一つ一つの蓮華に相対するたびに、身に染みわたります。



わずか3~4日のはかない命。その間、毎朝開花しては日中には閉じて、そしてまた早朝に開花するのです。



行田の古代蓮とアメリカの黄蓮の中間種、甲斐姫。



そしてアメリカ黄蓮。



純白の、気品溢れる真如蓮。



 蓮の花はとても不思議な感動をもたらしてくれます。泥の中から一本の太い茎が伸びてそしてこの世のものとも思えない、清らかで限りなく透明感あふれる花を咲かせては散ってゆく。
 それは私たちに、まだ見ぬ極楽浄土の世界を垣間見させてくれるようです。


 
投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
木々に癒される           平成25年6月27日


 久々の快晴です。今日訪れたのは東京都練馬区Nさんの庭、早くも4年目の手入れです。
圧倒的な木々に包まれた、森のような住環境。それこそが、木々が作る住環境というものです。

 この、圧倒的な木々のボリュームを見て、多くの人は、「手入れが大変でしょう」と言います。
しかし、自然の性質に逆らわない雑木の庭の手入れは、手間があまりかかりません。
 この庭の手入れは、掃除を含めて、3人で半日とかからずに終わるのです。

 上の写真はNさんの住まいの西側です。夏の間、木々は見事に西日から住まいを守っているのです。



 そして、これほどの樹木のボリュームでありながら、この西側の植栽スペースは、実際には幅1mにも満たない、ほんのわずかなスペースなのです。
 このわずかなスペースでこれほど環境を変えてしまうのが木々の力なのです。

 木々の圧倒的な力を、我々の暮らしの環境つくりに、もっともっと生かすことで、人の心はどれほど健康的で豊かなものになることでしょう。



 Nさんのご主人はこう言われます。
 
 この木々があるから、自分は生きていけると。
 ストレスを抱えて殺伐とした仕事をこなせるのも、この木々に癒されるから、やっていけると。
 木々がない暮らしは考えられないし、自分はそれでは生きていけないと思う、と。

 そんな話を、Nさんの奥さんからうかがい、またまた目頭が熱くなります。



 手入れ後の庭には心地よい木漏れ日が差し込み、風が枝葉を揺らします。

 木々に癒されるのは、そこに住むお客様だけではありません。
 この環境を作り、管理させていただく私たちもまた、木々に触れるこの仕事だから、どんなにつらい時でも、癒され、乗り越えていけるのです。

 ひやりとした幹を握り、伝わってくるいのちの感触に心癒されながら、手入れする。
 木々と一体になり、そして、移りゆく私の心が木々に共鳴し、こうして手入れの後、それぞれの木々は無理のない自然な佇まいを見せてくれる。そして、静かで穏やかな調和を感じさせてくれる。
 
 そんな素晴らしい仕事をさせていただける、世界のすべてに感謝の想いが絶えません。 

 
 
投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
         
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