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雑木の庭つくり日記

社員の卒業制作 パン屋さんの植栽枡    平成25年3月15日


 ここは九十九里海岸にほど近い、千葉県長生郡白子町、パン&カフェ『パンセ』のエントランスです。
 道路に面した殺風景だったエントランスに、2,4㎡の植栽枡、そしてこの地で生育可能な雑木11種類20本の樹木が木立として植栽されました。
 
 設計施工は、当社に入社して5年となる女子社員25歳です。彼女がすべて計画し、施工しました。



 条件さえよければ樹木はいずれ大きく育ちます。最初から大きな樹木を用いようとすれば、どうしてもスペースが必要になります。
 何も最初から無理して大きな木々を植える必要はなく、健康に大きく育って数年後によくなってゆくように植えるという方法もあります。
 街の中に豊かな緑環境を再生させていこうとするとき、小さな木立を植えて、大きく育ててゆくという視点も大切になります。

 ここでは2,4㎡の植栽枡を立ち上げて、そのわずかなスペースに11種類20本の樹木が植えられました。
 たったこれだけのスペースでも、木々の存在は建物の見え方を大きく変えます。
 海辺の環境で健全に育ってゆくよう、樹木の組み合わせもよく配慮されています。
 海岸低地の砂地のため、植えた樹木が健全に育ってゆくよう、ここでは地中1m程度もの徹底した土壌改良がなされています。
 木々は健康でなければなりません。そのためには樹種組み合わせ、根の状態に加えて土壌の状態が最も重要なポイントとなります。
 末永く木々の健康を維持するために、必要とあれば徹底した土壌改良を行わねばなりません。
 特に、海辺の厳しい環境下では、十分な根張りが必要です。



 植栽終了後の記念撮影。左の女性がパンセの建築を設計した山本明香さん、そして右が、当社での5年間の造園修行をこの3月で満了する竹内和恵です。
 若き二人の女性のコラボで、パンセの玄関前の景色が優しく潤いはじめました。まだまだパンセの外空間つくりは始まったばかりですが、彼女はよい植栽をしてくれました。
 今は線の細い小さな木々ですが、数年後には主木の高さはパンセの屋根を越えて、玄関前にボリューム溢れる樹木群落をつくることでしょう。

 この植栽は、竹内和恵の高田造園卒業記念となります。
 20歳で当社に入社し、そして5年間の修業を乗り越えました。彼女は来月から夏まで、九州の同業者のもとに出修業に行きます。軽トラックではるばる九州まで行くという、気合の入った女性だからこそ、強くまっすぐに自分道を切り開いてゆくことでしょう。
 これからの日本、女性パワーで切り開いていってもらわねばなりません。
 お疲れ様でした。



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なおび幼稚園 園庭植栽竣工        平成25年3月15日



 東京都小平市、なおび幼稚園の50周年記念植栽工事が昨日完了しました。
 これまではなかった園舎際の木々が、室内に枝影を落とし、たくさんの生き物を呼び集め、日々の営みを豊かに彩ってくれることでしょう。



 春の到来を待つ園舎際の雑木たち。これからこの幼稚園は、木々と共に時を重ねていきます。



 木立が点在し、起伏があり、そして流れや池のあるこの園庭で、園児の暮らしがあります。運動会もこの園庭で、木々の下をくぐるように行われることになります。



 幼稚園では園児みんなで毎日ぞうきんがけします。みんな楽しそうに、一生懸命ぞうきんをかけます。
 ここでは先生たちが毎朝毎夕に、広い園舎を隅々まで心を込めてぞうきんがけをしています。
子供たちはそれを見ています。そして真似します。単に形ばかり真似するのではなく、大人の心まで真似するのです。
 子供は大人の鏡とは、よく言ったものです。なおび幼稚園の先生たちが心を込めて毎日ぞうきんがけしているから、子供もみんな、心を込めて楽しくぞうきんをかけるのです。

 これが、先生方は普段モップを使って掃除していたら、子供は決して心こめてぞうきんがけなどしないでしょう。掃除を楽しまないでしょう。
 雑巾をもって床にかがんで心こめて掃除することの大切さ、 とても大切なこと、はいつくばって掃除することで、心もきれいになるのでしょう。



 ピアノを弾くのは園長先生。幼稚園の子供たちの唄の上手さにはいつも驚かされます。
 園長先生の想いと情熱が周囲の人の心を動かし、それが子供達にも伝わって素晴らしい幼稚園の雰囲気が生まれます。
 そしてその中で子供たちが本当の意味で心身ともに健康に育っていくようです。



 日々、子供たちの元気な声を聴きながらの造園工事が今日終了しました。

 私たちの仕事はいつも一期一会です。だからこそ、工事の終わりはいつも一抹の寂しさを感じます。
 感動ばかりの今回の仕事では、竣工の寂しさもひとしお大きく、社員たちの目にも涙が光ります。
 
 震災を経験しながらも、将来の子供たちのために何一つ変えられない、目先のことしか見えない愚かな政治経済指導者ばかりのどうにもならない日本にも、この子たちとの心と心の確かなやり取りを積み重ねながら、本当に大切なことを伝え続けるこんな幼稚園があるのです。
 
 こうした素晴らしい子供たちの命のため、こんなどうしようもなく品格をなくした国を、本当の意味でよくするように、もっともっと頑張らないといけない、そんな情熱が沸き起こり、体も心も熱くなります。
 自分たちにできることは小さなもので、一歩ずつですが、確かに歩んでいきたいと思います。



 園児皆で植えた1000本の苗木。これらが未来の環境を作ります。

 本当は、私たちの社会も、目先のことばかりでなく、子供たちの未来、その後の永遠の未来に続く本当の豊かさへと繋げていかないといけません。

 みんなで植えた木々、未来の街を豊かにしてくれる確かな財産、そして子供たちの心にも豊かな木々の命が宿りました。

 植樹祭の後、園長先生からこんなメールをいただきました。

『子どもたちは、とても自らが参加していたように思います。
今日、朝、登園してきた子どもの中には、“先生、僕が植えた木、元気かな?”
“ちょっとずつ、ちょっとずつ大きくなるんだよね”など、想いを呟く子どもがいました。
うれしいことです。』

 だらしない社会がこの素晴らしい子供の心をつぶすことがありませんように。 大人は子供の鏡です。それを胸に、これからも信念を持って、よい未来を切り開くべく、いのちを燃やし尽くしたいと思います。

 なおび幼稚園の皆様、そして忙しい中、この工事のために尽力くださいました東京都府中市の藤倉造園設計事務所、埼玉県寄居市の㈱中央園芸、千葉の文造園事務所の皆様、
 植樹祭のために多大なご協力を賜りました進和学園どんぐりグループの皆様、他、植樹祭に参加くださいました多くの方に心より御礼申し上げます。


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いのちの森つくり植樹祭 なおび幼稚園より   平成25年3月7日



 東京都小平市、なおび幼稚園の雑木林植栽も、工事開始から一週間が経過し、ようやく大半が終了してきました。
 作業はいつも、子供たちが見つめる中で進めます。



 穴を掘って土を改良し、そして木々を植えてゆく。その様子を興味津々のまなざしで見つめる子供たち。



 とっても元気で人なつこい、なおび幼稚園の子供達。
 私たち造園工事のオジサンたちに、いつも気軽に近づいて、そして満面の笑顔を振りまいてくれます。



 芝生だけだった園庭に木々が植わることで空間の奥行きが感じられるようになります。



 なおび幼稚園では植栽工事の途中でも、木々が少しずつ植わってゆくたびに、子供たちを園庭に出して、移り変わってゆく雰囲気を感じさせています。



 そして今日はいよいよ、なおび幼稚園の植樹祭です。
200名の園児に加えて、平日にもかかわらず140人近くの父兄が集い、にぎやかで楽しげな雰囲気の中で、この日を迎えることができました。



 用意した苗木は、32種類1000本のポット苗です。
ここ小平市が位置する武蔵野台地の気候風土に適応する、土地本来の自然樹木です。



 広大な園庭の外周に竹を編んで土留めを巡らして、土を耕起し、改良し、そしてほっこらと盛り上げられたマウンドに、これから園児たちによって植樹がなされます。



 200人の子供たちと父兄を班分けして、そして一斉に子供たちによる植樹が始まります。



 ポット苗を手にして並ぶ子供達。



 植樹が進むにつれて、子供たちも要領を掴んでいきます。



 植樹指導のため、今回造園仲間が25名ほど、集まってくれました。
 子供たちと一緒に木を植える喜びは、私たち造園に携わる者にとって、かけがえのない大きな体験となります。



 子供も大人も夢中で木を植えていきます。
 木を植えるという行為は、老若男女を問わず、人を虜にするほどの魅力があります。
 こうしたイベントは、多くの人に木を植える喜び、森を育てる喜びを知っていただく貴重な機会になるのです。



 植えた木は、子供たちと同じく、これから年月をかけて成長し、そしてたくさんの生き物の命を育む森になるのです。



 小さな子供たちの200人力。1000本もの苗木が植え終わりました。小さな手で一生懸命植えてくれました。



 なおび幼稚園の子供たちと同様、この地に植えられた木々の子供達です。今は小さな苗ですが、これから先、この地で様々な厳しさに耐えて長生きし、そして将来大木となって、無限の恩恵をあまねく生き物に与え続ける可能性を秘めた木の子供達です。

 今日、一生懸命楽しそうに植えてくれた子供たちの心の中にも、この木々はしっかりと根付いてくれたことでしょう。



 なおび幼稚園、50周年記念植樹が、こうして多くの人の力と想いの結集の中で、無事終了しました。
 みんなで木を植えた後の充実感や爽快感は、何物にも代えることができません。

 たくさんの苗木を寄贈していただき、そして今日も大勢で植樹のサポートに来てくださった社会福祉法人進和学園の皆様、忙しい中、ボランティアで駆けつけてくれた大勢の造園仲間の皆様、この日の植樹を大盛況に導いてくれました父兄の皆様、そしてこんな素晴らしい機会を作ってくださった、なおび幼稚園の皆様に心からの感謝を申し上げます。 




投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
東京都小平市 なおび幼稚園の記念植栽  平成25年3月1日



 ここは東京都小平市、なおび幼稚園。
 武蔵野の面影点在する玉川上水のほとり、伸び伸びとした佇まいの幼稚園は今年で50周年を迎えます。
 このたび、幼稚園50周年の記念事業として、園庭改修のご依頼をいただき、週初めの火曜日から作業を開始いたしました。



 植栽前の地鎮祭には、200名の園児も全員参加です。
 土地の神様をみんなで祀り、そして土いじりの許可をいただきます。
「植えた木々は皆で代々大切に育てます。この土地を尊重し、感謝し、決して荒らすことはいたしません。」
 そんな思いで土地の神様に頭を下げます。
 
 春から夏の間は裸足で園庭を駆け回るなおび幼稚園の子供達です。
 しかし現状では、園庭や園舎周辺には、夏の日中に涼やかな木陰を落としてくれる木々がほとんどありません。
 今回の植栽改修によって、数年後にはこの園庭や園舎全体が、点在する木立が作り出す木漏れ日に包まれることでしょう。



 厳かに進行する地鎮祭。こうした場に園児全員が参加しています。かわいい子供たちの記憶の中に、この風景はどのように残ってゆくことでしょう。
 大人も子供も区別なく、ともに暮らし、そしてなんでも子供たちに体験させる。そして実体験の中から様々なことを学んでゆく、それがこのなおび幼稚園の方針なのです。



 芝生の園庭に、ここ武蔵野の暮らしの中でかつては身近にあったコナラやクヌギ、シラカシにシイノキ、ケヤキ、ソロノキにモミジなどを組み合わせて木立にまとめ、そして園庭に点在させていきます。

 こうした工事も、子供たちがいる開園時間に進めます。子供たちは毎日、木々が増えてゆく様子を興味深く見ています。
 どのように木が植わってゆくのか、どのように工事が進むのか、そして、近づいたら危ない、触ってはいけない、そんなことを実際に感じ学び取ってゆくのです。

 昨年、この工事の設計打ち合わせの際、私は園長先生にこう尋ねました。

「工事の際はクレーン車や重機車両が何台も入ります。園庭に木を植えるための大きな穴も掘ります。作業時間は子供たちがいる開園時間を外したほうがよいでしょうか。」
 
 私のそんな質問に対して、 園長先生の答えは明快でした。

「いいえ、子供たちがいる時間帯にぜひ、工事を進めてください。ここの子供達には、なんでも見せてなんでも体験させるようにしています。それがこの子たちにとっての大切な勉強になります。
 工事がどう進むのかとか、何をしたら邪魔になるとか、なにが危険なのかとか、そうしたことも実際に見ながら自分で感じ取ることが大切ですから。」

 納得です。共感です。
 興味津々な子供たちを感じながらの植栽は、作業する我々もとても楽しく、ついつい張り切り過ぎてしまいます。



 緩やかな起伏の芝生の中に重機を入れるわけにはいきません。園庭の中の植栽は手作業で進めます。
 長年にわたって木々が健康でいられるよう、固い土を深くまで掘リすすめ、大量の堆肥を漉き込みながらの植栽です。
 今後何代にもわたってこの地域の子供たちと共に過ごし、そして子供たちの健全な成長を見守る木々です。いつまでも健康でいられるよう、土壌改良と木々の性質に応じた配植に万全を尽くします。



 植栽は園舎際の落葉樹高木の植栽から始めます。この下に、シラカシやシイノキ、イヌシデなどの苗を補植し、ノシバでグランドをカバーします。
 今年の夏までにはしっかりと根付き、子供が木登りできるまでになることでしょう。
 この木々が夏の縁側に木陰を作り、そして葉音や木漏れ日を揺らします。木々は小鳥やセミなど、様々な生き物を呼び集めてくれます。
 身近に感じる生き物たち、そして生き生きと枝葉を広げる木々のありがたさ、そこで遊ぶ子供達の様子を想像しながら、広い園庭に一カ所、また一カ所と木立を増やしていきます。



 L字型の園舎のコーナー部分、高木が植わったところで、木々の下で今日はもち米をかまどで炊いて餅つきです。
 園長先生に事務長方々が威勢良い音を立てて餅をつく様子を園児が見守ります。
 ちなみに、園庭の木々はまだまだこれからたくさん植えていきます。



 園庭内や園舎周辺の雑木植栽の傍ら、広大な園庭の外周部分には、竹を編んだ土留めを回し、そして既存地盤を掘り返し、ひたすら堆肥を漉き込み、土壌を深くまで改良し、締め固められて劣化した地盤を、再び樹木が末永く健全に生育できるよう、条件を整えていきます。



  この園庭の外周部分には、サクラやケヤキの大木が点在しています。しかし、それらは踏圧や不適切な剪定によって軒並み傷んで、老木のような樹肌となっています。

 私が初めてこの幼稚園を訪れたのは昨年の9月、その時、園長先生は私にこう言いました。

「祖父が始めたこの幼稚園は来年で50周年を迎えます。この50年の間に、この辺りは全く変わってしまいました。
 昔は近くの雑木林で子供が遊んで、そして風呂を沸かすための小枝拾いも子供の仕事でした。森は子供たちの遊び場で、そこでいろんな生き物を知って、大切なことを学べました。
 今、子供たちが遊べる森も小川も、この地域には全くなくなりました。
 森の中で子供の頃の私たちが体験したことを今の子供たちに体験してもらいたい。木々があればいくらでも遊べるし、遊具など要りません。そんな植栽をお願いします。
 そして、この幼稚園は今、開園してから50年経ちましたので、この先、また50年経ったとき、『ああ、50周年の時に木々を植えてよかったな』と、そう思えるような植栽をしてください。」

 感動的な依頼でした。今現在のことだけでなく、50年後の将来を見据えた、未来のための植栽のご要望だったのです。

 木々は、そこにいのちとして芽生えた後、あるいはその地に植えられた後、年々成長を続けて幾世代にも渡ってその土地の環境を作り、そして子孫代々にまで恩恵を与え続けてくれます。
 本来木を植えるということは、そういうものでなければなりません。
未来の風景、未来の環境を作るのが私たち木を植える者の大切な使命なのです。

 50年後の風景をはるか仰ぎ見ると、外周に点在する傷んだケヤキやサクラは、今のままではおそらく残ることはないでしょう。
 そして、その後の100年、200年後を考えると、将来に永続する豊かな木々を今、この機会に育む必要を感じ、健全な外周林を造成することになりました。

 ここに、小平市の気候風土の元でかつて生育していた自然植生樹種を多数織り交ぜた、この土地らしい健全な外周林を育むべく、樹木苗を植栽します。
 もちろん今外周に存在する木々はそのまま生かし、そしてその下にも将来の更新用の苗木を植えてゆくのです。

 苗木の植栽は園児たちと一緒に行います。子供たちが植える苗木、園児たちが大人になる頃には、豊かな外周林が完成していることでしょう。大人になって再びその外周林を見たとき、子供たちは何を思うことでしょう。



 それにしてもこの幼稚園の子供たちはみんな生き生きとしていて、とても元気です。
 そんな子供たちの心の中に、今の時代忘れられがちな、とても大切な種を撒き続けてきた、このなおび幼稚園。
 この子たちのため、この地域の未来のために木を植える幸せをかみしめながら、職人総勢10数名でこの広い園庭の植栽を進めています。

 なおび幼稚園のサイトアドレスはコチラから。



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埼玉県草加市の庭づくり あと少し       平成25年2月20日



 1月にかかり始めた、埼玉県草加市、Kさんの庭つくり、入院による中断を挟んでようやく今週で植栽が完了します。



 正面の白い家がkさんの住まいです。そしてこの庭は、隣接する空き地をKさんが購入し、ここに2匹の老犬と共に楽しむ、木立の中のプライベート空間を作ります。
 木々の合間に無数の回遊路が巡り、庭を歩く中で様々に変化する景色を楽しめるよう、庭を構成しました。



 隣地を購入して庭とする、当然ながらその場合、家屋とその庭とのつながり方も同時に変えていかねばなりません。
 庭と家屋の繋がりがなければ、どんなに良い空間が隣接していても、それを豊かな暮らしづくりに生かしきることは決してできません。
 そのため、庭の工事と同時に、この空間に面したリビングの窓をくり抜き、掃き出し口を作っています。
 大切なことは屋外と室内を滑らかに繋げてゆくこと、それが庭を活かす大事なポイントとなります。



掃出し窓の切り欠き工事中、2匹の老犬がお行儀よく庭を眺めています。



 長年Kさんの家族と一時も離れることなく共に暮らしてきた2匹のラブラドール。年を取り、今は小さな段差も昇降できないほどに衰えたようです。
 もうどこにも連れていけない老犬に、せめて木々の中に憩い、この庭をゆっくりと自由に歩かせたい、そんなKさんご家族の想いが、この庭に結実します。



 街中の住宅地で70坪近い空間をすべて庭にするというのは、なかなかできることではありません。広い空間です。
 その外周には、シイ、タブ、カシなどの常緑広葉樹を中心とした苗木を混植し、これから豊かな外周林を育て上げていきます。
 この庭は、おそらく6年後くらいには樹高5mの自然植生の樹林帯に囲まれることでしょう。
 庭が育つということ、それはそこに住む家族にとっての大きな楽しみになり、そして未来に向けた大きな希望となることでしょう。
 庭はできたときが完成ではありません。家族と共に成長し、変化してゆく楽しみと感動、木々と共に生きる実感を家族共有の風景としてほしい、そんな願いを込めて、苗木による外周林育成を今回試みさせていただきました。
 成長する木々は、未来の風景を作ります。私たちは未来の風景を想像しながら植栽していくことが大切だと考えています。

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