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雑木の庭つくり日記

大地の再生講座 inちば      平成26年10月28日



 昨日、千葉市緑区の高田造園社有地にて、大地の再生講座(講師;矢野智徳 杜の園芸 NPO杜の会副理事長)を開催しました。
 週初めの月曜日だというのに、県外からも多数参加いただき、当初予定の20名定員をはるかに超えて、総勢30数名での、とてもにぎやかな屋外実地講座となりました。



 講師の矢野智徳さん。矢野さんはこれまでの長い間、現代土木工法の中で顧みられることなく閉塞させてしまった土中の気脈水脈を、本来の健全な状態に再生することを主眼に置いて、全国各地の山林農地、宅地における環境改善を手掛けてきました。
 6年前に山梨県の中山間地、上野原に移住し、その後は全国各地で大地の再生講座を開催しつつ、それぞれの地域が内在する自然環境の問題をえぐり出し、そしてその土地なりの問題に対応した環境改善に取り組んでこられました。

 矢野智徳氏の大地の再生講座開催は、千葉県では初めてとなります。しかも平日であるにもかかわらず、これだけの参加希望者が集まったのも、それだけ今の国土の現状や、自然環境を顧みない開発の在り方に疑問を感じ、真剣に学ぼうとされる方が非常に増えてきた、その証のようにようにも感じます。



 今回の講座のフィールドはここ、千葉県内によく見られる、放置された里山です。全体的に傾斜地で、上部の平地には畑と、40年前に開かれた小さな集落が点在します。
 斜面に残された山林はこうして、急斜面にはコナラを中心としたかつての里山利用の名残がみられ、緩やかな傾斜部分にはスギヒノキなどの植林地が点在します。放置されて久しい林内は総じて暗く、風通しが悪く、林床植物に乏しく、枯れ木や衰弱木が目立つ、不健全な山林がここ数十年、なおも増え続けているのです。
 まるで現代日本の経済成長の過程で打ち捨てられた里山の現状の縮図のような山林がここにあります。
 2年ほど前、荒れた里山再生利用の実習林としてこの地を取得し、そして今年に入って、ようやく山林整備と活用に向けて、いろいろと動き始めたところでした。
 
 利用されず、不健全化した山林農地の多くは高度経済成長期以降の大規模宅地開発の圧力に飲み込まれ、そして私たちの身近な生活空間から、日常的に感じることのできる本来の自然環境が次々と失われ続けてきました。
 それはそのまま、人が本来心の中に握りしめて生きてきた、美しいふるさとそのものを、まるで大きな爪ではぎ取られるように失われることを意味します。
 私たち多くの日本人は気づかぬうちにこうして大切な心の原風景を失い続けてきたように思います。

 そんな中、千葉県内では今、荒れた里山を再生し、本来の美しくのどかな千葉の自然環境を取り戻そうと、様々な市民活動が活発に展開し、それぞれの方法でボランティアによる山林整備が行われています。
 今回の講座開催の目的は、千葉の里山自然環境の問題を明らかにし、今後どのような視点で荒れた山林農地などの身近な自然環境を再生してゆくべきか、その大きな指針を定めるべく、千葉での大地の再生講座開催に至ったのです。



 こうした山林の地表は、表土がむき出して土が露出している箇所が数多く見られます。
 森が本当の意味で健康であれば、地表はふかふかの腐葉土が覆い、そこに木々の細根が張りめぐらされて腐葉土や落ち葉と絡まり、さらには下草が進入して表層を安定させて、急斜面でも土壌が浸食されない状態が形成されます。
 最近はこうした林床風景が多くの山林でごく当たり前の風景となってしまいましたが、実はそれは本来の健全な姿とは言えないのです。
 こうした地表の不健全な様相は、実は地下の水脈気脈の詰まり、いわば大地の呼吸不全に起因すると矢野さんは断言します。




 斜面林を下りきるとそこは、かつての小川が落ち葉や落ち枝、ヘドロに埋もれた泥沼となっています。そこに覆いかぶさるように、斜面林下部の木々の枝がひょろ長く張り出し、それがまたこの地の風通を停滞させます。

 もともとここには、千葉の独特の原風景の一つとなる山間の谷津田が広がり、清らかだった小川にはメダカやドジョウ、イモリにカエル、ホタルなど、たくさんの生き物にあふれていたと地元の方が言います。
 耕作放棄され、そして里山利用もなされなくなってからの数十年で、小川は泥に埋もれ、生き物にあふれた里山は、生き物にも乏しい不健全な様相へと変貌していったのです。



 この山林の不健康の原因は、斜面林最下部の小川の滞りから生じる地下水脈や気脈の停滞にあると矢野さんは断言します。

 最下部の小川が停滞し、ヘドロ化することで、斜面林に血管のように張りめぐらされた水脈が停滞します。水脈が滞ると、土中に空気が吸い込まれなくなり、土中の生物相が呼吸不全を起こし、劣化していきます。土中に水脈の動きが戻ると、ストローの吸い込みのようにそれに伴って空気も流れ込み、木々は細根を発達させ、そして活性化した土中生物相が多様化、健全化してゆく、そのためには最下流の泥沼の水の動きを健全化する必要があります。

 そこで今回、この小川の再生から作業が始めます。



 木々や森の不健全性を判断する際、私たちのように樹木を専門的に扱う者はつい、木々を取り巻く光環境や生物相、表層土壌、水はけといった、いわば目に見えやすい部分ばかりを中心に考えてしまいがちです。
 一方で矢野さんは、自然環境を読み取る際、その環境を作るファクターを以下の4つに集約して考えます。
 1つ目が土壌、地形、地質といった大地環境、2つ目が動植物相や人の生活といった生物環境、3つ目が空気や水の動きといった気象環境、4つ目は自転、磁気、重力、太陽、月の引力といった宇宙エネルギー環境、これが矢野さんによって集約された、自然環境を決定づける4つのファクターです。

 そのうち、地上の環境要因は大地環境、生物環境、気象環境の3つのファクターしかなく、今の自然環境の問題がどこに起因するか、このファクターに照らして丁寧に見ていけばおのずと読み取れます。
 
 今回、斜面林の再生と健全化のために、最も大切で根本的な作業が、一番下の小川の泥のくみ上げにあると判断したのです。


 
 まずは泥に埋もれた小川に散乱する枯れ枝などを流れの周囲に並べていきます。そしてそこにくみ上げた泥をかぶせていきます。
 それによってくみ上げた泥は小川に再びに流れ込みにくくなり、同時に枝葉の隙間から空気が入り込みやすい状態が作られることで、くみ上げた泥の生物環境が改善され、川岸の表層が安定してくるのです。

 こうした細かな配慮を何気なくこなす偉大な知恵、しかしながらかつて自然と向かい合って生きてきた先人たちは当たり前にそれを活かしてきたのでしょう。
 私たち人間ははたして進化していると言えるのか、自然環境を向き合えば向き合うほど、そんな疑問が生まれます。



 周囲の草も低く刈りすぎず、ちょうど風が吹けば均等になびくように、上部の重い葉先の部分を、風が払うように刈り取っていきます。
 本来自然界ではその仕事を風の流れが自然に行い、おのずと調和のとれたおとなしく健康な表層の状態を作り上げている、それに倣うように人がしてあげることが大切と言います。



 風道を通すための木々の整理も、あくまでやりすぎず、一つ一つ枝を振るってなびき方の違う枝先の重たい部分を取り払っていきます。
 水や風の働きを熟知する矢野さんの動きに、参加者みんなの目からうろこが落ちていきます。

 今回の講座には、造園関係者も10名以上参加されましたが、今回の矢野さんの手入れの思想や方法には、誰もが驚きと共に、実感を持って納得していきます。

 私自身、環境改善を主眼に造園を続けてゆく中、人にとって本当に心地よい環境は地上にも地中にも風と水が滞りなく流れ続ける環境にあり、それはすなわち多様な植物動物たちにとっても心地よい環境であることに行きつきました。
 しかしながら、矢野さんの存在を知り、その考え方や実績に触れるにつれて、私がこれまで主に庭を通して手掛けてきた環境改善とは、どちらかというとまだ、人の側の都合に重きを置いた環境改善であったことを反省させられます。



 泥をさらうと水量は一気に増して、まるで沼地に溜まった膿が一気に湧き出して流れてゆくようです。斜面林の下の小川、そしてそのほとりに田んぼが広がっていたかつての里山の暮らしの風景が、小川の再生作業によってみるみる蘇ってきたような感触を覚えます。

 流れの泥をさらうだけでなく、5m程度ごとに深みを作っていきます。本来自然の流れには水流によって適度に深みが形成され、それによって水の流れが加速せず、均質な速度を保つよう、実に微妙なコントロールが自然となされているのです。その作業をまた、人間が補います。



再生した小川に十分な深みをとってゆくため、急斜面に道を整備しながら重機を通していきます。
 土留めには倒木の丸太を使い、傾斜を調整していきます。腐りかけた丸太でも、芯の部分は強く腐りにくく、道の土留めには十分に活躍できる資材が山には溢れています。
 すべて、現地で材料を調達し、持ち出さず、あるもので作ってゆくのです。



 道の路盤には枝などの有機物とかぶせる土とのバランスをとって表層水が浸み込んでゆくように重機で直しつつ、ゆっくりと斜面降りていきます。
 この、ゆっくり作業することが自然環境にインパクトを与えない重機の扱いの大切なポイントと矢野さんは言います。
 重機の力はゴジラのように、使い方によっては自然環境を破壊し、一方で繊細に使ってゆくことで自然環境を再生してゆく大きな力にもなるのです。

 道の周辺の木々はなるべく伐らず、掘り取った株は道の谷側に植えつけていきなががら、植物の根によって道を補強していきます。



 急斜面を重機が下りると、かつてこの山の下部にあって今は埋もれてしまった道があっという間に再生されていきます。



 作られた山道は風の流れが一変し、心地よい空気の通り道が、閉塞感のあった林内に生まれました。
 
 よく、登山道が人の踏圧によって浸透性が低下し、水の通り道となってしまい、道が浸食されてゆく光景があちこちで見られますが、表層水の浸透と加速度をつけない水の逃がし方に対する細かな配慮がなされれば、重機が通るようなこうした山道でも雨水によって浸食されることのない、健全な道が作られるのです。



 重機を斜面林の最下部まで降ろしたところでお昼です。
 お昼は近所の方々や友人の農家から調達した野菜にお米、そしていただいた猪肉を煮込んだ猪鍋と、盛大な炊き出しとなりました。


 
 おいしい食材に薪焚きのご飯に猪鍋、新鮮で安全な具だくさんのお味噌汁、マクロビオティックの尾形先生によるとてもおいしい玄米ご飯と、こうしたイベントの醍醐味は食事にあります。



 高田造園の自然農園も、9月に土中水脈の改善を施した後、肥料もまったく施さないにもかかわらず、見事な生育を見せています。食べきれないほどのこの野菜たちも今日の料理に活躍です。
 水脈改善の効果は非常に短期間に目に見えて実感されます。こうした考え方が実際の社会環境つくりや自然環境の保全に活かされれば、日本の自然環境も、人の心も大きく変わってゆくことでしょう。



 昼食後、トイレがまだないこの山に、急きょ簡易トイレを作ることになりました。そこにある植物資材を用いて壁や屋根を作り、そして土中に還元されて分解される、バイオトイレがみるみる出来上がります。



 簡易 トイレの完成。用を足した後、腐葉土をぱらぱらまぶせるだけで分解が進み臭いもしません。風を通せば何も問題が起こらないと矢野さんは言います。
 そして、そこにある材料でこうした設備が次々と整っていく様子にみんなの心が躍ります。



 たった一日の作業が終了すると、じめじめと鬱蒼とした環境が一変し、風が抜け水音が心地よい、快適な空気感へと変貌したのをみんなが実感し、感動に包まれます。
 今回、この斜面林の肺とも言うべき、下部の水脈を再生することによって、この森は急速に健康を取り戻してゆくことでしょう。それはこの、明らかに変貌した空気を感じることで確信を持って時間されます。

 学ぶということ、それは実感と感動を持って理解してこそ、本当に自分の血肉となって人生を変えてゆくものになりうるものです。
 そしてそれが、今の偏った社会を健全な形に変えてゆくことに繋がる、そうした希望を持って今後も日々学び続け、そして活かしていきたいと、心に誓います。



 そして講座の翌日となる今朝、再び小川へ降りてみると、驚きの光景を目の当たりにします。整備した箇所のさらに上流部、泥沼だった箇所に3本の流れの筋が生じ、それが合流して昨日整備した水脈へと、停滞していた水が滾々と流れ込んでいたのです。
 この沼地の下流部を整備して水脈を再生したことで、今回整備の手が届かなかった上流部まで、自然の力で水脈が復活していたのです。
 
 自然の再生力、たくましさに息をのみ、そして立ちすくみます。自然は自ら自立して、全ての流れを健全な形に整えようとする、それを育む要因の多くは人の所作にありますが、それもよくよくきちんと自然との対話を取り戻していき、そして付き合い方を考え直すことで、思った以上に小さな力で変えていけるのではないか、この光景がそれを感じさせてくれました。

 矢野智徳氏、私は自分の道の途中で矢野さんを知り、惹かれ、そして出会い、学び、今後連携しながら共にやっていくことを約束しました。
 造園を通して環境つくりに取り組み、その先に見えてきた世界があります。そして、この人からとことん学びたい、吸収したい、そう思える人がいるということほど、幸せなことはないかもしれません。
 その素晴らしい機会がこうして与えられたことに、この山に感謝し、人に感謝し、全てに感謝する想いが自然と沸き起こります。

 真剣に、真摯に自分の道を追及していけば、自分がなすべき役割はおのずと与えられます。それもまた、ちょっとしたきっかけで自律して再生し、調和を取り戻そうとする自然界のシステムを目の当たりにして、その一員である人間の役割も、自然の中でおのずと与えられるもののように感じます。

 今回の講座開催に多大なご助力をいただきました地元の皆様、仲間、そして千葉での矢野さんの講座実現のために力添えくださいました方々、一生懸命作業してくださった参加者の皆様、本当にありがとうございました。

 








投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
深まる秋と高田造園の1か月      平成26年10月21日


 ここは信州、小淵沢周辺。南アルプスと八ケ岳の合間の雄大な景と透き通るような秋の空気が心と体を吹き抜けていき、洗われます。
 滞ることのない素晴らしい気の流れを全身に感じつつ、太古の昔から変わらない空気感に五感が研ぎ澄まされ、遠い昔やここでの様々な営みの歴史に思いを馳せます。

 稲刈りを終えて収穫の時、それが日本の秋というもの。青い空と遠い山並み、その下の稲穂の掛け干しの風景がたまらなく郷愁を誘います。

 めまぐるしいほどの忙しさと怒涛の日々。少年の頃の国語の教科書、「少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず。」そんな言葉が頭をよぎります。 
 月日は矢のように過ぎ去って、そしてあっという間にまた一年と、年を重ねていきます。時間の大切さ、使い方、日ごと年ごとその重みは増していきます。
 価値ある日々、価値ある人生を生き抜くために、その時、自分に与えられた役目を正面から見据え、そして、道の途中で与えられた学ぶべき大切なものをきちんと学び、積み重ねていきつつ、心に栄養を与え続けていきたいと思います。

 様々な感動、様々な出来事、様々な想い、ブログで紹介できることはいつもほんのひとかけらにも過ぎません。

 一仕事が一段落した雨の午後、少し、最近の出来事を足早に紹介してみたいと思います。



 信州、縄文時代の遺跡が数多く発掘される井戸尻遺跡の周辺風景。長野県のほぼ中央に位置する八ケ岳山麓は、起伏に富む豊かな自然と清らかな湧き水に恵まれて、縄文時代には日本の人口の1割がこの地域に集中していたと言います。
 自然と共に生きてきたはるかかなたの先人たち、豊かで美しい、こんな素晴らしい地を選んで暮らしたその知恵と想念に、心の底から敬意と感動が沸き起こります。



 復元された縄文小屋。ここではその紹介は省きますが、アイヌのチセにも通じるその地の住まい方の合理性、美しさ、敬虔さに打たれます。



周辺の蓮田の美しさ、青空と山並の美しさ。縄文以降、この地に鍬を刻み、連綿と続いてきた人の暮らしの風景が、まるで大地の神の大きな懐に抱かれるようです。
 はるか数千年以上もの間、この地で生きた人たちが呼吸し、そして日々共に生き、敬ってきた風景が今もここにある、、そんなことに感動します。



 見上げると、トンビが悠々と空から大地をうかがいます。このトンビ舞う光景も幾千年と、時を超えて存在し、時を超えて人の心に様々問いかけ続けてきたことでしょう。

 大地の「気」、大きな気の流れやその対流、最近そんなことを敏感に感じるようになりました。ここはまだ、人や生き物を善導する、美しい気の力が感じられます。



 目の前に南アルプス鳳凰三山の山稜を望む、山梨県北杜市、五風十雨農場。ここを訪れるのも今回で3回目となりました。
 相も変わらずこの地には常に清らかで滞ることのない気が流れ、そして南アルプスの山並みへと吸い込まれてゆくようです。

 10月初旬、第4回目となるNPOダーチャサポート準備会議のため、東は千葉から西は広島まで、遠方からはるばる毎回、夢と志を共有する仲間が集まります。



 会議はいつもエンドレスで、しかしながら毎回確実に前進していきます。五風十雨農場周辺の、この素晴らしい土地にいよいよ、日本初の本物のダーチャ村が生まれようとしています。

 それは、インフラやエネルギー含め、現代生活をそのまま田舎に持ち込んで、地域の自然環境に大きなインパクトを及ぼす従来の別荘地開発とは全く異なり、その土地のあるがままの地形、あるがままの恵みを活かし、風雨を凌ぐに足るばかりのほんの小さな小屋を建て、人が周辺の自然環境を守り育てながら、自給的な自然の恵みを活かし感じつつ暮らす場所、それが私たちの目指すダーチャ村構想です。



 周辺の耕作放棄地、放置林を歩きます。ここが我々のダーチャ候補の一丁目一番地です。
誰が植えたか、この地のクリやクルミが今、豊饒の時節を迎え、拾いながら歩けばすぐに、両手の袋が一杯になります。



 緩やかな傾斜地、清らかな小川、周辺の山林、かつての段々畑の名残の地形がそのまま残るこうした土地。今は日本中で打ち捨てられた、かつての暮らしの忘れ形見のような土地を再生し、再びその地で人と大地とのつながりを再生したい、そんな願いもまた、私たち共通の想いです。

 五風十雨農場のダーチャ村について、興味ある方はお気軽にお問い合わせください。



 ダーチャ会議の帰路、山梨県都留市、かつての水力発電跡地に立ち寄ります。東電がここでの発電事業をから撤退して放置されて数十年、今、地元NPO団体によってこの施設を再生し、再び発電に活かす計画が進行しています。
 豊富な水と落差を活かして、かつてはこうした地域的な発電施設が山間地域のあちこちにあったのでしょう。
 これひとつで、現在の一般的な電力使用量に換算しても数百世帯分の電力が賄えるといいます。山間部の集落には十分かつ、ちょうど良い規模と言えるかもしれません。
 かつては地域小規模発電が、この国の山間地域の暮らしを支えてきたことを知ります。



 豊富で絶え間のない清らかな水流は周辺の山が生み出します。
 こうした、自然環境を活かした地域自給的な電力施設も、高度経済成長と共に集約化されたメガ発電化の波にのまれて消えていきました。
 今再び、地域自給型の小規模発電を、しかも新たにつくるのではなく、捨てられた施設を再生して使おうという、そんなここでの強い動きに、一筋の希望の光を見たような想いです。




 ここは東京都国立市、見事な桜並木です。道路2車線化と自転車専用道の整備計画に伴い、大きな桜の木々が選択的に伐採されることとなり、それに対して多くの国立市民が何とかこの木々を守れないかと、勉強会を続けているのでした。
 すでに伐採や、不適切な枝払いがなされた箇所を見た市民から、市への苦情や問い合わせが殺到したと言います。その結果、国立市も伐採計画を見直し、全体の3割程度の本数の、衰弱木として判定を受けたサクラの老木のみを伐採することになったのです。
 この桜並木の風景が変わってしまう。これまで素晴らしい環境を守ってくれた木々が伐られる、本当に伐る以外に方法はないのか、市民たちが定期的に集まって勉強会を開き、街の緑をみんなで守り育てようとしている、そんな動きが沸き起こっているのでした。

 緑豊かな美しい街の木々が、こんな素晴らしい自律した市民を育て、そして市民によって木々が守り育まれる、そんな関係を作ってしまう木々の素晴らしい力を改めて感じます。



 47年前に植樹され、そして与えられた場所で必死に生きる木々の力が、ここで暮らす市民に様々なことを教え続けてきたのでしょう。



 市によってC判定とされ、伐採されることになった木々を見ると、まだまだ精力にあふれ、生きようとする力をたくさん持っている木々ばかり。問題があるとすれば、道路工事の際に大きな枝を無残に伐られて乾燥し、急速に衰弱してしまった木々たちくらいです。

 C判定で伐採・・だれがどんな基準で判定したのか。その基準を尋ねると、腐朽菌類が発生し内部の空洞が進んでいるというもの、ということでした。
 内部が空洞化しても、木健康な状態であれば長寿を全うできます。生きようとする木々は、腐朽菌によって木部の腐朽が進めば、その分急速に周囲の細胞を増殖して盛り上がり、腐朽部を包み込んで塞いでいきます。その盛り上がり方を見れば、木々がまだまだ充分に生きていける力を持っているか、危険はないか、十分に判別できます。木々の健全性は単に腐朽の有無や進行具合で判断できるものではありません。
 反面、その木に生きようとする力が低ければ、腐朽の進行に対して組織増殖が追い付かず、衰退していきます。それが自然の流れであって、その見極めは必要な場合もあります。
 今回の国立市民の会、桜ネットの集いには、NPO杜の会、大地の再生師ともいうべき、矢野智徳氏のお誘いで参加させていただきました。
 私も矢野さんも、C判定を受けたこの木々はまだまだ問題なく、生きようとする力にあふれている、という見解を共有します。
 病気になったから伐る、危ないから伐る、もちろんその判断が必要な時もありますが、誰が何を根拠にそれを判断するか、本当はそこに問題があるように思えてなりません。
 経験と愛情に基づく判断は、全てを説明し尽くせないものです。自然というもの、木々というものは様々な要素の微妙な絡み合いの中で、健康に生き、あるいは健康を損ないます。そして彼らが発する様々なシグナル、それは本当にとても微妙なもので、木々との対話の経験と深さが左右する部分が多いように感じるのです。

 本当にこの木々は伐られなければならないのか、真摯に学びつつ、緑豊かな環境を守り伝えようとする国立市民のような動きが全国に広がれば、日本の街、環境は素晴らしいものに育ってゆくことでしょう。木々が人を育て、そして人が木々を守り育む、そんな関係を感じたひと時でした。



さて、仕事の話もしないといけません・・。
 今月は茨城県から静岡県まで、4件の造園工事を並行して進めております。
 ここは静岡県、浜名湖のほとり、Kさんの造園工事が始まっています。先日、植栽を始めたところです。



 木々が植わると家の見え方は一変します。
 


 遠い地での作業ですが、この地に造園観を共有できる仲間と一緒の作業に力が入ります。
 この地の自然環境を尊重し、なおかつ暮らしの風景になる、そんな空間を目指します。



 場所は変わってここは地元千葉、2年前に作った庭に、新たに木製カーポートを造作しました。



 豪雪にも大風にも耐えて長持ちし、しかも庭の木々に調和する佇まいを期しました。
 梁には古材の松梁を用い、どっしりした重量感と軽やかを兼ねる、明るい雰囲気に仕上がりました。



 水はけの悪い締め固められた土地で、植えた木々にもずいぶん苦労を掛けましたが、2年経過してようやく気脈通じて木々が元気に、本来の美しい姿へと健全に育ち始めたことを感じます。



 サービスヤードの家屋東側の高木。ぴったり家際に植えられた高木も、この地で2年を経てようやく自分の位置を把握して、外側へと枝を素直に伸ばしていきます。木々が健康に根を伸ばしつつある様子は、こうした姿で分かります。



ここは東京都世田谷区、この春から時間をかけて、少しずつ造園工事を進めています。
 玄関ポーチ脇の風防室に窓ガラスとガラス扉が入り、玄関ポーチ周辺が完成しました。
ガラスは今はなかなか手に入らない、かつての手すきのガラスです。ゆらゆらと透けて見えるその奥に奥庭の緑の空間が取り込まれ、静寂でとても品のよい空間が生まれました。



 シンプルですが、飽きることのない品のよい空間、それこそが、我々つくり手が意識すべき、最も根本的でもっとも大切な感覚なのかもしれません。



 玄関ポーチ奥の北庭。周辺の豊かな緑を取り込み、プライベートな屋外リビング空間となります。さて、これから表側の駐車場と玄関の庭を仕上げていきます。

 さて、、今月の活動を一挙公開しようと思うと、、まだまだ果てしなく長くなってしまいます。進行中の現場の紹介はこの程度にいたします。



 10月10日に発売開始となった、冊子を紹介いたします。
「心と体を癒す雑木の庭」 主婦の友社です。2年前に発売された「これからの雑木の庭」に続く第2弾です。
 今回は私の著書ではありませんが、40ページほど寄稿し、雑木の庭について、心身の健康増進効果など、少し新たな角度から解説しております。



 特に今回、力を込めて書かせていただいたのは、、木々の持つ環境形成作用についてです。樹木は周辺の環境に働きかけて、水や空気、土を改善し、様々な生物たちが共存して健康に生きてゆくことのできる、豊かな環境を育みます。
 その木々の環境改善効果や、それを活かしてきた先人の知恵、現代の庭で木々のこうした環境形成作用をどう生かすか、そんなことをページの許す範囲で書かせていただきました。



 また、管理については、単に手入れの方法の解説ではなく、木々を健康に育ててよい住環境を作ってゆくために、何が必要で何が不要か、どんな視点で樹と付き合うことが大切か、そんな想いを込めて、まとめてみました。

 少し専門的にで分かりにくい点もあるかもしれませんが、興味のある方は是非見ていただき、少しでも参考にしていただければ幸いです。




 収穫の秋と言いますが、今年の様々なことが結果となって顕れ始めるのもこの時期なのかもしれません。
 今年始めた自然農園の野菜が見事な生育を見せています。



毎日のように、間引きした野菜を持ち帰ります。



  2年前に数十㎝のポット苗を密植混植した樹木マウンドも、今は競争して最大樹高3mにも達しました。もう2年もすれば6m程度の小樹林となるでしょう。
 時の流れと共に、木々は育ち、そして命を宿し、風景を育てます。命と共にある生き方、仕事、そんな幸せを少しでも伝えられたら、そんなことを感じさせられます。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
「大地の再生講座」開催のお知らせ   平成26年10月14日


 この度、千葉市内の高田造園設計事務所の社有林(高津戸ダーチャの杜)にて、NPO杜の会副理事長、矢野智徳氏を講師に招き、大地の再生講座を開催することになりましたので、下記の通り、ご案内いたします。


日時;10月27日月曜日 9時から17時

場所;高津戸ダーチャの杜 千葉市緑区高津戸町405-1
    徒歩の場合、外房線土気駅から20分。駐車場あり(15台程度)

募集区分と講座参加費(昼食、飲み物含む);
     
      一緒に作業しながら学ぶ方(かなり本格的な作業です) ;2000円 
      見学して受講したい方(時間は自由です)          ;4000円
      ボランティアスタッフ(炊き出し、駐車場の案内など)   ;無料
 
*講習費用は、講師謝礼、講座開催経費、昼食代(ロケットストーブでの炊き出し)、保険代等に充当します。ご理解くださいますようお願い申し上げます。 

服装・持ち物;
 
 服装;汚れてもよい服、山を歩ける靴(地下足袋が最適)
 持ち物;作業される方は下記の通り。作業されない方は手ぶらで構いません。
      必携;軍手・地下足袋・ヘルメットまたは頭を覆う手ぬぐい
      いずれかでも、あればよいもの;草刈り鎌、なた、剪定ばさみ、のこぎり、スコップなど

事故・怪我等の責任所在について


 当方で保険に加入いたしますが、現地の応急処置以外は自己責任にて参加の程、お願い申し上げます。
      
募集人数;20名程度(先着順にて) 

申し込み方法;
 担当高田(高田造園設計事務所代表取締役 NPOダーチャサポート理事 ダーチャサポートちば代表)までご連絡ください。

 お申込みは下記いずれかにてお願いいたします。
 メール;高田造園設計事務所ウェブサイトお問い合わせホームからどうぞ。
 電話;高田造園設計事務所(043-228-5773)まで。
 ファックス;高田造園設計事務所(043-309-7203)まで。
 ファックスの場合、氏名、年齢、連絡先、募集区分のご希望を記入ください。

 他、フェイスブックや直接高田の携帯におかけいただいても構いません。        

講師;矢野智徳氏
    杜の園芸代表 NPO杜の会副理事長 杜の学校準備会主催

講師略歴;1956年福岡県生まれ。幼少のころから実家が所有する花木植物園で植物と共に育つ。
 東京都立大学理学部地理学科 自然地理学専攻。
 現代土木建築工法の裏に潜む環境問題にメスを入れ、その改善方法を提案。全国の荒れた大地、呼吸不全に陥った大地の水脈気脈を再生して回る。
 足元の住環境から奥山の自然環境の改善までを、実地作業を通して学ぶ「大地の再生講座」を全国で開催。




講師が主催する杜の学校準備会趣旨;
 命の自然や宇宙のリズムを無視した人間だけの都合、金儲け、効率性、頭ではじき出した計算や数値、人間にとってだけの安心安全などを追求してきた現代物質文明は、山を崩し、木々をなぎ倒し、川や地面ををコンクリートで固め、海を埋め立て、空気や水を汚し、地球生命圏は瀕死の状態に陥っています。  生きとし生きるものすべてが、呼吸困難の状態にある今、 野に立ち、山に入り、木々や草々に触れ、風を感じて、きれいな文句やいいとこ取りではなく、汗や泥にまみれて、母なる地球を体感する時です。  この地球生命圏の命の基本を、長年の造園業、環境改善を通して、”陽通し、風通し、水通し”にあることを見い出した”杜の園芸”率いる矢野智徳氏が、その集大成として、山梨県上野原で、今春から”杜の学校”設立の準備を始めています。  上野原という日本のどこにでもあるような中山間地で、奥山から里山、そして都市部までの流域の風土の再生、すなわち、森や川やそこに生きる野の命、そこに暮らす人々の命の再生を目指しています。

高津戸ダーチャの杜について;



 近年増え続ける放置されて荒れた山林です。全体的に傾斜地で、最下部に落ち葉に埋もれた小川があります。




 現在一部を高田造園設計事務所の自然農園、樹木畑に利用しつつ、整備を始めています。
 整備にあたって、大地の水脈気脈という、最も根門的で大切な視点を矢野さんから実地にて学びます。
 この自然環境を美しく健全な形へと再生し、山小屋を建てて、近隣の方々や子供たちの自然体験の場、昔の生活体験の場として利用してゆくべく、モデルダーチャ用地として準備を始めております。



 高津戸ダーチャの杜、計画案です。10坪程度の山小屋は、造成したり地形を壊したりすることなく、そのまま傾斜地を活かして建てる予定です。



 ここを体験宿泊施設として貸出し、自然農や山の恵みを享受し、そして採暖、炊事、風呂は薪、トイレは山林内自家処理と、自然と共にあるかつての暮らしを体験していただきます。
 子供達には山のこと、生き物のこと、五感を通して自然とふれあい、ワクワクするような生活体験の場となることでしょう。



放置され、荒れて、不健全な状態にある山林が全国に増え続けている中、自然環境としての山の再生、大地の健康回復を学び、今後の日本の自然環境再生につなげることができればと思います。

 

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
雑木の庭1年目の手入れ講座 記録    平成26年10月6日

 10月4日に開催しました、雑木の庭1年目の手入れ実地講座の実況ユーチューブを昨日ブログで紹介いたしましたが、その続きがユーチューブ公開されました。
 
 自然環境を育成するということは、技術よりも、木々に対する姿勢、考え方、木々との対話の経験の積み重ねが不可欠です。
 単に剪定技術ばかりでなく、木々や庭と向き合う上で本当に大切なことを知っていただきたい、そんな想いでレクチャーさせていただきました。
 
 雑木の庭の手入れや育成に関心のある方は是非ご覧くださいませ。

再生は下記をクリックください。

雑木の庭 1年目の手入れ講座 その3 
  3分50秒

雑木の庭 1年目の手入れ講座 その4
    7分7秒

雑木の庭 1年目の手入れ講座 その5
    

雑木の庭 1年目の手入れ講座 その6   5分17秒

雑木の庭 1年目の手入れ講座 その7
   土壌改良編 4分44秒


 今回の動画を作成くださった藤井京子さんに感謝申し上げます。

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
自然環境としての庭の育成      平成26年10月5日

 昨日(10月4日)、地元の市民団体(NPOちば山)主催、「雑木の庭手入れ講習会」を開催しました。
 庭環境を、土、植物、空気、空間を含めて自然環境としてよい状態へと育ててゆくためには、正しいコンセプトに基づく適切な管理が必要です。
 そして、そのノウハウについて、これまで様々、書籍等のメディアを通して解説してまいりましたが、実際に字数制限のある書籍等で伝えきれる部分はほんのわずかです。

 今回、講座の様子を、聴講くださった方(藤井京子さん 千葉県いすみ市在住)が、その一部をユーチューブに投稿してくださいましたので、雑木の庭の手入れについて、興味のある方は下記よりご覧くださいませ。

雑木の庭の手入れ講座(その1)  平成26年10月4日 房総ドミノ千葉ハウス

http://www.youtube.com/watch?v=AD46jGBHsyk&feature=youtu.be


 なお、すでに続きもアップされております。私の解説が早口で分かりにくいかと思いますが、ご了承くださいませ。

 手入れにおいて大切なことは、それぞれの樹木をどう剪定するかという剪定技術ではなく、その庭が健康に生育し、自然環境として良好な状態へと再生されてゆくにはどうしたらよいか、そんな視点こそが必要です。
 
 

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