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雑木の庭つくり日記

住まいの環境をつくる、葉山にて。     平成25年11月3日


 神奈川県、葉山で進めているMさんの庭つくり、家周りの高木植栽後の様子です。
 


 樹高7mに達する雑木を家際に植えていきます。家屋のボリューム感に負けない植栽を期すことで、植栽直後でありながらもすでに住まいと木々とが一体感を持って、調和のとれた清らかな空気感を感じさせてくれます。

 庭つくりにあたり、お施主のMさんの要望は、
「とにかく人の手によって傷ついた土地を森に戻してゆくような、将来家が朽ちてもその後ここに森が残ってゆくような、そんな植栽してほしい。
 余計な構造物はできるだけ作らず、植栽だけで住環境を整えてほしい。」
 というものでした。

 そんなMさんの思想に共感を持って、そして私たちなりにお施主の想いを消化しようとしつつ、試行錯誤しながら木々を植え、空間を作ってゆくのです。
 そこに、お施主の心、住まれるご家族の心との真剣勝負があります。
 私たちの作る空間が、お施主家族の生涯の暮らしの舞台となるのですから、我々の仕事はいつも迷いの中で、真剣勝負で取り組むしかないのです。
 そして、そんな仕事の仕方の中に、我々の楽しみと喜びと生きがいを見出します。



 広い庭ですので、くる日もくる日もクレーン車で木を運び、植えてゆく作業を繰り返します。
 この地で木々が元気に育ってくれるよう、徹底的に土壌を改良しながらの、妥協なき仕事の場となり、その魂を庭の木々に注入してゆくのです。

 1日の仕事が終わると、木々が増え、家の見え方が変わります。1本ずつ、木を植える度に景色が変わる満足感。
 そして、この木々に守られて、ここに住まう家族の暮らしが心地よく営まれることを夢想します。

 いよいよ今週から庭としての仕上げの造作にかかります。






投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
木漏れ日の中の住まい       平成25年9月30日


 木柵やデッキ周りの造作を終えて先週から植栽にかかり始めた千葉県市原市の庭、朝日を浴びて高木の木漏れ日が家屋の壁面に映えて、植栽前とは住まいの景色ががらりと変わっていきます。



 木々越しに差し込む日差しが窓辺に枝葉の影を映し出します。



 そして今日、中低木の植栽が終了しました。
 大きな家屋の東面、植栽できる幅はわずか2m程度ですが、それだけあれば十分、森の中に佇むような住まいの雰囲気が実現できます。



平均樹高6m以上の高木群が、大きな家屋の存在感を和らげて空気を潤します。



 わずか数日前のこと、こうして殺風景だった植栽前の庭を見ると、住まいの空気感も環境をも、劇的に変えてしまう植栽の効果は何物にも代えられません。



 ここは昨日打ち合わせついでに訪れた東京世田谷の等々力渓谷。都区内の密集住宅地の中、このわずかに残った森が周辺一帯の住宅地を潤します。都会に点在する貴重な自然空間。
 こうした生き生きとした命を感じる空間の存在がその地域の空気感を大きく変えていきます。
そして人はそこでかけがえのない爽やかな空気を五感で吸い込み、いのちの活力を得るのでしょう。
 私たちが作る庭、住む人、そして通る人にそんな爽やかな命の息吹を日々与え続けていけるよう、そんな願いを込めて庭を作っています。

 







投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
地元県内の庭つくり過程 2件      平成25年9月24日


 久々に地元千葉県内での庭つくりが続きます。依頼があれば全国世界中どこでも行くというのが我々のモットーですが、やはり、地元県内での仕事は気が楽です。

 ブログの更新間隔がずいぶん空いてしまいました。まずは2週間前に竣工した千葉県木更津市に新規オープンする美容院エントランスの紹介です。
 写真はエントランス前の木立です。



施工前、潤いのなかった店舗正面が、、



こんな感じになりました。これから木々は成長し、2年後には木々のトンネルの奥のエントランスとなります。



 施工前のエントランス。建物だけでは空間は決して完成しません。



 植栽スペース確保のための土留めと、エントランスの木製ステップ設置完了。



 植栽仕上げ後。



 エントランスポーチから足元の表情。
 美しく、品よくすっきりとシンプルに。そんな美容室のテーマを外空間に表現してみました。



 そして先週からかかり始めたのが千葉県市原市、木造平屋の住まいの庭です。平屋と言えども大きな片屋根が立ち上がり、東庭に面した大きな壁面を見せます。
 
 やはり、ただ家が建つだけでは落ち着きません。



 外周の見切りとなる木柵つくりから工事を始めます。



 木柵のデザイン、色合い、素材共に、家屋の外壁のデザインに呼応させて、統一した空間を見切っていきます。



 木柵による見切りが完成すると、それまで何の変哲もなかった周囲の緑が存在感を持って景色に取り込まれてきます。
 この、周囲の緑を空間の広がりを感じさせてくれる借景として活かしながら、これから植栽してゆくのです。
 庭は敷地内だけでは完成しません。家屋、周囲の雰囲気、よいものを取り込み、あるいはよくないものを遮蔽しながら、その場でしか表せない空間を演出してゆくのが、住空間の造園というものではないかと思います。



 木柵が仕上がり、これから植栽はじめ、庭の造作にかかります。東に面した開口の多いこの家は、夏の午前中、強烈な熱気が窓を通して室内を熱してしまいます。
 横から差し込む夏の日差しを和らげて、森の中にいるような室内からの景を、植栽によって作ってゆくのです。



 そして今日、自社の植木畑で雑木の掘り取りです。庭の主木はなるべく自社で丹精込めて生産した雑木を用いたいものです。
 自分たちで時間と手間をかけて育てた木々には愛着があります。それを用いることで、その庭に対する我々つくり手の愛着も増すのです。



 自社の植木畑。ここではコナラ・クヌギ・モミジ・アカシデといった主木となる雑木を中心に育てています。



 畑の一角、今年の冬に1年生のコナラの苗木を密植したコーナーです。
 平均70センチ程度だった細い苗木が競争しながら伸びていき、半年経った今、背の高いもので2mに達しています。半年で1m以上伸長したことになります。
 これらの苗木たちは、間引きや植え替え作業を繰り返した後、4年後あたりから主木としてそれぞれのお客様の庭へと嫁ぎ始めることでしょう。

 自分で育てた木々を用いて、お客様の住空間を潤すというのは心地よいものです。



 現場近くの諏訪神社にて、スダジイの巨木を拝します。大人4~5人でやっと手が回るほどの大木です。
 一本で森を作ってしまうほどの巨木の神々しさ。
 
 ある造園家の先達が言いました。
「造園という仕事は、天職を超えた神職と言える仕事だ。神と人との橋渡しをするのが我々の仕事。」
 
 日々ささやかな仕事をこなすばかりの私にも、木々と相対していると、そんな言葉に納得させられます。木々の力は人を癒し、空間を潤し、そしてあらゆるものを浄化するようです。
 お客様の住環境にそんな木々に包まれた空間をこれからも造り続けていきます。

 
 






投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
お盆明けのご挨拶            平成25年8月18日
 例年以上の厳しい残暑が続いております。私たちも昨日より、お盆明けの通常業務を再開しております。
 お待たせしておりますお客様、暑さに負けずフル稼働で業務を進めてまいりますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。お問い合わせやご不明なことがございましたらいつでもご連絡くださいませ。

さて、涼風をお届けに、間もなく引渡しとなる湯河原温泉宿の庭、最近の写真をご紹介します。



リニューアルされた食事処 室内から、完成直後の庭を望む。



ロビーから。流れの水音が室内に響きます。



庭の回遊路より、流れの水源を望む。



 主庭を渡る小さな流れの表情。



玄関脇でお客様をお迎えする坪庭の佇まい。



もう一つの食堂から。
 庭は大方完成ですが、実際にこの庭が湯河原の自然になじみ溶け込む本当の完成は数年後です。
 その頃、蛍舞う庭の自然環境が見られることを願いつつ、最後の仕上げ作業に今週うかがいます。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
湯河原 温泉宿の庭 もう少し。    平成25年8月1日


 温泉宿、玄関ホールからみた庭の景。
 樹木植栽工事がようやく終了に近づき、そしてこれから細部の仕上げにかかります。



 主庭の骨格はもちろん、木々の合間を伝う流れの景。はるか山並みから清水が湧き出るように、借景を活かして最上流部が構成されました。



 完成後の流れには蛍が放たれます。来週から下草を植えて苔を張り、仕上げていきます。



流れの水音を聴きながら木々の合間を回遊し、露天風呂へと向かいます。



 
 例え温泉宿の庭と言えども、植栽したばかりのこの庭が、湯河原の自然風土に同化して木々本来の精気に包まれた空間へと昇華してゆくには、まだ最低2年程度の時間は必要です。
 それが風景を育てるということ、かといって、完成直後の景をおろそかにすることのないよう、力を抜きすぎてもいけません。

 その折り合いをどう見極めてゆくべきか、これからの自分の大きな課題です。
 

















投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
         
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