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雑木の庭つくり日記

いのちの森つくり植樹祭 なおび幼稚園より   平成25年3月7日



 東京都小平市、なおび幼稚園の雑木林植栽も、工事開始から一週間が経過し、ようやく大半が終了してきました。
 作業はいつも、子供たちが見つめる中で進めます。



 穴を掘って土を改良し、そして木々を植えてゆく。その様子を興味津々のまなざしで見つめる子供たち。



 とっても元気で人なつこい、なおび幼稚園の子供達。
 私たち造園工事のオジサンたちに、いつも気軽に近づいて、そして満面の笑顔を振りまいてくれます。



 芝生だけだった園庭に木々が植わることで空間の奥行きが感じられるようになります。



 なおび幼稚園では植栽工事の途中でも、木々が少しずつ植わってゆくたびに、子供たちを園庭に出して、移り変わってゆく雰囲気を感じさせています。



 そして今日はいよいよ、なおび幼稚園の植樹祭です。
200名の園児に加えて、平日にもかかわらず140人近くの父兄が集い、にぎやかで楽しげな雰囲気の中で、この日を迎えることができました。



 用意した苗木は、32種類1000本のポット苗です。
ここ小平市が位置する武蔵野台地の気候風土に適応する、土地本来の自然樹木です。



 広大な園庭の外周に竹を編んで土留めを巡らして、土を耕起し、改良し、そしてほっこらと盛り上げられたマウンドに、これから園児たちによって植樹がなされます。



 200人の子供たちと父兄を班分けして、そして一斉に子供たちによる植樹が始まります。



 ポット苗を手にして並ぶ子供達。



 植樹が進むにつれて、子供たちも要領を掴んでいきます。



 植樹指導のため、今回造園仲間が25名ほど、集まってくれました。
 子供たちと一緒に木を植える喜びは、私たち造園に携わる者にとって、かけがえのない大きな体験となります。



 子供も大人も夢中で木を植えていきます。
 木を植えるという行為は、老若男女を問わず、人を虜にするほどの魅力があります。
 こうしたイベントは、多くの人に木を植える喜び、森を育てる喜びを知っていただく貴重な機会になるのです。



 植えた木は、子供たちと同じく、これから年月をかけて成長し、そしてたくさんの生き物の命を育む森になるのです。



 小さな子供たちの200人力。1000本もの苗木が植え終わりました。小さな手で一生懸命植えてくれました。



 なおび幼稚園の子供たちと同様、この地に植えられた木々の子供達です。今は小さな苗ですが、これから先、この地で様々な厳しさに耐えて長生きし、そして将来大木となって、無限の恩恵をあまねく生き物に与え続ける可能性を秘めた木の子供達です。

 今日、一生懸命楽しそうに植えてくれた子供たちの心の中にも、この木々はしっかりと根付いてくれたことでしょう。



 なおび幼稚園、50周年記念植樹が、こうして多くの人の力と想いの結集の中で、無事終了しました。
 みんなで木を植えた後の充実感や爽快感は、何物にも代えることができません。

 たくさんの苗木を寄贈していただき、そして今日も大勢で植樹のサポートに来てくださった社会福祉法人進和学園の皆様、忙しい中、ボランティアで駆けつけてくれた大勢の造園仲間の皆様、この日の植樹を大盛況に導いてくれました父兄の皆様、そしてこんな素晴らしい機会を作ってくださった、なおび幼稚園の皆様に心からの感謝を申し上げます。 




投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
東京都小平市 なおび幼稚園の記念植栽  平成25年3月1日



 ここは東京都小平市、なおび幼稚園。
 武蔵野の面影点在する玉川上水のほとり、伸び伸びとした佇まいの幼稚園は今年で50周年を迎えます。
 このたび、幼稚園50周年の記念事業として、園庭改修のご依頼をいただき、週初めの火曜日から作業を開始いたしました。



 植栽前の地鎮祭には、200名の園児も全員参加です。
 土地の神様をみんなで祀り、そして土いじりの許可をいただきます。
「植えた木々は皆で代々大切に育てます。この土地を尊重し、感謝し、決して荒らすことはいたしません。」
 そんな思いで土地の神様に頭を下げます。
 
 春から夏の間は裸足で園庭を駆け回るなおび幼稚園の子供達です。
 しかし現状では、園庭や園舎周辺には、夏の日中に涼やかな木陰を落としてくれる木々がほとんどありません。
 今回の植栽改修によって、数年後にはこの園庭や園舎全体が、点在する木立が作り出す木漏れ日に包まれることでしょう。



 厳かに進行する地鎮祭。こうした場に園児全員が参加しています。かわいい子供たちの記憶の中に、この風景はどのように残ってゆくことでしょう。
 大人も子供も区別なく、ともに暮らし、そしてなんでも子供たちに体験させる。そして実体験の中から様々なことを学んでゆく、それがこのなおび幼稚園の方針なのです。



 芝生の園庭に、ここ武蔵野の暮らしの中でかつては身近にあったコナラやクヌギ、シラカシにシイノキ、ケヤキ、ソロノキにモミジなどを組み合わせて木立にまとめ、そして園庭に点在させていきます。

 こうした工事も、子供たちがいる開園時間に進めます。子供たちは毎日、木々が増えてゆく様子を興味深く見ています。
 どのように木が植わってゆくのか、どのように工事が進むのか、そして、近づいたら危ない、触ってはいけない、そんなことを実際に感じ学び取ってゆくのです。

 昨年、この工事の設計打ち合わせの際、私は園長先生にこう尋ねました。

「工事の際はクレーン車や重機車両が何台も入ります。園庭に木を植えるための大きな穴も掘ります。作業時間は子供たちがいる開園時間を外したほうがよいでしょうか。」
 
 私のそんな質問に対して、 園長先生の答えは明快でした。

「いいえ、子供たちがいる時間帯にぜひ、工事を進めてください。ここの子供達には、なんでも見せてなんでも体験させるようにしています。それがこの子たちにとっての大切な勉強になります。
 工事がどう進むのかとか、何をしたら邪魔になるとか、なにが危険なのかとか、そうしたことも実際に見ながら自分で感じ取ることが大切ですから。」

 納得です。共感です。
 興味津々な子供たちを感じながらの植栽は、作業する我々もとても楽しく、ついつい張り切り過ぎてしまいます。



 緩やかな起伏の芝生の中に重機を入れるわけにはいきません。園庭の中の植栽は手作業で進めます。
 長年にわたって木々が健康でいられるよう、固い土を深くまで掘リすすめ、大量の堆肥を漉き込みながらの植栽です。
 今後何代にもわたってこの地域の子供たちと共に過ごし、そして子供たちの健全な成長を見守る木々です。いつまでも健康でいられるよう、土壌改良と木々の性質に応じた配植に万全を尽くします。



 植栽は園舎際の落葉樹高木の植栽から始めます。この下に、シラカシやシイノキ、イヌシデなどの苗を補植し、ノシバでグランドをカバーします。
 今年の夏までにはしっかりと根付き、子供が木登りできるまでになることでしょう。
 この木々が夏の縁側に木陰を作り、そして葉音や木漏れ日を揺らします。木々は小鳥やセミなど、様々な生き物を呼び集めてくれます。
 身近に感じる生き物たち、そして生き生きと枝葉を広げる木々のありがたさ、そこで遊ぶ子供達の様子を想像しながら、広い園庭に一カ所、また一カ所と木立を増やしていきます。



 L字型の園舎のコーナー部分、高木が植わったところで、木々の下で今日はもち米をかまどで炊いて餅つきです。
 園長先生に事務長方々が威勢良い音を立てて餅をつく様子を園児が見守ります。
 ちなみに、園庭の木々はまだまだこれからたくさん植えていきます。



 園庭内や園舎周辺の雑木植栽の傍ら、広大な園庭の外周部分には、竹を編んだ土留めを回し、そして既存地盤を掘り返し、ひたすら堆肥を漉き込み、土壌を深くまで改良し、締め固められて劣化した地盤を、再び樹木が末永く健全に生育できるよう、条件を整えていきます。



  この園庭の外周部分には、サクラやケヤキの大木が点在しています。しかし、それらは踏圧や不適切な剪定によって軒並み傷んで、老木のような樹肌となっています。

 私が初めてこの幼稚園を訪れたのは昨年の9月、その時、園長先生は私にこう言いました。

「祖父が始めたこの幼稚園は来年で50周年を迎えます。この50年の間に、この辺りは全く変わってしまいました。
 昔は近くの雑木林で子供が遊んで、そして風呂を沸かすための小枝拾いも子供の仕事でした。森は子供たちの遊び場で、そこでいろんな生き物を知って、大切なことを学べました。
 今、子供たちが遊べる森も小川も、この地域には全くなくなりました。
 森の中で子供の頃の私たちが体験したことを今の子供たちに体験してもらいたい。木々があればいくらでも遊べるし、遊具など要りません。そんな植栽をお願いします。
 そして、この幼稚園は今、開園してから50年経ちましたので、この先、また50年経ったとき、『ああ、50周年の時に木々を植えてよかったな』と、そう思えるような植栽をしてください。」

 感動的な依頼でした。今現在のことだけでなく、50年後の将来を見据えた、未来のための植栽のご要望だったのです。

 木々は、そこにいのちとして芽生えた後、あるいはその地に植えられた後、年々成長を続けて幾世代にも渡ってその土地の環境を作り、そして子孫代々にまで恩恵を与え続けてくれます。
 本来木を植えるということは、そういうものでなければなりません。
未来の風景、未来の環境を作るのが私たち木を植える者の大切な使命なのです。

 50年後の風景をはるか仰ぎ見ると、外周に点在する傷んだケヤキやサクラは、今のままではおそらく残ることはないでしょう。
 そして、その後の100年、200年後を考えると、将来に永続する豊かな木々を今、この機会に育む必要を感じ、健全な外周林を造成することになりました。

 ここに、小平市の気候風土の元でかつて生育していた自然植生樹種を多数織り交ぜた、この土地らしい健全な外周林を育むべく、樹木苗を植栽します。
 もちろん今外周に存在する木々はそのまま生かし、そしてその下にも将来の更新用の苗木を植えてゆくのです。

 苗木の植栽は園児たちと一緒に行います。子供たちが植える苗木、園児たちが大人になる頃には、豊かな外周林が完成していることでしょう。大人になって再びその外周林を見たとき、子供たちは何を思うことでしょう。



 それにしてもこの幼稚園の子供たちはみんな生き生きとしていて、とても元気です。
 そんな子供たちの心の中に、今の時代忘れられがちな、とても大切な種を撒き続けてきた、このなおび幼稚園。
 この子たちのため、この地域の未来のために木を植える幸せをかみしめながら、職人総勢10数名でこの広い園庭の植栽を進めています。

 なおび幼稚園のサイトアドレスはコチラから。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
埼玉県草加市の庭づくり あと少し       平成25年2月20日



 1月にかかり始めた、埼玉県草加市、Kさんの庭つくり、入院による中断を挟んでようやく今週で植栽が完了します。



 正面の白い家がkさんの住まいです。そしてこの庭は、隣接する空き地をKさんが購入し、ここに2匹の老犬と共に楽しむ、木立の中のプライベート空間を作ります。
 木々の合間に無数の回遊路が巡り、庭を歩く中で様々に変化する景色を楽しめるよう、庭を構成しました。



 隣地を購入して庭とする、当然ながらその場合、家屋とその庭とのつながり方も同時に変えていかねばなりません。
 庭と家屋の繋がりがなければ、どんなに良い空間が隣接していても、それを豊かな暮らしづくりに生かしきることは決してできません。
 そのため、庭の工事と同時に、この空間に面したリビングの窓をくり抜き、掃き出し口を作っています。
 大切なことは屋外と室内を滑らかに繋げてゆくこと、それが庭を活かす大事なポイントとなります。



掃出し窓の切り欠き工事中、2匹の老犬がお行儀よく庭を眺めています。



 長年Kさんの家族と一時も離れることなく共に暮らしてきた2匹のラブラドール。年を取り、今は小さな段差も昇降できないほどに衰えたようです。
 もうどこにも連れていけない老犬に、せめて木々の中に憩い、この庭をゆっくりと自由に歩かせたい、そんなKさんご家族の想いが、この庭に結実します。



 街中の住宅地で70坪近い空間をすべて庭にするというのは、なかなかできることではありません。広い空間です。
 その外周には、シイ、タブ、カシなどの常緑広葉樹を中心とした苗木を混植し、これから豊かな外周林を育て上げていきます。
 この庭は、おそらく6年後くらいには樹高5mの自然植生の樹林帯に囲まれることでしょう。
 庭が育つということ、それはそこに住む家族にとっての大きな楽しみになり、そして未来に向けた大きな希望となることでしょう。
 庭はできたときが完成ではありません。家族と共に成長し、変化してゆく楽しみと感動、木々と共に生きる実感を家族共有の風景としてほしい、そんな願いを込めて、苗木による外周林育成を今回試みさせていただきました。
 成長する木々は、未来の風景を作ります。私たちは未来の風景を想像しながら植栽していくことが大切だと考えています。

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
埼玉県草加市 工事再開です。      平成25年2月7日



 入院を挟み、20日ぶりに現場復帰いたしました。植栽です。久々の現場、リハビリ中の体ではまだ、実際の作業はあまりできないのですが、それでも現場に立つだけで、この上ない幸せを感じます。

 埼玉県草加市、Kさんの家に隣接する空き地60坪程度を取得し、この敷地全体を雑木林の林床空間にしてゆくのです。
 Kさんご夫妻は、長年家族とと主に暮らしてきた2匹の老犬と、この雑木のプライベート空間を共に楽しむことを夢見て、雑木林つくりを私にご依頼くださいました。



今日、植栽開始です。水はけの非常に悪い土地のため、土壌改良と客土に時間と手間を要します。
 しかし、土壌条件は木々の健康のための最も基本的な条件となりますので、しっかりと必要なだけの改良を妥協なく行います。
 庭の木々は末永く健康でなければなりません。健康な木々が、そこに住む家族に元気と活力を与えてくれるのですから。

 今日植栽したのは、まだ庭全体のほんの一角、10坪に満たないスペースですが、ここだけで黒土や腐葉土20㎥にバーク堆肥4㎥も要しました。
 木々がいつまでも元気に育つためには、ここが肝心です。

 さて、明日も土を運び、木を運び、植栽の続きです。

 病み上がりの右足は、半日も現場に立ち続けるとたちまちまた腫れ上がってしまうため、午後には引き上げないといけません。
 現場で座っていればよいのですが、いざ植栽が始まると痛みも忘れてどうしても動いてしまう自分をどうにもできません・・。

 でも、また木を植える幸せ、庭に立つ喜び、いつまでもこの仕事を続けるために、健康であり続けたいと思います。

 
投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
鹿児島県姶良市「雑木林と八つの家」植栽第三弾 平成24年12月10日



 ここは鹿児島県姶良市、日豊本線姶良駅から徒歩5分の分譲住宅地、「雑木林と八つの家」分譲区画です。
 30代40代の子育て世代の普通の家族が、利便性の良い駅前に暮らしながら、なおかつ豊かな自然と豊かなコミュニティを普通に享受してもらいたい、そしてそれが美しく自然豊かな街づくりに繋がってゆくことを夢見て、私たちはまた、この地に集結しました。

 八つの住宅分譲区画にようやく、3つ目の家屋が建ちました。そして先週、その植栽のため、再びこの地を訪れました。
 どんな住まいも木々がなければ景色になりません。無機質な材料だけで作った建物だけの景色というものはそういうものなのでしょう。
 だからこそ、家屋を美しくうるおす植栽によって町全体をつなげてゆくことが、暮らしの環境、ふるさとの街を、末永く愛されるものにしてゆくために最も大切なことなのでしょう。



 すでに植栽が終了した分譲地内の別の家屋。ここは今年の5月の植栽なので、植栽後半年が経過しました。
 本来、木々の佇まいがよくなるのはこれからなのですが、すでに落ち着いた様相を奏で始めています。



 道路に張り出すように植栽した雑木の木立。この木々が夏の通りを木陰にしてくれるだけでなく、木々の風景が町の景色と繋がって、街全体の環境をあらゆる面で改善してゆくのです。



 半年前に植栽した木立の下には今は苔がびっしりと生えていました。この苔の存在が、雑草の繁茂や表土の乾燥を抑え、そして見た目にもしっとりとした落ち着きを感じさせてくれるのです。
 植栽の際、足元に苔が生育しやすいように表土の仕上げをしているのですが、それでも半年でこれほどの苔で覆われることはなかなかありません。
 高温多雨の鹿児島の風土も、苔の生育に適しているのでしょうが、それだけでは半年でここまでにはなりません。
 この美しい表土は、毎日の水遣りや掃除、除草など、日頃この植栽地を管理されてきた方々の、心こもった作業の結果と言えるでしょう。
 毎日のように灌水し、掃除していなければ、半年でここまで美しい苔で覆われることはあり得なかったことでしょう。

 この、すでに売却済みの分譲区画の木々の水遣りや掃除を半年間、無償でやり続けた人たちがいます。
 「雑木林と八つの家」を企画し、この土地を区画分譲した地元の開発会社、姶良土地開発有限会社の若い方々です。
 彼らは交代で、朝に夕にこの分譲地に足を運び、そして植えたばかりの木々のために、日課のように水遣りや掃除、除草をやり続けたのです。
 すべては、この分譲地を美しい街にするための奉仕の作業なのです。

 全国を探しても、どこにそんな不動産会社があるでしょうか。全国のどこに、それ程の木々に対する慈しみの心で行動される不動産屋さんの社員たちがいるでしょう。

 苔に覆われた地面を見ながら、彼らの木々への慈しみの心、この街に住む方々への本心からの想いに感じ入り、感動と共に、改めてとても大切なことを教えてもらいました。
 こんな不動産屋さんが日本中にいれば、日本はどれほど美しく住みよい街になることでしょう。
 木々を植える私たちも彼らに学び、もっともっと心を引き締めないといけない、そんなことを感じさせられた光景でした。



 日程差し迫った師走の作業、1日で植栽を終わらせるべく、総勢10人以上で猛烈な勢いで植栽作業を進めていきます。



 木々が大方植わりました。このスペースは、木立の間の駐車スペースとなります。駐車場の造成や隣地との見切りの柵は植栽の後に行います。
 大切なことは住まいを美しく快適にするための適切な植栽配置であって、その合間に駐車場や玄関アプローチ、庭空間を配してゆくのです。
 もっとも大切なのは適切な植栽配置なのです。
 敷地の全体にまばらに木々を植えるのではなく、植栽はあくまでポイントを絞って凝縮し、効果的な場所に点在させてゆくのです。
 よい住空間を作り出すために最も大切なのが、この植栽スペースの配置なのです。



 これは、私が現地にうかがう前日の作業風景です。(写真提供、加治木桂子さん)
 住空間を活かすために大切な植栽配置を決めて、あらかじめ植栽予定地を掘っているのは、熊本県阿蘇市、グリーンライフコガの古閑英稔君です。
 今回、前日の作業である植栽配置の決定とその床掘り作業は彼が担いました。
 28歳の若さながら、驚くほどの的確な位置にきちんと穴が掘られていたのです。

 「好きこそものの上手なれ」とはよく言ったものです。昇り竜のように目覚ましい成長を見せる若者のモチベーションとは、どこから来るのでしょう。まっすぐに前進する彼のような若者に接していると、私たちもまたエネルギーをもらいます。



 植栽が大方終了し、表土の仕上げ作業にかかります。
 すでに葉を落とした雑木の木々ですが、圧倒的なボリュームの植栽です。



 木々の根元は土を叩き締めて、掃除しやすく苔の乗りやすい状態を作ります。つまり、植栽仕上げ後の現時点が完成ではなく、その後木々が生長し苔が乗ってくるにつれて雰囲気も快適さも増してゆくよう、作り過ぎずに仕上げてゆくのです。



 夕方、今回の植栽は終了しました。
家が建ち、また木々が町の景色を繋げていきます。作業を終えたみんなは、いつまでも現場を離れられずにたたずみます。この街つくりや木々が作り出す未来の景色に夢を馳せます。

 私たちは、また、それぞれの故郷の帰ります。この地にこの木々を残し、また次の植栽の時の再会を楽しみに、帰路に向かいます。
 植えたばかりのこの木々は、地元の姶良土地開発の方々が大切に面倒を見てくれるという安心感。
 木々の命を介した信頼関係は何ものにも代えられず、絶対の信頼が醸成されていきます。

 この街に植えられた木々をこれほど大切にしてくれる人たちがいる。この心が日本中に広がっていけば、、、、そう思わずにはいられません。

 春の植栽以降、毎日欠かさず無償で水遣りなどの世話をしてくださった、姶良土地開発有限会社の町田尚紀さんのメールを抜粋して下記に紹介したいと思います。

『  (前文略)
 夏の夕暮れ時は、文明さん、姉、私でローテーションを組み毎日木々に水やりをしました。これは大変貴重な体験でした。
 人は心地良い環境に集い、そして暮らしが生まれ、皆の想いが重なり良いまちを造る。木を育てるようにじっくりと時間をかけて造りあげてこそなんだと、身をもって気付かせてくれました。
 水やりはとても楽しいんです。水をやり続け新芽が吹いてきた時の喜び。どんぐり拾いに一生懸命な子供たちと、盛り上がる親達の井戸端会議。
 「良く根付いたわね」 「これは何て木?」 そんな何気ない会話。これまでの宅地造成では見られない風景が沢山生まれているのを感じます。
ここが完成する時を思うとワクワクしてきます。』

これが、新たな街の提案「雑木林と八つの家」を企画分譲している姶良土地開発有限会社社員のコメントです。
 日本のどこにこんな素晴らしい土地開発会社があるでしょうか。この心が全国に広まっていきますように・・・。そして日本中の街が子供達にも優しい自然豊かなものになりますように・・。
 こんな素晴らしい方々と共に仕事できる喜びと感動を、誰に伝えたらよいのでしょう。

 次回は3か月後、2月の植栽を予定しています。 このプロジェクトを見守ってくださる方々に心からの感謝を申し上げます。


 
 
投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
         
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