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雑木の庭つくり日記

千葉県佐倉市の庭 奥庭の植栽    平成23年10月27日
 昨年から取りかかっている千葉県佐倉市Aさんの庭の改修工事、今週は奥庭の樹木植栽です。



 広大な敷地の既存の木々を掘りとって移植し、新たな庭のスペースを作りだしていきます。



 そして、新たに植栽する木々は、高さ6m以上の雑木を主木として構成していきます。



 奥庭の一角です。高木の植栽が終了しました。



 2階窓に面して、正面にマンションの窓が向かい合っています。近景の雑木の幹枝が、その視線を緩和してくれるのです。



まさに今日、植栽したばかりの木立です。
 住環境を潤す植栽は、2階窓の視界を想定して配してゆくことで、家全体を心地よい空間へと改善してゆくことができます。



 高木植栽終了後。樹木越しの住まいの表情。
 木々が作りだす空間の明暗が、家屋を見違えるほど美しく引き立ててくれます。

 私の作る庭は単純明快、暮らしの環境を改善することに尽きます。そこに住むご家族が日々、木々と共に暮らす幸せを実感していただけることが、この仕事の大きなモチベーションと何ものにも代えがたい私たちの生甲斐になります。
 生甲斐を感じながら仕事できることに、この上ない幸せを実感します。
木を植えるという仕事、今はこれ以上の幸せな仕事は、私には思い浮かびません。
 



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
真鶴 柏 佐倉 流山・・・そしてちば山    平成23年10月1日
 今年もあっというまに神無月に入りました。そしてまた、怒涛の1週間が過ぎ去りました。
相変わらず忙しく過ぎ去る日々に充実感を感じながら、今週もあちこち駆け回り、我がことながら、よくもまあ動いたなあと、感心半分、呆れます。
 しかしこうして日々、やるべき仕事を与えていただけるのは本当にありがたいことです。



 神奈川県真鶴半島での庭造りが再開しました。お施主のTさんの敷地からの風景です。海を見下ろす丘の中腹に、Tさんの家があります。
 絶好のロケーション、そしてその広大な敷地をこの土地や風土にふさわしい形で、整備していきます。
 この地に調和して、そしてこのすばらしい風景を更に引き立てるべく、私の造園人生をかけて取り組みます。



 そして今週は、千葉県柏市の造園改修工事も終了しました。40年近く前に建てられた入母屋造りの家屋、お施主のMさんは昨年、この家屋を現代の生活にふさわしい形でリフォームされました。
 この家屋を改修して住み繋ぐことをMさんに提案したのは、考房建築設計事務所の小堀清美さんたちでした。
 小堀さんに会うまでは、Mさんは古い入母屋民家を壊して、新たに家屋を新築することを考えていたと言います。
 Mさんから建て直しの相談を受けた小堀さんは、その入母屋家屋を初めて見た際、開口一番、「これを壊すんですか?もったいないですよ。」と言われました。
 そして、Mさんご家族も、そんな小堀さんの情熱と提案を受け止められて、この入母屋造りの家屋を改修して住み繋ぐことを決心されたのでした。

 スクラップ&ビルドが当たり前となったのが最近の日本の住宅といわれる中、折角世界の公用語となった「モッタイナイ」という思想、その素晴らしいアイデンティティを、いまこそ私たち日本人自身が見直して、子供たちが希望を持てる未来への扉へと繋げていきたいものです。



 改修された家の中から、出来上がったばかりの庭を見ます。入母屋の外観からは想像できないほどの、暮らしやすさと明るい室内、そして窓を通して庭と部屋とが心地よく一体化しようとしています。



 モダンに改修された和室から見たデッキ越しの庭の風景です。日差しが差し込むと、デッキに木漏れ日が心地よく揺らぎます。



 玄関脇から木立ち越しに主庭を望みます。
木立のフレームによって、庭の奥行きが強調されます。



 明るく広々とした庭に生まれ変わりました。現代に新たな命を吹き込まれたこの家屋にふさわしい庭を目指しました。満足できる仕上がりです。



 植えたばかりの木々ですが、この大きな家屋になじんでいるようです。
木を植えることで家屋が幾倍にも美しく引き立って見えてきます。



 デッキに落ちる日差しも柔らかく、景色の深みと時間や季節の移ろいを感じさせてくれます。



 建築と造園が心一つにして、ここに素晴らしい住空間を作ることができたと思います。
 小堀さん、お施主のMさん、どうもありがとうございました。



 そして、千葉県佐倉市で進行中の再生民家の庭造りも、再開しました。再生民家は完成し、新しく建てられたとは思えない姿に復元されました。

 左のおじさんが大工棟梁、川上徳房氏です。古材を自由自在に使いこなして、素晴らしい日本家屋を何気なく作ってしまう川上さんのような大工も、これからはますます少なくなってしまうかもしれません。
 今後の日本が失ってはいけない大切なものはたくさんありすぎます。



 再生民家の室内の様子。今となっては貴重な日本間は、心の底からくつろげる温かみを感じます。



 床の間も書院窓も天井も欄間も、もとの民家のものを再生利用して、美しくコンパクトにまとめられました。



 そして、キッチンだけはちょっとモダンに構成されました。
 家屋の再生は、単なる復原であってはならないと思います。今の時代、今の暮らしの感覚を受け入れる形へと昇華させてゆくことで、新たな時を刻む家屋の命が宿るように思います。

 素晴らしい民家再生がなされました。



 解体した大きな入母屋民家の古材は、まだまだたくさん残っていますので、その材料を使って今度は、敷地の一角に洗濯小屋を建て始めました。



 古民家は、素晴らしい古材の宝庫です。味のある洗濯小屋になりそうです。

 

 そして今日、打ち合わせに訪ねたのは、千葉県流山市、江戸川大学総合福祉専門学校です。
学校の敷地全体を使って、この土地の風土に溶け込む雑木林の中の学校へと改修すべく、造園計画を進めていきます。来年度に渡る長期計画です。

 風土の自然を再生して、その中に学校があり街がある。そんな日本の街のあり方が、いまや現実なものとなりつつあります。

 今週は、NPO法人ちば山の会議にも初めて参加させていただきました。
 ちば山とは、簡単にいえば千葉の里山を愛し活かしていこうとする人たちの集まりです。

 「ちば山会議」と言うと、森の中で夜な夜なタヌキやクマやリスなど、森の動物たちが集まって会議している様子を連想させられます。

 実際に参加して、そんな森の動物たちの集まりに近い雰囲気を感じました。
 材木屋さんに工務店、設計者、週末ファーマー、林業家にそして私のような雑木の庭師が集まって、千葉の山をどう活性化していこうか、いろいろお話しました。

 会議の中で、こんな話がありました。

「今調べてみたら、『木漏れ日』に相当する英語はないようです。
 木漏れ日を心地よいものに感じるのは日本人独特の自然に対する感性のようです。
 『モッタイナイ』が世界の公用語になったように、『木漏れ日』という言葉も、その感性も、これから世界の公用語になる可能性があると思います。」

 これからの世界、日本人はその素晴らしいポテンシャルを持続可能な社会の再生に向けて活かしていかねばならないと、改めて感じさせられた1週間となりました。
 
 
投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
千葉県柏市の庭 樹木植栽終了   平成23年9月24日
 今週初めに植栽にかかり始めた千葉県柏市の庭、今日で樹木植栽が終了しました。



 台風直撃にも負けず、木々は力強くこの土地になじもうとしています。家屋の見栄えが植栽前と比べると見違えます。



家際の木立がデッキに木漏れ日を映します。



 雑木の植栽のポイントは、家の外観を樹木越しにどう見せてゆくかといった視点が大切になります。



 植栽前には主張が強く目立ち過ぎた石組も、木立の下に落ち着くと、それがこの庭のアクセントとして生きてきます。



樹木越しに見る家屋は、立体感が感じられます。どんな家屋も、木があって初めて、落ち着いた景色に溶け込みます。



 住環境の価値は木々によって倍増するように思います。
 この庭も来週には完成です。
 



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
千葉県柏市の庭 植栽開始     平成23年9月20日

 先週に取りかかり始めた千葉県柏市の庭、今日から植栽開始です。



 この日は3トン積載トラックで山もり3台分の木々を運び込み、植え付けました。
主木となるのは、高さ5m以上のコナラやソロ、モミジなどの雑木類です。木々越しに、家屋の見え方が変わってきます。



 木立によって、空間の見え方が変わってくると同時に、清涼な空気感も感じられるようになります。
 空間に何もなければその広がりも感じ取ることができません。木々によって空間が見え隠れすることによって、広がりも奥行きも知覚されるようになるのです。



 ボリュームのある巨石の石組も、樹木が入ると空間の中に落ち着いてきます。
全てを調和させるのが植栽の力だと言えるでしょう。



 木立がつくる空間。木々の間に空間が伝います。

 植栽によって空間をつぶさず、なおかつ独特の空気感と雰囲気を生みだしてゆくことが、雑木の空間作りの妙味ではないかと思います。




投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
千葉県柏市の庭 改修工事    平成23年9月16日
 入母屋家屋をリフォームされた千葉県柏市Mさんの造園工事、1年近くお待ちいただいての着工となりました。
 工事にかかり始めて今日で4日目です。先ずは既存の庭の解体から始まりました。



 千葉県内に普通に見られた入母屋造りのしっかりした家屋も、最近は次々と姿を消して、新たにつくられることはほとんどありません。
 Mさんは2年前、この入母屋家屋を暮らしやすいようにリフォームされました。
 かつての立派な家屋の素材や構造の良さや外観の良さを活かして、内装や部屋の間取り、建具などを中心に、今の暮らしに使いやすいようにリフォームして住み繋ぐこと、それは日本の住まいのあり方として、今後ますます大切なものとなることでしょう。
 歴史と文化を活かした住まい、土地への愛着といったものが、こうしたことから始まります。
 
 数年前、ロシアサンクトペテルブルグ市を訪ねた際、建物の外観を変えずにリフォームしながら何百年も住み繋ぐという街の暮らしの在り方を思い出しました。
 街の風景と記憶を繋いでゆく中でこそ、その土地の文化的な暮らしや、郷土に対する誇りや愛も育まれます。
 建てては壊し、そしてまた建てるという、日本の異常な住宅や街の在り方を見直すべき時期に来ている気がします。



 長年この地に根ざしてこられたMさんの広大な庭を解体して、空間を掘りだしていきます。
既存の樹木や石は極力再生して使っていきます。
 処分してしまうのは簡単なことですが、もともとそこにあったものを使い繋ぎつつ、全く新たな空間をつくりだすことが、改修の際に私たちが心掛けるべき大切なことだと思います。



 広い庭に散らばっていた巨石を一か所にまとめて石組みし、庭の重心の景を整えていきます。



 1石で2tから3tもある巨石を組んで、水鉢を中心とした景色にまとめます。存在感のある石組みですが、広い庭ではこのくらいの力の集約によって、植栽の後にメリハリのある景色を生みだすことができるのです。



 既存の庭の解体後、緑のないむき出しの家屋。どんな家屋も緑がないとさびしいものです。
 来週にはこの庭の植栽が終わります。その時、木々の向こうに潤いあふれる美しい家屋の景色が誕生するのです。
 



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