千葉県佐倉市 古民家再生の庭 平成23年7月21日
今まさに新築中のこの家屋を見て、普通どう思うでしょうか。古き良き、懐かしい民家だなと思うのではないでしょうか。
これが新築ホヤホヤの家屋だとは、誰も思わないことでしょう。
しかし実際に、この入母屋民家は、現在新築中の家屋なのです。
この17坪平屋の入母屋家屋、その材料は、もともとこの地に建っていた、築40年、70坪の2階建て入母屋民家を解体した材料をとことん使い、家屋を再生したのです。
建具もほぼ全て、古民家の建具を再生利用しました。部屋があり、広縁はあり、下屋の庇が張り出して、そして外の庭へと、室内と屋外が穏やかに繋がるかつての民家。
今、ここに貴重な民家が再生されつつあります。
ダイニングスペースはちょっとモダンな仕上げを目指しております。今日は漆喰壁の下地を塗り始めたところです。
ダイニング天井の化粧梁は、千葉県内で2年前に解体された築150年の萱ぶき民家の古材を用いました。
古き良き日本の建築。
かつての日本建築は、取り解いた材料を何度となく再生利用し、素材の命を大切に使い続けてきたようです。
家屋の命が受け継がれる喜び、今はなかなか味わえないことです。
さて、造園工事はこれからです。力みなぎるのを感じます。
雑木の庭の改修工事2件 平成23年7月12日
よくも飽きずにつくり続けてきたものだと思います。
実際に、私の庭つくりは飽きることがありません。
自分の庭は日進月歩で変化してきます。我々凡人は、日々の努力と好奇心で自分の道を深めてゆくしかないのでしょう。
数年前、自分が精魂込めてつくった庭を今見ると、「今ならこうするのになあ。」と、反省点が必ず出てきます。
私はそれを素直にお客様に言います。お金をもらって庭をつくらせていただいたのに、自分の未熟ゆえ、こうして反省点があるというのも申し訳ないのですが、その時の全力を尽くした結果がその庭なので仕方ないと思います。
今週は病み上がりの体を押して、数年前に私がつくった庭を2件ほど、改修しました。
8年前に造ったこの庭、樹木を育てながら、植栽配置のまずい部分を植え直ししました。
ウッドデッキ手前の木立が今回の植栽です。
千葉市中央区Iさんの庭です。
8年の年月を経て、今やウッドデッキの上まで、涼しげな夏の木陰が広がっています。
ウッドデッキを切り欠いて新たに植えた手前の木立のおかげで庭全体が心地よい木々の下の空間となりました。
夏の日差しを緩和して、逆光に輝く緑が美しく、これでようやくこの庭が完成した気がします。
そしてここは、千葉市緑区Iさんの庭、植栽改修後です。この庭にしては大きすぎた壁泉を撤去し、小さな水鉢を据えて植栽しなおしました。
主庭奥の木立は、植え付け後4年の歳月を経て、自然な風情を増しています。
木立の合間に佇むデッキの表情。デッキ手前の植栽は今回の改修です。
家屋北側の駐車スペース。デッドスペースに植栽した木々のおかげで、夏の間は1日中木陰となります。わずかな面積で大きな木陰をつくることができるのが雑木の庭のメリットです。
2件とも、今の私の庭に生まれ変わりました。今後も私の庭は変わり続けてゆくのかもしれません。
千葉県鴨川市T氏邸の庭、完成 平成23年6月22日
久々の晴天、4月初旬にかかり始めた千葉県鴨川市、Tさんの庭が本日完成しました。
完成直後の玄関前の表情。素晴らしいロケーションだからこそ、その良さを美しい住環境つくりに取り込むような造園設計が大切です。
良い佇まいが生まれました。
玄関アプローチ、足元の表情。階段の蹴上には、地元南房総でかつて切り出していた房州石の古材を用いました。シダなどの下草は敷地に隣接する森の中から採取し、植え付けました。
玄関アプローチの先、玄関扉の内側にはこの光景。Tさんご夫妻の並々ならぬセンスと気品を感じる空間です。
玄関ポーチ脇、雨樋の水を受ける水鉢周辺の造形。
こじんまりと美しく、潤い豊かに景色をまとめました。
駐車スペース側からみた家屋の表情。どっしりと積んだ石積みと柔らかな雑木のボリュームが豊かな空間を造ってくれました。
駐車スペース脇の景。
石積み下の小道から見上げた家屋の表情。
我ながら、、見とれてしまうほど、、、とてもよい景色です。
家屋勝手口側から見下ろす。近景のまばらな雑木の幹が、遠景の山並みの景を引き立てています。
石垣沿いの小道、この土地に新たな心地よい景色が誕生しました。
これから何十年、あるいはもっと長い間、この景色がここを訪れる人たちを和ましてくれたら、と思います。
そして、この庭造りの締めくくりは、Tさんこと、お施主であるジャーナリスト高野孟氏の表札の取り付けです。
表札の文字はTさん直筆で、殷文字で「孟」という字体が表現されています。子供が万歳しているようなユーモラスな表札が、RCの門柱に収まりました。
完成後、表札の前で記念撮影です。隠れミーハーの私が、Tさんこと高野孟氏にお願いして、一緒に写真を撮らせていただきました。
Tさんに庭造りのご依頼いただいたのは昨年の春ですので、1年越しの庭の完成ということになります。。工事着工まで大変長い間お待たせした上に、工事期間中もいろいろな事情でずいぶんと中断させていただきました。
当社の震災復興支援活動と重なったこともあり、長い時は1カ月近くも造園工事を中断していたのにも関わらず、Tさんご夫妻はいつも快く、私たちにとても温かな御心遣いを下さいました。
そんなTさんご夫妻のとても温かでおおらかなお心に打たれ、感動し、そのおかげで私たちは最後まで集中力を切らすことなく、最高の造園ができたと思います。
感謝の思いが今も続きます。こうした尊敬すべきお客様方々のおかげで、私たちは成長させていただける気がします。
今後、この庭は周囲の自然に同化してゆくことでしょう。その過程を見届ける楽しみ、造園は本当に楽しみ溢れる仕事です。
お施主様、長い間本当にありがとうございました。今後とも末長く、よろしくお願いいたします。
カフェ どんぐりの木 開店しました。 平成23年6月16日
庭は、オープンの1時間前に完成しました。。。
植えたばかりの木々ですが、植栽越しにこのカフェがなじみ、溶け込んで見えます。
2列の枕木は臨時駐車場となります。主庭の広場と一体化し、庭の一部として溶け込んでゆくよう、工夫しました。
道路側から見た、主庭広場の様子。枕木の駐車スペースの他、洗い出し舗装部分は駐輪スペースとなります。
こうした生活上の必須のスペースも、樹木の合間に、よい佇まいに感じられるよう、一つ一つ収めてゆくことで、家と庭を含めて敷地全体を違和感なく、美しくまとめることができます。
渡り廊下のような玄関アプローチ。木材には足触りの柔らかな杉の赤身を用いています。
玄関前から、庭側を見る。潤い豊かな光景が生まれました。
玄関アプローチの外側から見たカフェの全景。都会の幹線道路沿いに突如として出現した森の中のカフェといったところです。
このカフェに安らぎに来た方々が、木々の精気を感じながら、どんなことを思ってくれることでしょう。
これからこの庭は、この街の歴史、このカフェの歴史を共に刻んでゆくことでしょう。感慨深い庭ができました。今後の成長を見守っていきたいと思います。
オーナーのSさん、好き放題に庭造りを楽しませていただき、どうもありがとうございました。
このカフェが地域の方々にとって、とても有意義なものとして育ってゆくことをお祈り申し上げます。
カフェ どんぐりの木 植栽開始 平成23年6月10日
5月の連休にかかり始めた地元のコミュニティカフェ、どんぐりの木、本日ようやく植栽工事にかかり始めました。
幹線道路に面した小さな庭ですが、ここに小さなどんぐりの森が生まれつつあります。
玄関アプローチの手すりはコナラの幹を使っています。
樹木が入ると、この玄関アプローチも違和感なく雑木林の雰囲気の中に溶け込んできます。
窓際の雑木越しのカフェの佇まい。
自然樹木越しに見ると、新築ホヤホヤのこの建屋も、実に落ち着いて見えます。
今日は高木、中高木、中木までの植栽がほぼ終了し、外空間の骨格が見えてきました。嬉しい瞬間です。
1日の仕事を終えて、現場掃除に励んでいるのは、熊本からはるばる当社に雑木の住空間作りの研修に来ている古閑くんです。
彼は熊本県阿蘇市の雑木の住空間作庭者、株式会社グリーンライフコガ代表の古閑勝則さんの長男26歳です。
庭仕事が楽しくてしょうがないオーラがあふれる、熱心な若者です。
自分の仕事に本当の意味での生きがいを見出し、全力投球して価値のある人生を歩める人は、もしかしたらまだ少数派なのかもしれません。でも、そんなまっすぐな生き方はよい精神を育み、よい思考、よい想念を育むことと思います。
がむしゃらに生きて、仕事に生きがいを感じて一心不乱に取り組む若者たち、こうした若者たちに夢を与えられる社会作りの一員となりたいものです。