HOME>雑木の庭の維持管理
なぜその木が弱っているのか、その原因を取り除いて木を健康にすることが大切なのです。
弱肉強食の自然界では、競争に負けた樹木やその場に適応できなかった樹木が集中的に病虫害の攻撃にさらされて枯れていきます。これは自然林の不変のシステムでして、競争の中で生き抜いている健康な樹木は、病虫害に対しても自ら勝ち抜いていきます。
樹木の生命に影響するほどの病害虫の大発生が起こる場合、それは庭の生態系からの警告と考えて、樹木が健康でいられない原因を改善していくことが大切です。
病虫害対策を考えるとき、こうした病虫害によって木が弱るわけではなく、木が弱っているから病虫害の甚大な被害にさらされるわけで、なぜその木が弱っているのか、その原因を取り除いて木を健康にすることが大切なのです。
すなわち、土の状態、光や風、水はけ、微気候環境、隣接植物との相性、土壌や葉面に共生する微生物の状態、さらには大気汚染の度合いを含めて、その木が適応できる環境条件であるかどうか、それを考えて、改善することが何よりも大切です。
木々の健康を守るためには、庭を取り巻く生態系を豊かに保つことが大切です。
化学農薬は病虫害だけでなく、有用菌や微生物、病害虫を食べてくれる益虫まで殺傷してしまうため、その使用は極力避けねばなりません。
また、病害虫は農薬散布によって薬剤に対する耐性を獲得していきます。特にアブラムシやカイガラムシ、ハダニなど、最近は従来の希釈濃度の農薬では全滅させることはできなくなってきました。生き残った病原菌や害虫はさらなる耐性を獲得していくのです。これに対処するため、さらに強い農薬をまくという悪循環の中で、薬漬けの樹木はますます弱っていきます。
そもそも数百年という寿命を生き抜く樹木は、健康であれば多少の病虫害の被害など日常茶飯事なことで、それ自体は大したことではないのです。樹木の生命に影響するほどの病害虫の大発生が起こる場合、それは庭の生態系からの警告と考えて、樹木が健康でいられない原因を改善していくことが大切です。