| 手入れの時期について |
手入れの時期について
樹木は本来、剪定されることを望んでいません。
人為的に剪定するということは、木はその際に、枝を落とすことに対して生理的に対処するための準備期間を与えられることがないため、木に対して多少のストレスを与えることを避けることはできません。
手入れは時期的に木の生理的サイクルに従って行うことで、なるべく木へのダメージを減らすようにするのです。
木の生理と効果的な剪定目的の達成との両立を図るため、私たちは以下の通り、5月中旬から6月中旬と、11月後半から1月いっぱいくらいまでの、年2回に分けた手入れを薦めています。
5月中旬、新葉の生長が一段落し、落葉樹の葉はすっかり充実してきます。そしてその後9月くらいまでの間が、樹木が旺盛に太り、伸長する時期になります。
葉が充実してこれから幹枝の生長を始めるという5月から6月くらいの間に枝葉を透かすことで、効果的に成長を抑制するだけでなく、暗くなりがち夏の林床に木漏れ日を届けるようにします。
ただし、この時期の手入れではすでに樹木は旺盛に生命活動を行っている上、樹木を犯す害虫や雑菌の活動も盛んなため、太い枝を切り詰めることは樹木にとって大きなストレスとなるため、なるべく避けます。ただし、これも一概に言えることではなく、生命力の旺盛な個体は病虫害に対しても自ら抵抗力を持っているため、木の状態次第では多少のストレスには十分に対応できるものです。
木は生き物ですので、あまり過保護に考えすぎず、状態を把握しながら効果的な剪定を心がけることが大切です。
11月下旬から1月いっぱいまでの間、落葉樹は生命活動を低下させて、半分休眠したような状態になります。また、この時期は病害虫の活動も少ないため、太い枝や幹をはずして若枝に後退させるには適した時期といえます。
雑木の庭の主役となるコナラやクヌギなどの落葉樹は成長旺盛で、条件の良い場所で10年も放っておくと大木になってしまいます。この時期に毎年しっかりと太くなった枝や幹を外して細い枝幹と後退させてゆくことによって、長く美しい樹形を楽しみながら、環境改善効果を発揮させ続けてくれるのです。
雑木の庭の手入れは、樹木との共存共栄のための手入れの技というべきかもしれません。