| 狭い敷地こそ雑木の庭を |
雑木林の中の心地よい空間
雑木林の中の心地よい空間
雑木林の中の心地よい空間
右写真は、木漏れ日が清々しい林間のドッグラン、夏の様子です。暑い日差しは雑木の枝葉に遮られ、林床には爽やかな風が吹き抜ける広い空間が広がっています。
雑木の庭つくりでは、雑木林の中の広々とした快適な空間のあり方を、狭く限られた住まいの環境の中に再現するのです。
狭いスペースに潤いをもたらす雑木の庭
限られたスペースの住まいの環境の中に雑木を上手に取り込むことで、大きな潤いと落ち着きをもたらすことができるのです。
なぜ、雑木の庭では狭いスペースに環境改善効果の高い落葉樹高木を用いることができるのでしょうか。その理由は、木々の形状にあるのです。
左の写真は新緑の時期の雑木林です。
樹木が密集して生育を競う合う森の木々は、光と空間を求めて様々な形状に枝葉を伸ばしていきます。光の届かない下部の枝を枯らすことによって、林床に広い空間が生まれます。
自然樹木のこのいびつな形状と枝葉の位置の高さが、狭いスペースで大きな樹木を用いることができる理由なのです。
樹高4m、下枝の幅2,5m程度の下枝のある端正な庭木を植えると、図の通り5?のスペースを要してしまいます。樹高3m下枝の幅2m程度の木でも、3?以上のスペースを必要とします。また枝の位置が風の通り道を塞ぎ、人の活動スペースを狭くしてしまいます。(下記左図参照)
一方、下記右図は山の雑木を庭に用いた際のスケールを表しています。
密集した住宅地において、潤いある緑豊かな住まいを作る場合、樹木の種類や大きさばかりに捉われることなく、自然樹木の自由な形状を上手に活かすことが大切です。
狭いスペースを活かした住まいの空間設計例
右図は、家屋際1?程度の敷地に環境改善のための雑木植栽を施す際の植栽モデルを表しました。
家際にわずか1?程度の植栽スペースしかとれなくても、そのスペースに適した樹形の自然樹木を選び、空間を立体的に活かすことで十分な潤いと効果をもたらすことができます。
大切なことは用いる樹木の形状と、枝の高さのバランスなのです。
これが私たちが提唱する雑木の庭の配植であり、植栽する樹木の種類だけでは、その場所に溶け込むような効果的な植栽は決してできないのです。
下写真は、駐車スペースのコーナーにわずかな面積の植栽スペースを配した植栽設計施工例です。
左写真のコーナー植栽スペースはわずか1?程度です。ここに、樹高6m程度のコナラを中心に、自然植栽を施しています。
更に駐車スペースのもう一つのコーナーにも3?程度の植栽スペースを設けて、家屋の壁面や駐車スペースに木漏れ日を落として美しく見せています。
合計4?程度のスペースでも、植栽の仕方によって十分な潤いをもたらすことができるのです。
こうした自然樹木の特徴ゆえに、わずかなスペースを活かして身近な環境を緑のトンネルの下の快適な空間にすることができます。
下の図面は長細いスペースに4台分の駐車場を造る際の計画案です。駐車スペースの左右前後に生じたデッドスペースを活かして、奥行きのある植栽を施しました。
わずかなスペースをうまく活かす工夫によって、木立のトンネルの下、快適で美しく、なおかつ使い勝手の良い駐車場でさえ、十分に作れるのです。