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「木と人、生き物と大地」 お話会のご案内  平成27年2月22日

 「木と人、生き物と大地 共に生きる未来」 市民講座&お話会のお知らせ

 3月21日(土・祝)、千葉市内のカフェ「どんぐりの木」にて、市民講座を開催いたしますので、下記の通り、ご案内申し上げます。

*日時 3月21日(土・祝)
    14:00~16:00(開場13:45)

*参加費 1000円(お茶つき)

*主催・会場 cafeどんぐりの木
         
(京葉線 稲毛海岸駅から徒歩8分)

*定員 25名程度
    
*お申込み・お問い合わせ
 cafeどんぐりの木
     電話 043-301-2439
     メール donguri35506@yahoo.co.jp

 なお、高田造園設計事務所でも、お申込みを受け付けております。電話でもメールでも、いずれも構いません。お気軽にお問い合わせください。

*講座内容


 多くの方々にとって身近な緑である、街路樹、公園樹木、庭の木々の健康問題といった視点から、今の自然環境、特にこれまであまり語られることの少なかった、様々ないのちの根本である大地の環境について、分かりやすくお話いたします。
 全ての生き物にとっての命の基盤である自然環境について考えるうえでの大切な視点を知っていただき、木々も人も健康に生きてゆける住環境、生き物の気配溢れるかつてのにぎやかな自然環境の再生、そこに暮らす人たちのふるさとの風景となる街の緑について、そして、人と生き物、大地との共生について、理解を深めていただきければと思います。

 講座のご案内はこちらをクリックくださいませ。
 
 自然環境に関心のある大勢の方のご参加を心よりお待ちしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
国立市主催 サクラ通り改修事業に伴う街路樹についての意見交換会 御礼 平成27年2月9日

 2月7日、国立市主催にて、「さくら通り改修事業に伴う街路樹についての意見交換会」が行われました。

 大きな会議室が満員立ち見となり、おそらく150人程度はいらしたのではないかと思います。

 お集まりくださいました国立市民の皆様、そして今回の意見交換会を開催くださいました国立市の皆様、お忙しい中ご参加くださり、意見を聞いていただいた佐藤市長、
そしてこの問題を自分たちのふるさとの街路樹の問題として関心を持って、全国からいらしていただいた造園関係の友人方々、この場をお借りして心からお礼申し上げます。

 今回の意見交換会において、街路としての歩行性、安全性、そして樹木の作る環境、その3つを満たす新たな道路計画案を提案させていただきました。
 それはこれまでの議論のように、「人のためか、それとも木のためか」という2者択一ではなく、人と木々の命が共存してともに健康に生きる道です。

 緑豊かな国立市の街、そしてその緑に育てられた心豊かな素晴らしい市民たち、こんな街だからこそ、これからの日本の街、いえ、世界に先駆けて見本となるような、街路樹の命と共生する新たな街の姿を生み出せると確信しています。





 市役所での意見交換会の後、「街路樹と人との共生を考える」市民集会後の、仲間内の記念写真が送られてきました。
 みんな、真剣に街の緑を想う仲間、この日の感動、このエネルギーから素晴らしい未来が生まれる予感がいたします。
 偉大な植物学者 牧野富太郎氏の有名な言葉に、「植物には、人を善導する不思議な力がある」とあります。木々に向き合い、与えられる道、不思議な力に、その言葉を改めてかみしめます。

 今回のこと、私にとってもかけがえのないほどの、とても良い勉強となり、今もまだ感動の余韻に浸っております。たくさんの素晴らしい方々と知り合い、あるいは再会し、共に一つの問題に真剣に向かい合えたことを、心の底から感謝申し上げます。

 さて、国立さくら通りのこれからの計画がよい形で国立市の明るい未来へと繋がり、そしてそれが日本の街の環境つくりをよい方向へ導くきっかけとなることを心から祈り、そしてまた、そのために、私なりに微力を注いでいけたらと思います。

 関係者の皆様、そして参加者の方々、応援くださった仲間方々、そして工事見直しを求める署名に協力くださいましたたくさんの方々、本当にありがとうございました。


投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
街の大木との共生を~東京都国立市さくら並木より 平成27年1月27日 


 ここは東京都国立市の桜通り、開花の時期の写真です。
 この桜並木は、中央線国立駅前の大学通りと共に
緑豊かな学園都市に住まれる国立市民の誇りであり、大切なふるさとの原風景となって、市民の心を豊かに育んできたように感じます。
 
 私もまた、学生時代、そして社会人になってからもしばらく、縁があって国立市へと通う機会が続きました。三角屋根のかわいい駅舎と、街路の上空に枝葉を広げる圧倒的な木々に包まれたこの街の素晴らしさに心癒されてきた、若かりし頃の思い出の街でもあります。

 その頃のことを振り返るにつれて、街の緑は、そこに住む人だけでなく、その街に縁があって訪ねる人の心をも癒して思い出とともに残り、心を豊かに育ててくれるものなのだと、そんな当たり前のことに改めて気づきます。
 そしてそれは現在の私たちだけのものではなく、木々が植えられたその時から連綿と、その街の人の心と共にあって、そして世代をまたいで未来へと、この街の美しく落ち着きのある街を時間を超えて繋いでゆく。
 そう思えば思うほど、街の環境を作ってくれる大きな木々は、なるべく長く大切に育み、そして次世代へと繋いでいきたいと、改めてそう感じます。



  47年前に植えられたその桜並木の景観が今、道路改修工事計画によって大きく変わろうとしており、国立市民と行政が大きく揺れております。

 桜通りの道路改修整備計画に伴い、一部伐採の計画が進んでおります。この計画がはたして適切なものか、あるいは大きな街路の木々と人や道との共生できるもっと良い方法はないものか、そんなことを想いつつ、昨秋に続いて先日、再びこの桜並木を訪れました。

 写真手前の桜、伐採される予定の数十本の中の1本です。
 枝先までしっかりと花芽を付けており、こんな環境でも木々は力強く、印象的なまでに旺盛な樹勢を感じさせてくれます。
 これらの大木にはまだまだ十分に生きる力があり、土壌環境を改善し、周辺環境を含めて木々が健康に生きていける条件を整えてあげれば、まだ何十年と問題なく生きていけることが、幹や樹皮、枝先の状態などから分かります。
 
 ではなぜこうした木々が伐採対象なのでしょうか。



 樹木医診断によってC判定(不健全木)とされた木々に取り付けられた診断書を一つ一つ見ていきます。
 全てのC判定木で、
樹勢(木の元気さ)については、そのほぼすべてが良好との診断にも関わらず、その判定を主に決定つけていたのは樹幹内の腐朽(空洞)割合であることが分かります。
 樹幹内の腐朽は大木老木となれば必ず進行するもので、枝折れや不適切な剪定などがきっかけとなって腐朽が起こり始まります。大抵の大木にはこうした腐朽を内部に抱えつつも、その後数十年、数百年と長く健康に生きてゆくのです。

 腐朽の進行はその木の寿命を左右しますが、その進行速度は土壌を含む環境条件とその木の持つ樹勢によって大きく異なります。
 その点、木の寿命というものは、あってないようなものであり、比較的短命なソメイヨシノといえども、根などの環境条件さえよければ、100年以上充分に健康に生きていけるもので、全国にはそんなソメイヨシノの見事な大木がまだまだたくさん見られます。

 植えられて50年弱という樹齢はソメイヨシノにとってもまだまだ若く、事実、車道沿いの決して良い条件とは言えないスペースに植えられたこの桜たちでさえも、まだまだ樹勢旺盛で、枝の先端、幹肌の更新具合を見ても、根の致命的なダメージは受けていないことが分かります。

 つまり、伐採対象のこれらの木々は、まだまだ生きようとする力にあふれていて、根を中心にその環境条件を改善することで、まだ数十年と、十分に健康に生きてゆく可能性を持っていることが明らかに感じ取れます。




 それにしても、この狭い空間で桜は必死に生きてきた様子が根元の盛り上がり方を見れば分かります。
 本来太い根を浅く広く張ってゆく桜の性質上、狭く囲まれた場所では特に、根は上へ上へと、「ヨッコラショ ヨッコラショ」といった具合にこうして上げてゆくのです。そして、地上部の太い枝に対応する根を太らせて張り出し、地上部と地下部のバランスを自ら取ろうとするのです。

 例えて言えばそれは、私たち人間が背を伸ばして、高いところにある重たいものを取ろうとする時、足を開いて踏ん張って、バランスを取りながら手を伸ばすのと同じことであって、木々は枝の張り出しと共にバランスを取るように根を張り出してゆくのです。

 そしてその根の成長のための栄養分は主に、その根に対応する太い枝から送られます。そのため太い枝を伐ることで、重たい樹体に対応してバランスを取っている太い根まで衰退し、それが倒木の大きな一因にもなるのです。また、剪定した枝の切り口からだけでなく、太い枝を伐ることによって痛んだ根からも、内部の腐朽が進むことが往々にして見られます。

 もちろん、樹勢旺盛な状態であれば、こうした変化にも十分に対応して修復する力をも木々は持ち合わせていて、台風などによる幹折れや枝折れ、あるいは様々な病虫害に対しても自ら力強く打ち勝って生きていこうとします。
 しかし一方で、樹勢が衰えてくればそれが致命的ダメージとなって衰退し、枯死してゆくことにもつながります。

 つまり、不適切な剪定が木々を痛め、その本来の寿命を大きく損なってしまう大きな要因になるのです。
 街の樹木の健康を保ち、なるべく長く安全に人の暮らしと共存させていこうと思えば、植えられた環境の良好な保全や、樹勢の回復速度を考慮して木々と対話するように行う適切な剪定とが、とても大切になるのです。




 昨年、桜通りの一部区間で、この改修工事が行われ、完了しました。これまで、この道路改修計画においても、桜の環境が健全な形で守られると信じて改修工事計画を受け入れた市民たちが、この工事後の変貌した風景を目の当たりにして驚き悲しみ、残った桜のトンネルを守るべく、立ち上がったのでした。

  昨年のうちに工事完了した区間では、十数本の桜大木が伐採され、残った樹木も枝を大きく切り詰められて無残な棒状となり、景観は一変しました。伐採された後には、新たな桜の苗木が植えられましたが、そこにはもう、長い間市民を守り育ててきた桜のトンネルの風景はなくなりました。

 街路樹を考える際、もちろん倒木や枝の落下、車両の接触を防ぐための安全上の配慮は必要不可欠なことです。しかしそれが木々の性質を把握したうえで的確に対処していかなければ、かえってその危険性を増すことにもつながるのです。
 この工事における桜の古木(実際のところ、50年弱では桜にとってもまだ若く、古木とは言えないのですが。)の扱い方は、その最たる、問題の多い事例と言えましょう。

 大木が自らの意思と力でバランスを取ってきた太い枝が、車の通行に支障のない高い位置にまでぶつ切りされ、強い日差しから自分たちの幹や根元を守ることもできなくなってしまっています。
 木々の衰弱は、幹や根の乾燥による要因がとても大きく、特に根が浅く太く盛り上がるこの街路の桜たちにとっては、そのことが致命的に根を傷める原因となりえるのです。そのため、現段階では健全と診断されて残された大木たちも、この環境の変化に対応できずに急速に樹勢を落とし、腐朽を食い止める力を失い衰退してゆく木々は増えることは確実と感じます。。
 また、伐採や強剪定によって、それまでお互いの枝葉によって弱められてきた風の勢いを遮るものがなくなり、それによる倒木の危険までもが相乗的に高まります。

 つまり、今回の伐採と不適切な剪定によって、かえって倒木の危険は増大し、そして残った桜も不健全化してますます寿命を縮めてゆくことに繋がるのが、この計画の問題の核心と考えます。

 この計画を進める行政や伐採推進業者は、「倒れたらだれが責任を持つのか。」と言います。
 しかし、今回の工事を推進することで、倒木の危険はさらに増すということが明らかで、道の安全確保の視点からも今回の計画自体を見直すほかになく、このまま計画を進めれば必ず、人にとっても樹にとっても悪い結果に繋がってしまうことでしょう。
 大きな環境変化は残存木に多大なストレスを与えてしまい、老化を進めてしまう。豊かな環境を作ってくれる大きな木々との共生のためには、危険の可能性を回避することが不可欠です。しかし、樹木の性質に対する本物の知識や想像力の不足が、まだまだ健康に生きる力のある大きな木々の伐採ありきの改修によって、かえって不健全で潤いのない街を増やしてしまっているのが今、日本全国の街の問題であるように思います。

 木々が健康に育つ環境を作ってゆくことが、潤いのある安全なで美しい街づくりのために大切なことであり、これからは新たな共存の在り方を作り出してゆく必要があります。

 国立さくら並木の問題は、それは私たちの住む街でも必ず起こる、あるいはすでに経験してきた問題でもあります。

街と木々とがどう共存して、素晴らしい環境を未来につないでゆくか、ここできちんと向き合うことがとても大切なことと思います。
 



 
 住民による工事見直し要求を顧みずに伐採が強行されようとした朝、住民たちの抗議によって工事はいったん中断となりました。
 共に生きてきた木々を守りたいと、これほど多くの市民が集まり、そして故郷の行政を動かそうとしていることに大きな感動を覚えます。
 緑豊かな国立市の環境がこうした素晴らしい市民の心を育み、そしてこの木々がここで暮らす市民によって守り育まれてきたことに、心の底から突き動かされます。

 そんな街だからこそ、日本に先駆けて木々と共存する街路の在り方を、市民と行政とが協力し、知恵を出し合うことで実現できることでしょう。そのために、私たちも微力を注いでいきたいと思います。

 なお、2月7日、午前10時、国立市役所3階会議室にて、
「サクラ通り 街路樹に関する意見交換会」が開催されます。

 ご関心のある方、ご意見のございます方は是非、ご参加くださいますようお願いいたします。また、当日午後、国立市民による、街路樹の未来を考える集いが開催されます。興味にある方はお気軽にご参加くださいませ。

なお、国立さくら並木の問題は、TBSテレビ 2月8日午後1時「噂の東京マガジン」にて、放送予定です。

多くの方がこの問題に関心を持っていただくことで、次世代の街の風景が変わることと思います。ご協力いただければ幸いです。







投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
「大地の再生講座」開催のお知らせ   平成26年10月14日


 この度、千葉市内の高田造園設計事務所の社有林(高津戸ダーチャの杜)にて、NPO杜の会副理事長、矢野智徳氏を講師に招き、大地の再生講座を開催することになりましたので、下記の通り、ご案内いたします。


日時;10月27日月曜日 9時から17時

場所;高津戸ダーチャの杜 千葉市緑区高津戸町405-1
    徒歩の場合、外房線土気駅から20分。駐車場あり(15台程度)

募集区分と講座参加費(昼食、飲み物含む);
     
      一緒に作業しながら学ぶ方(かなり本格的な作業です) ;2000円 
      見学して受講したい方(時間は自由です)          ;4000円
      ボランティアスタッフ(炊き出し、駐車場の案内など)   ;無料
 
*講習費用は、講師謝礼、講座開催経費、昼食代(ロケットストーブでの炊き出し)、保険代等に充当します。ご理解くださいますようお願い申し上げます。 

服装・持ち物;
 
 服装;汚れてもよい服、山を歩ける靴(地下足袋が最適)
 持ち物;作業される方は下記の通り。作業されない方は手ぶらで構いません。
      必携;軍手・地下足袋・ヘルメットまたは頭を覆う手ぬぐい
      いずれかでも、あればよいもの;草刈り鎌、なた、剪定ばさみ、のこぎり、スコップなど

事故・怪我等の責任所在について


 当方で保険に加入いたしますが、現地の応急処置以外は自己責任にて参加の程、お願い申し上げます。
      
募集人数;20名程度(先着順にて) 

申し込み方法;
 担当高田(高田造園設計事務所代表取締役 NPOダーチャサポート理事 ダーチャサポートちば代表)までご連絡ください。

 お申込みは下記いずれかにてお願いいたします。
 メール;高田造園設計事務所ウェブサイトお問い合わせホームからどうぞ。
 電話;高田造園設計事務所(043-228-5773)まで。
 ファックス;高田造園設計事務所(043-309-7203)まで。
 ファックスの場合、氏名、年齢、連絡先、募集区分のご希望を記入ください。

 他、フェイスブックや直接高田の携帯におかけいただいても構いません。        

講師;矢野智徳氏
    杜の園芸代表 NPO杜の会副理事長 杜の学校準備会主催

講師略歴;1956年福岡県生まれ。幼少のころから実家が所有する花木植物園で植物と共に育つ。
 東京都立大学理学部地理学科 自然地理学専攻。
 現代土木建築工法の裏に潜む環境問題にメスを入れ、その改善方法を提案。全国の荒れた大地、呼吸不全に陥った大地の水脈気脈を再生して回る。
 足元の住環境から奥山の自然環境の改善までを、実地作業を通して学ぶ「大地の再生講座」を全国で開催。




講師が主催する杜の学校準備会趣旨;
 命の自然や宇宙のリズムを無視した人間だけの都合、金儲け、効率性、頭ではじき出した計算や数値、人間にとってだけの安心安全などを追求してきた現代物質文明は、山を崩し、木々をなぎ倒し、川や地面ををコンクリートで固め、海を埋め立て、空気や水を汚し、地球生命圏は瀕死の状態に陥っています。  生きとし生きるものすべてが、呼吸困難の状態にある今、 野に立ち、山に入り、木々や草々に触れ、風を感じて、きれいな文句やいいとこ取りではなく、汗や泥にまみれて、母なる地球を体感する時です。  この地球生命圏の命の基本を、長年の造園業、環境改善を通して、”陽通し、風通し、水通し”にあることを見い出した”杜の園芸”率いる矢野智徳氏が、その集大成として、山梨県上野原で、今春から”杜の学校”設立の準備を始めています。  上野原という日本のどこにでもあるような中山間地で、奥山から里山、そして都市部までの流域の風土の再生、すなわち、森や川やそこに生きる野の命、そこに暮らす人々の命の再生を目指しています。

高津戸ダーチャの杜について;



 近年増え続ける放置されて荒れた山林です。全体的に傾斜地で、最下部に落ち葉に埋もれた小川があります。




 現在一部を高田造園設計事務所の自然農園、樹木畑に利用しつつ、整備を始めています。
 整備にあたって、大地の水脈気脈という、最も根門的で大切な視点を矢野さんから実地にて学びます。
 この自然環境を美しく健全な形へと再生し、山小屋を建てて、近隣の方々や子供たちの自然体験の場、昔の生活体験の場として利用してゆくべく、モデルダーチャ用地として準備を始めております。



 高津戸ダーチャの杜、計画案です。10坪程度の山小屋は、造成したり地形を壊したりすることなく、そのまま傾斜地を活かして建てる予定です。



 ここを体験宿泊施設として貸出し、自然農や山の恵みを享受し、そして採暖、炊事、風呂は薪、トイレは山林内自家処理と、自然と共にあるかつての暮らしを体験していただきます。
 子供達には山のこと、生き物のこと、五感を通して自然とふれあい、ワクワクするような生活体験の場となることでしょう。



放置され、荒れて、不健全な状態にある山林が全国に増え続けている中、自然環境としての山の再生、大地の健康回復を学び、今後の日本の自然環境再生につなげることができればと思います。

 

投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
ダーチャサポートプロジェクト 後篇     平成26年5月25日


 大変お待たせしました。連休明けの五風十雨農場(山梨県北杜市)で開催されたNPOダーチャサポート設立準備会議の報告ブログ後篇です。
 
準備会議の模様報告を兼ねて、これから私たちがこの日本で始めるダーチャサポートプロジェクトの目指すものを少々ここで紹介させていただきます。

 ここ、五風十雨農場では、農場主の向山氏はじめ、賛同する多くの方々と共に、放置された山林、耕作放棄された農地を再生すべく、様々な面白い取り組みやイベントが開催されています。



 水を張って田植えを待つ、五風十雨農場の3枚の水田。ここでは毎年田植えイベントが開かれ、今年もたくさんの方々と泥んこになって田植えされます。
 この田圃はもちろん無農薬無化学肥料で自然栽培され、生き物豊かなかつての水田の環境を再生しながら、安全でおいしく、いのちの力溢れる本物のお米が収穫されます。



 農場の周囲に広がる耕作放棄地。緩やかな傾斜地に、棚田を営んだかつての暮らしの名残が残ります。この田んぼがこれまで幾世代の暮らしを支えてきたことでしょう。
 農地山林はいのちの源です。豊かな大地は数千年という悠久の時間を超えて、永続的にいのちの糧を生み出し、そして同時にたくさんの生き物の循環を育み続けてきたのです。

 緩やかな傾斜地ですが、この棚田を開墾し、永続的な命の財産を後世に残した先人の営みに思いを馳せるにつけて、先人の汗を大地に刻み込んだ素晴らしい農地をこれ以上減らしてはならないと、強く感じます。
 そして、豊かな大地を守り伝え、いのちの循環を再生するべく、いまこそ動き出さねばならない、そんな志を一つに、この農場に人が集まり、そしてダーチャサポートプロジェクトがここでスタートをきりました。

 この地が日本のダーチャ村、スタートの地となるのです。前途多難な道のりかもしれません。しかし、今のような時代だからこそ、本当に変えていかねばならないというエネルギーも情熱も高まるものです。

 震災後の日本、この国の、今という時代に生きることへの不安、将来の子供たちの未来への不安を感じる人が非常に増え、そしてそれはかつてないほどに切実さを増しているように実感します。
 そんな中、いざという時、お金に頼らず、既製のライフラインに縛られることなく、自活して生きてゆくことのできる土地、大災害や戦争等、様々な社会不安の際の避難地を得ることを考えられる方が、私の顧客の間でもますます増えてきました。

 決して持続できない今の社会。本当の意味で永続的に自活して生きてゆく術は、身近な自然との絆を取り戻す中にしかありえません。
 自然の循環の中でしか決して持続的に生きていけない私たちは今、あまりに自然からかけ離れてしまいました。
 すでに多くの日本人が、生活の糧を身近な大地から得る術すら忘れつつあり、お金を得ることですべての日用の糧を賄っているのが現状です。
 そこまではまだ仕方ないかもしれません。しかし、既製のライフラインを人質に取られ、お金の奴隷となってしまっては、善悪の判断までもがたった一時のお金の流れにすり替えられ、流され、そして、持続可能な豊かな未来のために本当に大切なこと、その正しい判断をも見失ってしまいます。

 自然を再生しつつ持続的な循環を暮らしに取り戻し、自活する術と避難地を求める方々を、私たちNPOダーチャサポートが支えていきます。
 普段は都会に暮らしながらも、週末を自然の中で自給的に暮らす、そんな場を、30代40代の普通の子育て世帯が手の届く金額で提供し、そしてその暮らしを必要に応じ、NPOとしてさまざまサポートし、あるいは学びの場を提供していきます。

 自給的な暮らしにあこがれ、必要を感じながらも、それぞれ仕事や生活に追われてなかなか実現できずにいる方はたくさんいることでしょう。また、どうすればよいか、分からぬままに、「老後の夢」へと封印している人もたくさんいます。
 しかし、私は今こそ、しかも自然を知らない今の子供たちが活気を持って遊び、健全な自然観を育ててゆくことができる、そんな場が必要に思います。
 子供ばかりでなく、いのちの循環に気づかせてくれる大地とのかかわりが大切なことは大人も同じです。 
 



 五風十雨農場周辺の放置林や耕作放棄地をくまなく歩き、ダーチャ村用地、構想への夢を膨らませていきます。
 可能性あふれる土地にみんなの表情は自然と明るく輝きます。



 棚田放棄地、ここで暮らしてきた先人によって土地は美しく造成され、ちょっと整備すればすぐに菜園として再生できる可能性を秘めた野を目の当たりにし、、この地でダーチャをはじめようと、みんなの想いが一つになりました。

 この地の地形を壊すことなく農地として再生整備し、100~200坪程度を一区画に、おそらく10数区画程度のダーチャ村として希望者に分け、そしてその暮らしを各々の必要に応じてサポートしていきます。
 各々週末をここで過ごしつつ、自給的な楽園を作ってゆく、そんな暮らしの場を、ごく一般の都市生活者に提供することで、本当の意味で平和で美しい、未来永劫の日本の再生に繋げていきたい、それが私たちメンバー共通のゆるぎなき想いなのです。



 このプロジェクトによって再生を目指すのは農地ばかりでは完結しません。周辺を取り囲む山林の豊かさを取り戻し、育成しつつ、そこから堆肥材料としての落ち葉や木の実、燃料としての薪やホダ木、自給的建築資材など、様々な生活資材を得られるように再生していきます。
 周辺の山林は、かつての里山が村落共同体によって管理され、利用されてきたように、ダーチャ村共有の入会利用地とします。
 ここで薪などの生活資材を得る権利と同時に、みんなで労力を出し合って育成整備してゆくのです。



 農場主の向山さんの案内で、五風十雨農場にて育成、利用している山林を歩きます。
数十年前までは建築資材として欠かすことのできなかったアカマツは、ここ10年程度で急速に衰退し、次々と枯れていると言います。
 さまざまな原因があるのですが、急速な衰退の原因は大気汚染の影響ではないかと考えられます。
 大気汚染に弱いマツなどの針葉樹は森の中でも突出して高く、枝先に汚染物質を吸着します。以前であれば、空気のよい郊外の山間であった北杜市にも、地球規模の広域汚染の影が忍び寄ります。



 ここでは松枯れの跡地に様々な自然植生樹種の苗木を植えて、森の再生に取り組んでいます。



 再生しつつある森の稚樹。一定の高さになるまでは、増え続けるシカなどの食害から苗木を守る作業が必要になります。
 豊かな農地は地域の生き物の循環が作り出すもの、周囲の山林の再生は、生活資材を得るためだけでなく、清涼な水を貯え、強風や土砂災害から暮らしの環境を守り、そして何よりも生き物溢れる豊かな生態環境を作るのです。



 農場のかまど。煮炊き採暖の燃料は周囲の山から得るのです。薪採取などの森林利用によって、山に適度に光が差し込み、豊かで変化に富む里山の命が営まれるのです。
 かつては生活に欠かせないエネルギーはすべて身近な里山の循環の中で賄われてきました。日本のエネルギーの主役がこうした薪炭から化石燃料に取った変わられたのは1960年代のことですから、わずか半世紀前のことです。

 ちなみに、このかまどは数年前に作られながらも今はほとんど使っていないと言います。



 今農場の煮炊きに活躍しているのが、この自作のロケットストーブです。かまどの場合、大量の薪を使ってかまど全体を暖めねばならないのに対し、このロケットストーブは少量の小枝などで効率よく炊事の用が足せる上、簡単に火入れができるのです。

 ちなみに、この五風十雨農場では水、電気、燃料の全てのライフラインがほぼ自給されています。



小さな焚口に小枝をくべると、たちまち炎は煙突に勢いよく吸い込まれていきます。



 その手軽さと効率のよさ、廃品利用で手軽に自作できる点など、週末ダーチャの煮炊きの用にはロケットストーブは必需品になることでしょう。



 この日の昼食は、周囲で取れた山菜です。



 周囲の野山から採取して、自家製の油で山菜てんぷらのできあがりです。
 今回料理してくれたのは、ダーチャサポートと提携的に協力くださるNPOメダカの学校の方々です。
 山菜野草の知識があれば、春の野山はおいしい食べ物であふれているのです。




 お米は五風十雨農場の自然栽培米。



 お味噌も完全無農薬の自家製大豆から作った、とてもおいしいお味噌汁。
 いのちの味というべきか、いのち溢れるほんものの食材のおいしさ、昔は当たり前だったのでしょうが、今の時代、健康な水と太陽と大地が育む素材本来のおいしさに出会うことで大きな感動に包まれます。



 調理して食べる楽しみ、本当の満足感、ここでの食事は大切なことに気づかされます。



 五風十雨農場マザーハウスでのダーチャ談義は夜も続き、薪ストーブと少しの照明の下、緩やかな時間が流れます。





 隣の方から庭の水路に生えるクレソンをいただき、



特産の行者ニンニクを、摘み取る。今日の夕飯も楽しみ。
 
そんな暮らしを望む人に、できるだけ提供していきたい。同時に、耕作放棄地や里山の再生に繋げていきたい。そんな思いで、ダーチャサポート活動を始めます。

 そして、それが決して、時間やお金にゆとりのある一部の人にしか手に届かない別荘のようなものではなく、例えば、庭のある暮らしか、週末の自然の中での暮らしの場か、そんな選択ができる程度の金額で、できるだけ今の都会の子育て世代の人たちに提供し、サポートしていきたいと思っています。
 
 自然の中で生きる力を身に着け、大地の恵みに感謝し、感動しつつ暮らすこと、そんな人たちが増えることでこの国はどれほどよくなることでしょう。
 造園の仕事、そしてダーチャサポート、いずれも日本、地球の美しい未来のために力を尽くしてまいります。

 NPOダーチャサポートプロジェクト、多くの方々のご賛同、ご協力を心よりお待ちしております。






投稿者 株式会社高田造園設計事務所 | PermaLink
     
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