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雑木の庭つくり日記

施工庭、春の手入れ巡り 2件紹介   平成29年5月15日
 
 今年もまた、春の手入れの季節となりました。
この時期はまた、庭を造らせていただいたお客さんとのうれしい再会の時でもあります。
庭を介して、お客さんとこうして一緒に年を重ねていき、そして再会を喜びあう、本当に私たちの仕事はうれしく、ありがたいものとしみじみ思います。

この時期の庭は一年で一番生き生きと清らかな生気がみなぎり、力をもらいます。昨日今日と、訪ねた庭を足早にご紹介させていただきます。



ここは世田谷区、等々力渓谷にほど近い閑静な住宅街の一角、Mさんの造園外構工事の竣工は3年前になります。

とても狭い敷地の中、駐車スペース、門を斜めに配し、版築の土留めと剪定枝柵、手製の木製門扉で結界をまとめてます。



門越しの景。外から見るとうっそうとした森の様相ですが、中に入ると木々は互いに共存し、風の抜ける心地よい空間が続きます。



門から玄関に続く樹幹のアプローチ。



玄関アプローチを数mも進むともうそこは別世界、門を振り返るっても道路の雰囲気がはるか遠くに感じられます。



玄関前室となる風防室は、解体した古民家の古材をふんだんに用い、昭和初期のモダンな雰囲気の家屋に合わせて構成しています。ガラス格子扉の向こうにまた、狭いながらも奥庭へのアプローチに続きます。



奥庭となる北側は、Mさんご夫妻の落ち着ける屋外のリビングスペースとなります。



年数を経て庭は、住む人の心の清らかさをいっぱいに吸い込んで、ますます美しく、清らかに街の景色を潤していきます。庭の表情がより豊かに調和に向かって育ってゆくということ、庭は住む人の心の反映、そんな面が必ずあるように感じる瞬間です。



そしてここは、千葉市中央区、竣工後一年余りの庭、主庭から裏門へと続くアプローチの景です。
わずか1年半前までは空き地の草むらだった古都が想像できないほどに、心地よい樹幹のアプローチとして育ってきました。



裏門の外は縦列駐車スペースです。駐車スペースと言えども、車の重量によって圧密されない土中環境を整えることで、緑の駐車場は可能となります。
日常の駐車ではなく、来客用の駐車スペースですので、あまり頻繁な利用でないということもありますが、タイヤの跡も轍となることなく、芝生は良好に保たれています。



メイン広場となる主庭は一年を経て、周辺家屋の気配が全く気にならないほどに、木々が息づき落ち着きを増してきました。






家際の木立は、四季を通じて心地よい家屋の環境を作ります。
木々を生かして住まいの環境を心地よく改善しようと思えばまず、この家際の木々の配置が最も大切なポイントとなります。



主庭脇の園路から中央デッキを望みます。



駐車場から主庭へ続く園路。

こうして、年月が人を育てるように庭もまた育ってゆくことを、懐かしいお客さんとともに楽しむ豊かさは、何物にも代えがたい宝となります。
毎年、こうして訪ねるたび、共に年を重ねるお客さんとの絆は深まり、庭の命とともに生きている実感を共有する幸せ、本当に、自分は今生、一庭師というスタンスを保ち続けたいと思うのです。
 こんな時代、そして不安なこの国、子供たちや生き物たちのよい未来のために、しなければならないことがたくさんありますが、それでも自分の原点は庭つくりにあると、そう思います。

作らせていただいた庭、いつもその時の自分の精いっぱいの想いを投入します。何年経とうが、こうしてその庭に赴くと、作った当時の心境や、メンバーの思い出、出来事、当時の自分、、様々なことが昨日のことのように思い出され、そしてまた、年月の経過を想います。

そして、その場の庭の木々は、黙ってそれを共に感じてくれて、常に心はともにある、そんな温かさに包まれるのも、庭のおかげです。



投稿者 株式会社高田造園設計事務所 (2017年5月15日 14:11) | PermaLink