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雑木の庭つくり日記

千葉県市川市の造園、叩き工事    平成26年9月12日


 千葉県市川市Tさんの造園工事が今週始まりました。
 とても美しい木の家です。家屋の設計は田中敏
溥建築設計事務所、建築施工は東京都江戸川区の田中工務店です。
 美しく、品のよいシンプルな家屋は一日作業していても見飽きることがありません。庭は家屋の佇まいに
調和するよう、シンプルに、そして品よく、落ち着きのある素材と柔らかな植栽でまとめていきます。



今日は軒内の叩き工事です。真砂土をベースに石灰とにがりを混ぜて敷均し、ひたすら叩いていきます。直接雨にさらされにくい軒内のため、セメントを使わずに、土を叩いて土間の優しさを求めます。



 家屋の東と西側の軒内全体ですので、面積があります。半日叩き続けると、箸を持つのも震えるほど、応えます。力と根気が必要な仕事で、こうした本叩きの土間は今や一般住宅ではなかなか見られなくなりました。
 セメントを用いて洗い出しなどの工法で仕上げた方がはるかに早くて楽なのですが、本叩きにしか表現できない味わいや質感、空気感というものがあります。




 本叩き終了後、軒内の土の質感が、この家屋に調和して落ち着いた佇まいを増します。素朴な質感と優しい雰囲気は、セメントを用いない叩きでしか表せない魅力があります。工法一つで家屋はさらに美しく、見ごたえ豊かに住まいの落ち着きが一変するのです。
 素材や工法は、その場の空気感を変えてしまうほどの力をもっていますので、安易に考えてはいけません。家屋と外空間、それを違和感なく美しく調和させてゆく造作こそ、私たち造園の仕事です。



 無垢の杉板の温かみと雑木の緑、そして柔らかで素朴な叩きの風合いが美しくまとまります。庭は家屋の見え方をがらりと変えていきますが、家屋の佇まいや空気感がよければなおさら、造園を担う私たちにとても、家屋と庭を一体に素晴らしい空間へと調和させてゆく喜びがあります。
 植栽はまだまだこれからですが、家際に緑が入るとそれだけで住まいは落ち着いて見えてきます。



数日前まで、木々がなかったこの庭ですが、こうして木々が植わると様々な虫や小鳥が訪ね、住まいの空間にいのちの声が響きます。
 午後の日差しを浴びる家際のコナラに、ツクツクボウシの声が夏の終わりを告げが如く、響き渡ります。
 美しい家屋も木々がなければ丸裸で落ち着きません。こうして木々が収まると、生き物も宿り、そして住まいはこの地の自然環境として、時間を重ねてゆくのです。

この庭の完成は再来週、外の風景はまだまだ変わります。







投稿者 株式会社高田造園設計事務所 (2014年9月12日 18:21) | PermaLink